2025-01-01から1年間の記事一覧

映画『フランケンシュタイン』:古典回帰主義から逸脱できない凡庸なゴシックホラー

フランケンシュタイン(Netflix映画)(監督:ギレルモ・デル・トロ 2025年アメリカ映画) 『パンズ・ラビリンス』 『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロが、19世紀イギリス作家メアリー・シェリーによって創出されたゴシックホラー小…

映画『KILL 超覚醒』:インド発、血塗れ寝台特急、地獄行き。

KILL 超覚醒 (監督:ニキル・ナゲシュ・バート 2023年インド映画) インド発、血塗れ寝台特急、地獄行き インド東部ジャールカンド州から首都ニューデリーまで、約1200キロのルートを走る寝台列車がこの映画の舞台となる。夜が更け、乗客たちが眠りにつこう…

映画『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』:スピードとパワー、そしてテクニカルさの際立つ超絶バトルアニメ

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 (監督:木頭(MTJJ)、顧傑 2025年中国映画) 普段、アニメ作品はほとんど観ないのだが、実は相方が大のアニメファンで、毎日サブスクでさまざまな作品をとっかえひっかえ観ているほどだ。そんな彼女のお気に入りの一つが、中…

「ワシントン・ポー」シリーズ第1作『ストーンサークルの殺人』と第2作『ブラックサマーの殺人』を読んだ

イギリスの作家M・W・クレイヴンによるミステリー小説「ワシントン・ポー」シリーズ スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作を読み終え、「何か他にも良質なミステリ小説はないか?」と探していたところ、私のアンテナに引っかかったのが、イギリスの作…

『森脇真末味セレクション 死神』と『総特集 森脇真末味』を読んだ

”少女漫画家”森脇真末味 高校生だった頃、オレの周りの漫画好きな友人の間では「少女漫画」を読むのが一つの必須項目だった。少年漫画だけでなく少女漫画も読むというのは、重要な「オタク教養」だったのだ。正直、大島弓子、萩尾望都、山岸涼子、竹宮恵子と…

映画『プレデター:バッドランド』:「プレデター新時代」の到来を告げる最高に刺激的なSFモンスターアクション

プレデター:バッドランド (監督:ダン・トラクテンバーグ 2025年アメリカ映画) プレデターは、私にとって最も魅力的なモンスター・キャラクターの一人だ。シリーズで最もお気に入りなのは、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1作目よりも、近未来の…

凄腕暗殺者が暴れまわるド派手なアクション小説『エージェント17』

エージェント17 / ジョン ブロウンロウ (著), 武藤 陽生 (翻訳) 世界で最も恐れられているエージェント“17”。“15”までの暗殺者は、そのだれもが次の番号のエージェントたちによって殺されてきたが、“16”だけは殺されることなく姿を消していた。“16”の跡を継…

深夜の森の中で狙撃手に襲われる恐怖を描くスリラー小説『夜明けまでに誰かが』

夜明けまでに誰かが / ホリー・ジャクソン (著), 服部 京子 (翻訳) 高校生のレッドは、キャンピングカーで友人3人、お目付け役の大学生2人と春休みの旅行に出かけていた。だが人里離れた場所で車がパンク。携帯の電波は届かない。そして何者かに狙撃され、…

『槐と優』『黄昏ノ器神』など最近読んだコミックあれこれ

槐と優 / 諸星大二郎 (著) 槐と優 (単行本) 作者:諸星 大二郎 KADOKAWA Amazon 諸星大二郎の新作は天才少年・槐くんと不思議少女・優ちゃんが怪奇現象を解決する!?というホラーコメディ『槐と優』。雑誌「怪と幽」に連載しているのでこんなタイトルなのら…

大瀬崎に行って神社やらビャクシンやら神池やらを眺めてきた

三連休中日の日曜日は相方さんの運転する車で静岡県は沼津市にある大瀬崎にいってきました。これ、相方さんのライフワークである「海辺の鳥居を見に行く」の一環で、この大瀬崎には引手力命神社(大瀬神社)という神社があり、その鳥居を目指したということ…

