2025-01-01から1年間の記事一覧

AppleTV+のSFドラマ『マーダーボット』がとても楽しかった件

マーダーボット (監督:ポール&クリス・ワイツ他 2025年アメリカ製作) AppleTV+のコメディスリラーSF『マーダーボット』 Apple TV+で配信中のSFドラマ『マーダーボット』がとても楽しくて、全10話をわくわくしながら観終わりました。SFといっても様々なサ…

ジェームズ・ガン監督が描く新生スーパーマン/ 映画『スーパーマン』

スーパーマン (監督:ジェームズ・ガン 2025年アメリカ映画) ジェームズ・ガンが描く新生『スーパーマン』 DCコミックの象徴的なヒーロー、スーパーマンの映画はどれも心惹かれるものがあります。1978年のリチャード・ドナー監督版『スーパーマン』、2006…

『物語 イタリアの歴史 解体から統一まで』と『物語 イタリアの歴史II 皇帝ハドリアヌスから画家カラヴァッジョまで 』を読んだ

物語 イタリアの歴史 解体から統一まで / 藤沢道郎(著) 物語 イタリアの歴史 解体から統一まで (中公新書) 作者:藤沢道郎 中央公論新社 Amazon 皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コ…

最近配信・DVDで観た映画 / 『ヘッド・オブ・ステイト』『グランド・イリュージョン』『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』『ザ・キラー ジョン・ウー/暗殺者の挽歌』

『ヘッド・オブ・ステイト』 ヘッド・オブ・ステイト(Amazon Prime Video) (監督:イルヤ・ナイシュラー 2025年アメリカ映画) ヘッド・オブ・ステイト ジョン・シナ Amazon 『ヘッド・オブ・ステイト』はイギリス首相とアメリカ大統領が手を取り合って凶悪…

原点回帰を成し遂げたダークでクールなヘルボーイ・ストーリー/映画『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』

ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン (監督:ブライアン・テイラー 2024年アメリカ映画) 『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』は根強い人気を持つアメコミ・キャラクター、ヘルボーイを主人公としたオカルトアクション映画だ。 ヘルボーイはその名の通り地獄の…

「大衆食文化史」本のまとめ

唐突に”大衆食文化史”に興味が湧き、それにまつわる何冊かの本を集中して読んだ。対象となった料理はカレー、フライ・とんかつ、お好み焼き、牛丼、焼き鳥、串かつ、ラーメン、焼きそば、スパゲティといった誰にも馴染みのあるものばかりである。学術的な知…

『パスタでたどるイタリア史』を読んだ

パスタでたどるイタリア史 / 池上 俊一 (著) 長い歴史と豊かな地域色をもつイタリアで、人々の心を結ぶ国民食パスタ。古代ローマのパスタの原型、アラブ人が伝えた乾燥パスタ、大航海時代がもたらしたトマト。パスタの母体となった中世農民のごった煮スープ…

最近読んだコミック : サイトウマドとねこぢるy作品をあれこれ

解剖、幽霊、密室 / サイトウ マド 解剖、幽霊、密室 (ビームコミックス) 作者:サイトウ マド KADOKAWA Amazon サイトウマドによる心霊・SF系の短篇コミック。よく知らない漫画家さんであったが奇妙に惹かれるものがあり読んでみたところ、これが大当たり、…

脱北を企てる男とそれを阻止しようとする男の交錯した感情 /映画『脱走』

脱走 (監督:イ・ジョンピル 2024年韓国映画) 北朝鮮と韓国を隔てる軍事境界線は、両国の厳重な監視下にあるため、人々が自由に行き来することは決してできない。しかし、北朝鮮の社会主義国家体制に不満を抱き、命懸けで韓国への脱北を試みる者は少なくな…

最近読んだコミックあれこれ /『波よ聞いてくれ (12)』『#DRCL midnight children (6)』『APPLE PARADISE』『童夢』

波よ聞いてくれ (12) / 沙村 広明 波よ聞いてくれ(12) (アフタヌーンコミックス) 作者:沙村広明 講談社 Amazon 沙村広明の『波よ聞いてくれ』は 「北海道のラジオ局に突然スカウトされた破天荒娘が主人公」というありそうでないニッチな設定が本当に優…

