WEAPONS/ウェポンズ (監督:ザック・クレッガー 2025年アメリカ映画)

深夜2時17分。その町に住む17人の子供たちが忽然と姿を消した。彼らはすべて小学校の一クラスの生徒だった。しかし、たった一人だけ失踪を免れ、翌日登校した少年が存在する。子供たちにいったい何が起こったのか?なぜ同じ時刻に同時に失踪し、そして一人だけが残ったのか?
映画『WEAPONS/ウェポンズ』は、このあまりにも謎めいたオープニングから始まる。
物語は、さまざまな登場人物たちの視点をリレー形式で描き、芥川龍之介の短篇小説「藪の中」(『羅生門』の原作)を思わせる多角的な構成をとっている。この構成を通じて、事件の全貌が少しずつ明らかになってゆくのだ。主演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、ベネディクト・ウォン。ホラー映画『バーバリアン』を監督したザック・クレッガーが、本作でも監督・脚本・音楽を手がけている。
子供たちの集団失踪という内容は、中世の伝説**『ハーメルンの笛吹き男』**を強く想起させる。『ハーメルンの笛吹き男』は実際に起きた失踪事件を下敷きにしているという研究もあるが、その真相は未だ判明していない。
また、謎めいた集団失踪事件を描いたオーストラリア映画**『ピクニック・アット・ハンギング・ロック』も連想できるだろう。さらに、子供たちを突然、理不尽な形で失った親たちの悲しみと絶望感は、多発するアメリカの小学校銃撃事件**を彷彿とさせる。
『ハーメルンの笛吹き男』、『ピクニック・アット・ハンギング・ロック』、そして小学校銃撃事件。これらの事例に比して、『WEAPONS/ウェポンズ』は一体どこに「落としどころ」を見出そうとしているのか?私は、この問いを抱きながら鑑賞することになった。また、タイトルの**「WEAPONS=武器」**が、物語の内容とどう関わってくるのかという点も、尽きない興味を掻き立てる。
物語は、さまざまな視点を介しながら次第に真相に迫ってゆく。謎に満ちた失踪事件の糸口が少しずつ見出されてゆく展開は、十分にスリリングだ。事件の核心に迫りながらも、その核心にあるものが新たな謎を呼び、物語はさらなる暗黒の深淵へと近づく。そして巻き起こる新たな事件の発生により、さらなる錯綜を予見させる展開は見事である。「藪の中」形式はここで大いに効果を上げていた。
ただ、実を言うと、この中盤の「新たな事件」が最高のクライマックスになっている部分で、少々惜しい気分にさせられた。
(ネタバレを避けつつ書くならば)物語は、最終的にきっちりとした「説明」をつけて幕を閉じることになる。その構造は、クライムサスペンスとして始まりながらオカルトで終わったニコラス・ケイジ主演映画『ロングレッグス』を思い出させる。しかし、こうしたジャンルの急転換は、最初の展開から「梯子を外された」ように感じさせる側面がある。
それならば、例えば映画『エンゼル・ハート』のように、冒頭からミステリアスでありながら、同時にオカルト的な要素も予見させる展開であった方が、より深く映画に入り込めたように感じられた。とはいえ、謎めいたオープニングと事件の解題、といった展開は最後まで興味を尽きさせることなく見せてくれたことは確かだ。


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