『ファイナル・デッドブラッド』『アンティル・ドーン』など最近観たホラー映画

ファイナル・デッドブラッド (監督:ザック・リポフスキー、アダム・スタイン 2025年アメリカ映画) 死すべき運命を逃れた者たちが、その運命により再び一人また一人と命を落としてゆく様を描くホラー・サスペンス映画『ファイナル・デスティネーション』シ…

『The Twits アッホ夫婦』『カンフースタントマン 龍虎武師』など最近観た配信映画あれこれ

The Twits アッホ夫婦(Netflix映画)(監督:フィル・ジョンストン 2025年アメリカ・イギリス映画) NetflixのCGアニメ作品『The Twits アッホ夫婦』は、悪辣ないたずらにより町を大混乱に陥れるアッホ夫婦に孤児院の少女ビーシャが立ち向かう、という物語…

映画『ハウス・オブ・ダイナマイト』:時代錯誤的で考証の破綻した”核戦争の恐怖”

ハウス・オブ・ダイナマイト(Netflix映画) (監督:キャスリン・ビグロー 2025年アメリカ映画) 発射場所の特定されない核ミサイルがアメリカ本土へ飛来する。着弾までの僅か20分という極限の時間を、アメリカ軍事中枢部の複数の視点から活写するポリティ…

映画『M3GAN ミーガン2.0』:ホラーの殻を破り、SFアクションとして進化を遂げた愛すべき快作

M3GAN ミーガン2.0(Amazon Prime Video)(監督:ジェラルド・ジョンストン 2025年アメリカ映画) 最先端の子守りアンドロイド、ミーガンが殺戮を引き起こすSFホラー作品『M3GAN ミーガン』の続編である本作は、破壊されたはずのミーガンが軍事アンドロイド…

『ピースメイカー シーズン2』『エイリアン:アース』『ザ・レジデンツ』など最近観終わった配信ドラマ

ピースメイカー シーズン2 (U-NEXT) ジョン・シナが主演し、ジェームズ・ガンが総指揮を務めたDCEUドラマ『ピースメイカー』。そのシーズン2で描かれるのは、”有害な男らしさ”を体現した勘違いマッチョヒーロー、ピースメーカーの転落だ。己の愚行が裏目…

『プレイ・ダーティー』『第10客室の女』『キラー・ジーンズ』など最近観た配信映画

プレイ・ダーティー (Amazon Prime Video)(監督:シェーン・ブラック2025年アメリカ映画) マーク・ウォールバーグがダーティーな悪党を演じるアクション映画。ウォールバーグ好きなオレとしてはこれは観るしかないではないか(あのガサツな雰囲気が好きな…

映画『マインクラフト/ザ・ムービー』:他愛ないが最高に楽しい娯楽作

マインクラフト/ザ・ムービー (監督:ジャレッド・ヘス 2025年アメリカ映画) 全世界売上本数3億本という”世界で最も売れたインディーズゲーム”『マインクラフト』。一言でいうと「すべてが四角いブロックでできた世界で、自由に遊び、創造する」サンドボ…

映画『ミッキー17』:格差社会批判とファーストコンタクトテーマが複雑に絡み合う優れたSF作品

ミッキー17 (監督:ポン・ジュノ 2025年アメリカ映画) 映画『ミッキー17』は人類が他の惑星に植民する未来における、クローン人間の悲哀をコミカルかつシリアスに描いたSF作品だ。主演は『TENET テネット』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のロバート・パテ…

初デイキャンプは雨

こないだの10月11日土曜日、相方さんのかねてからの念願だったデイキャンプに同行してきました。 相方さんは最近車を購入したんですが、行動半径が広がったので今度はキャンプなどをしてみたい!とあれこれキャンプ用品をそろえていたんですね。それと、仙台…

最近読んだスリラー小説2冊:『螺旋墜落』『ハウスメイド』

螺旋墜落/ キャメロン・ウォード (著), 吉野 弘人 (翻訳) 数学教師チャーリーの乗った旅客機は午前0時に墜落、乗客乗員は死亡した。 だがチャーリーは23:00に目を覚ます。そして機は再び午前0時に墜落した。次に気がつくと時刻は23:01。彼女はタイムループ…