人種差別と文化盗用、そして搾取構造の「罪」についてのホラー映画『罪人たち』

罪人たち (監督:ライアン・クーグラー 2025年アメリカ映画) 映画『罪人たち』は人種差別が未だ厳しい20世紀初頭のアメリカ南部を舞台に、双子のチンピラ兄弟が新たに立ち上げたダンスホールに吸血鬼集団が襲い掛かるといったホラー作品だ。しかしこの作品…

自伝的要素、古代ローマの現代への投影、そしてコッポラの理想が謳いあげられた問題作『メガロポリス』

メガロポリス (監督:フランシス・フォード・コッポラ 2024年アメリカ映画) 『ゴッドファーザー』シリーズ、『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラ監督が40年の構想と莫大な私費を投じ完成させた映画『メガロポリス』。物語は古代ローマに着想…

ルキノ・ビスコンティ監督の『家族の肖像』を観た

家族の肖像(監督:ルキノ・ビスコンティ 1974年イタリア・フランス映画) ルキノ・ヴィスコンティというと『ベニスに死す』や『地獄に堕ちた勇者ども』など、どうも頽廃趣味の貴族監督というイメージが強くて取っ付き難く、なんとなく敬遠していたのだが、…

『麺の歴史 ラーメンはどこから来たか』『ソース焼きそばの謎』を読んだ

麺の歴史 ラーメンはどこから来たか / 奥村 彪生 (著), 安藤 百福 (読み手) 麺の歴史 ラーメンはどこから来たか (角川ソフィア文庫) 作者:奥村 彪生 KADOKAWA Amazon 「チキンラーメン」生みの親の安藤百福と、日本の食文化研究家の奥村彪生がラーメンのル…

高級洋食が大衆化してゆく経緯を追った『串かつの戦前史〈東京ワンニラ史 後編〉』を読んだ

串かつの戦前史/ 近代食文化研究会 (著) 上流階級向けの高級フルコース料理として始まった明治初期の西洋料理は、次第に大衆化し、庶民の日常へと溶け込んでいった。 その大衆化が行き着いた究極の姿が、屋台でコップ酒片手に立ち食いする串かつであり、肉…

『ザ・スタジオ』『マンジャーレ!ノンナのレストランへようこそ』『ラ・ドルチェ・ヴィッラ』など最近ダラ観した配信あれこれ

『ザ・スタジオ』 ザ・スタジオ シーズン1(Apple TV+)(監督:エヴァン・ゴールドバーグ/セス・ローゲン 2025年アメリカ製作) セス・ローゲンが新任の映画スタジオ代表役となり、次々と襲い掛かる難問題に大わらわしてしまうというコメディ・ドラマ『ザ・ス…

『ザ・コンサルタント2』『深い谷の間に』『ハボック』など最近ダラ観した配信あれこれ

『ザ・コンサルタント2』 ザ・コンサルタント2 (Amazon Prime Video) (監督:ギャビン・オコナー 2025年アメリカ映画) 一見地味目の会計士は実は命中率100%のスナイパーだったッ!?という「舐めてたヤツは凄腕のXX」ジャンルの変形版、『ザ・コンサルタン…

【ネタバレあり】従順なカノジョは実はXXXXXXだったッ!?/SFサスペンスホラー『コンパニオン』

コンパニオン (監督:ドリュー・ハンコック 2025年アメリカ映画) 相思相愛のカップル、アイリスとジョシュは、ある日友人たちの誘いで人里離れた別荘を訪れる。そこでアイリスは別荘所有者に暴行されかけ、その男を刺し殺してしまう。血塗れで取り乱すアイ…

海辺に建つ鳥居を拝んできた:沼津市戸田 諸口神社

この間の日曜、ゆっくりと起きてまだ寝ぼけ眼のオレに、突然相方が「これからちょっと遠出するから付き合いなさい」と宣言したのである。なにやら伊豆半島の向こうっ側にある”海辺に建つ鳥居”を見に行くのと、途中の「道の駅」にある温泉に入りたいのらしい…

インド製アクションスリラー映画『ヴィクラム』を観た

ヴィクラム (監督:ローケーシュ・カナガラージ 2022年インド映画) 消えた麻薬を巡り麻薬組織のボス、秘密捜査官、そして「無職のおっさん」が三つ巴の戦いを繰り広げるというインドのアクションスリラー映画です。主演はインドの国民的スター俳優カマル・…

