ボーイ・キルズ・ワールド 爆拳壊界流転掌列伝 (監督:モーリッツ・モール 2024年アメリカ映画)

架空の独裁国家を舞台に、家族を虐殺され、自らも声と聴覚を失った少年の復讐への道のりを描いたアクション映画。「IT イット」シリーズのビル・スカルスガルドが主演を務め、『ザ・レイド』のヤヤン・ルヒアン、『X-MEN』シリーズのファムケ・ヤンセン、『第9地区』のシャルト・コプリーが共演、さらに『ダウントン・アビー』のミシェル・ドッカリーが悪辣な支配者を演じるところもファンとして期待が高まる。そして製作はあのサム・ライミ。
血塗れの復讐劇を描いた作品ではあるが世界観やトーンは非常にコミック調であり、アニメやビデオゲームを彷彿させる荒唐無稽な展開とアクションを楽しむ作品だ。主人公がいつも死んだ幼い妹と会話していたり、彼を取り巻く連中が誰もが風変わりで滑稽であったりと可笑しな演出が満載で、決して陰惨な物語に終始していない。というか全体的に「変」な映画であり、その「変」さがこの作品の醍醐味となるだろう。
ただしアクションにおいては全く手を抜いておらず、こうしたアクション映画ではあまり見たことのない殺陣が持ち込まれている部分も斬新だ。復讐劇で始まった物語は途中からちょっとしたツイストが加えられ、決して単調な物語になっていない部分も見どころ。ラスボスのチョイスも意外性があり楽しめた。それにしてもこの長ったらしい邦題、何と読むのかいまだに分からない。
市民捜査官ドッキ (監督:パク・ヨンジュ 2024年韓国映画)

振り込め詐欺の被害に遭い大金を奪われた主婦が、頼りにならない警察に業を煮やし、遂に自ら事件の捜査を開始する!?という韓国映画。2016年に実際に起こった大規模詐欺事件とその解決をモチーフにしており、映画の面白さだけでなく現実における社会問題をうかがい知ることのできる作品でもある。
振り込め詐欺を始めとするIT犯罪を描いた韓国映画には『声/姿なき犯罪者』『犯罪都市 PUNISHMENT』という作品を観たことがあるが、これもまた同様に別の国に拠点を持ち、タコ部屋によるオペレーターの監禁虐待など、おそろしく闇が深いのだ。今作ではタコ部屋のオペレーターが虐待に耐えかねて情報提供してきたという経緯があるが、このオペレーターにしても情報漏洩が発覚すれば命が危険にさらされ、そういった部分でのサスペンスも描かれることになる。
それにしても虚仮の一念というか、平凡極まりない市井のオバハンがその悔しさから一つの犯罪組織を壊滅させるという筋書きは大いに胸のすくものがあり、同時に「韓国のオバハン、めっちゃつええ!」と感心させられることしきりであった。
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