映画『トロン:アレス』:テクノな映像美に満ち溢れたシリーズ最高傑作

トロン:アレス (監督:ヨアヒム・ローニング 2025年アメリカ映画) シリーズ第3作『トロン:アレス』 電脳空間のAI戦士が現実世界に受肉し、この世界で生きたいと願う。それが、シリーズ第3弾となるSF映画『トロン:アレス』の核だ。1982年公開の第1作『トロ…

スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』3部作読了、そしてこれがもうとてつもない大傑作シリーズだった 

スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』3部作を読了した スウェーデン出身の作家スティーグ・ラーソンが手がけ、全世界で8000万部を売り上げた怪物級のミステリー小説『ミレニアム』3部作を、ようやく読み終えた。第1部『ドラゴン・タトゥーの女』は昨年読了…

最近観たDVDや配信など

『バーバレラ』 バーバレラ(監督:ロジェ・ヴァディム 1968年フランス・イタリア映画) バーバレラ [Blu-ray] ジェーン・フォンダ Amazon ジェーン・フォンダ主演の60年代SFお色気スペースオペラ映画『バーバレラ』、実はちゃんと観たことがなかったのでや…

映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』:ドタバタと狂気が交錯するネオ・アメリカン・ノワールの傑作

ワン・バトル・アフター・アナザー (監督:ポール・トーマス・アンダーソン 2025年アメリカ映画) 生きて娘を奪還できるのか? レオナルド・ディカプリオ主演、ポール・トーマス・アンダーソン監督による映画『ワン・バトル・アフター・アナザー(以下:OBA…

ホントに今頃だがゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』をクリアした

Ghost of Tsushima ゴースト・オブ・ツシマ (PS4,PS5,PC) 『Ghost of Tsushima ゴースト・オブ・ツシマ』をようやくクリアした 2020年に発売され、2024年の段階で世界1300万本を売り上げたという怪物級のアクションゲーム『Ghost of Tsushima ゴースト・オブ…

これまで読んだフィッツジェラルド本のまとめ

スコット・フィッツジェラルドの翻訳本を何冊か読み、一か月ほどかけてブログで紹介した。一応個人的にひと段落ついたので、今日はそれらのブログ記事をここにまとめておこうと思う。なお、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』も随分前に読んでブ…

スコット・フィッツジェラルド自選短篇集『若者はみな悲しい』を読んだ

若者はみな悲しい / スコット・フィッツジェラルド (著), 小川 高義 (翻訳) 理想の女性を追いつづける男の哀しみを描く「冬の夢」。わがままな妻が大人へと成長する「調停人」。親たちの見栄と自尊心が交錯する「子どもパーティ」など、本邦初訳4篇を含む9…

8月~9月の写真日記(ほぼ食べ物)

8月 某日 相方さんの作ってくれた冷麺が美味しかった。 某日 友人とピザとビールで飲み会。友人は実家に帰っていたとかで、お土産にカピバラトートバッグをもらった。 某日 相方さんと朝の公園に出掛けてコンビニで買ったサンドイッチで朝ごはん。散歩中のワ…

村上春樹翻訳版スコット・フィッツジェラルド短篇集『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』を読んだ

ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集 / スコット・フィッツジェラルド(著)、村上春樹(編訳) 作家としての窮状さえも、フィッツジェラルドは 見事に小説に結実させていった―― 華やかな喧噪の日々から一転、三十代にして迎えた不遇の時代。 そして…

最近読んだコミックあれこれ

ヴィンランド・サガ (29) /幸村誠 ヴィンランド・サガ(29) (アフタヌーンコミックス) 作者:幸村誠 講談社 Amazon 11世紀初頭の北ヨーロッパ及びその周辺を舞台に、ヴァイキングの主人公トルフィンと仲間たちが、約束の地・ヴィンランド(北アメリカ大陸…