豚モツの串焼きを”焼き鳥”と呼ぶのはなぜ?/『焼き鳥の戦前史〈東京ワンニラ史 中編〉』を読んだ

焼鳥の戦前史 第二版 / 近代食文化研究会 (著) なぜ女たちは「豚の子宮の焼鳥」を食べたのか?意外な事実だらけの焼鳥の歴史! (日本初のクリスマスチキン/クリスマスケーキの歴史解説も付録) 「豚の臓物の串焼き(いわゆる”ヤキトン”)を”焼き鳥”って呼…

フェデリコ・フェリーニ監督による古典的名作『道』を観た

道 (監督:フェデリコ・フェリーニ 1954年イタリア映画) フェデリコ・フェリーニ監督作『道』を観た 最近オレの中でイタリア映画界の巨匠、フェデリコ・フェリーニがプチブームである。とはいえフェリーニの代表作のひとつと呼ばれる初期作品『道』をまだ…

牛丼のルーツはモツ煮込みをかけた丼飯だった?/近代日本食文化史『牛丼の戦前史〈東京ワンニラ史 前編〉』を読んだ

牛丼の戦前史 / 近代食文化研究会 (著) 牛丼は牛鍋から生まれたものではない!豊富な資料で初めて明らかになる牛丼の歴史 本書『牛丼の戦前史』は、牛丼のルーツを探るのと同時に、丼物(どんぶりもの)それ自体のルーツと、それが大衆になぜどのように受け…

今度もトム君が走って飛んで危機一髪な映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング (監督:クリストファー・マッカリー 2025年アメリカ映画) トム・クルーズが特殊諜報機関IMFのリーダー:イーサン・ハントに扮し、実行不可能な作戦を次々とやり遂げてゆくというスパイアクション映画『…

スティーヴン・キングのファンタジー小説『フェアリー・テール』がイマイチだった

フェアリー・テール (上)(下) / スティーヴン・キング(著),白石朗(翻訳) 元アルコール依存症の父と暮らしていた17歳のチャーリーはある日、近所の偏屈な老人ボウディッチ氏が怪我をしているのを助け、世話をするうちに親しくなる。そして知ったのはボウディ…

近代日本食文化史『お好み焼きの戦前史』を読んだ

お好み焼きの戦前史 / 近代食文化研究会 (著) 9年以上の時間をかけて収集した300以上の資料によって初めて明らかになる、お好み焼きの歴史 ラーメンのルーツに関する最新研究結果も、この本において詳らかに 北海道生まれのせいか、お好み焼きを食べる…

美と若さに執着した果てを描く極悪ゲロゲロ阿鼻叫喚映画『サブスタンス』

サブスタンス (監督:コラリー・ファルジャ 2024年イギリス・フランス映画) 加齢に伴う容色の衰えからキャリアを失いつつあった女優が、謎の薬品〈サブスタンス〉を投与することで「若く美しい自分の分身」を手に入れる。再び脚光を浴び輝かしい日々を送る…

”人生は祭だ、ともに生きよう”/フェデリコ・フェリーニ監督作『8 1/2』

8 1/2 (監督:フェデリコ・フェリーニ 1963年イタリア・フランス映画) フェリーニの作品は幾つかは観ているのだが、その全てを理解しているとは言い難い。フェリーニで一番最初に気に入ったのはオムニバス『世にも怪奇な物語』の中の「悪魔の首飾り」とい…

近代日本洋食史『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』を読んだ

なぜアジはフライでとんかつはカツか?: カツレツ/とんかつ、フライ、コロッケ 揚げ物洋食の近代史 / 近代食文化研究会 (著) カツレツ/とんかつ、魚介類のフライ、コロッケ……揚げ物洋食の歴史を解き明かし、嘘・間違いだらけの日本西洋料理史を、膨大な資…

3度目のもふもふ/映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』

パディントン 消えた黄金郷の秘密 (監督:ドゥーガル・ウィルソン 2024年イギリス映画) 赤い帽子に青のダッフルコート。人間の言葉が話せてちょっとお茶目なくま、パディントンを主人公とした映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』です。イギリスの人気…