BOOK

『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 新生代編』を読んだ

■古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 新生代編 / 土屋健 (著)、群馬県立自然史博物館 (監修) 「もしも既に絶滅してしまった古生物が現代に生きていたらどのぐらいのサイズ感なのだろう?」をコンセプトに、親しみやすい図説で好評を博した…

イスラエルSFの芳醇なる収穫、『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』を読んだ。

■シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 イスラエルと聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。驚くなかれ、「イスラエルという国家は、本質的にサイエンス・フィクションの国」(「イスラエルSFの歴史について」)なのだ。豊穣なるイスラエルSFの世…

「愛」という名の強迫観念/ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』を読んだ

■ロリータ / ウラジミール・ナボコフ 「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリであ…

華文ミステリ『死亡通知書 暗黒者』を読んだ

■死亡通知書 暗黒者 / 周 浩暉 死すべき罪人の名をネットで募り、予告殺人を繰り返す劇場型シリアルキラー〈エウメニデス〉。挑戦状を受け取った刑事・羅飛は事件を食い止めようと奔走するが……果たして命を懸けたゲームの行方は? 本国でシリーズ累計120万…

アシモフの『ファウンデーション』シリーズを読んだ

〔銀河帝国興亡史1〕第一銀河帝国は崩壊しつつあった。だが、その事実を完全に理解している人間は、帝国の生んだ最後の天才科学者のハリ・セルダンただ一人であった! 彼は来たるべき暗黒時代にそなえ、第二帝国樹立のためのファウンデーションを設立したの…

今頃ではあるが小松左京の『日本沈没』を読んだ。

■日本沈没 / 小松左京 鳥島の南東にある無人島が、一夜にして海中に沈んだ。深海潜水艇の操艇責任者の小野寺は、地球物理学の田所博士とともに、近辺の海溝を調査し、海底の異変に気づく。以降、日本各地で地震や火山の噴火が頻発。自殺した友人を京都で弔…

ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』を読んだ

■蠅の王 / ウィリアム・ゴールディング 未来における大戦のさなか、イギリスから疎開する少年たちの乗っていた飛行機が攻撃をうけ、南太平洋の孤島に不時着した。大人のいない世界で、彼らは隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しだいに、心に巣食…

アンソロジー『中国・SF・革命』はなんだかなあって感じだったなあ

■中国・SF・革命 / ケン・リュウ他 完売店続出の「文藝」春季号特集を大幅増補の上単行本化。新たにケン・リュウ、郝景芳 (ハオ・ジンファン)の初邦訳作品と柞刈湯葉の書き下ろし「改暦」を収録。 劉慈欣『三体』の世界的大ヒットに代表される 中国SFの現…

久しぶりに村上春樹を読んでオレはモニョッてしまった

■蛍・納屋を焼く・その他の短編 / 村上春樹 先日、韓国映画『バーニング』を観てその冷え冷えとした不気味さに感銘を受け、原作である村上春樹の短編『納屋を焼く』を読んでみることにした。『納屋を焼く』は短編集『蛍・納屋を焼く・その他の短編』に収録…

F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を読んだ。

■グレート・ギャツビー / F・スコット・フィッツジェラルド ニューヨーク郊外の豪壮な邸宅で夜毎開かれる絢爛たるパーティ。シャンパンの泡がきらめき、楽団の演奏に合わせて、着飾った紳士淑女が歌い踊る。主催者のギャツビーは経歴も謎の大富豪で、その心…

中華SF小説の新たなる収穫・『時のきざはし 現代中華SF傑作選』を読んだ

■時のきざはし 現代中華SF傑作選 / 立原透耶・編 本邦における中華SF紹介の第一人者たる立原透耶氏が、数多ある短編作品から十七篇の傑作を厳選。 劉慈欣と並び「中国SF四天王」と称される王晋康、韓松、何夕の三大家をはじめ、台湾SF界の長老・黄海…

天下の奇書と評される夢野久作の『ドグラ・マグラ』を読んだ

■ドグラ・マグラ / 夢野久作 精神医学の未開の領域に挑んで、久作一流のドグマをほしいままに駆使しながら、遺伝と夢中遊行病、唯物化学と精神科学の対峙、ライバル学者の闘争、千年前の伝承など、あまりにもりだくさんの趣向で、かえって読者を五里霧中に…

山尾悠子の幻想小説『飛ぶ孔雀』はオレには向いていなかったらしい

■飛ぶ孔雀 / 山尾悠子 庭園で火を運ぶ娘たちに孔雀は襲いかかり、大蛇うごめく地下世界を男は遍歴する。伝説の幻想作家、待望の連作長編小説。 最近「自分の好きな小説ジャンルはSFでも文学でもなく幻想小説なのではないか」と思ったのである。それはニール…

幻想小説短編集『言葉人形 (ジェフリー・フォード短篇傑作選)』を読んだ

■言葉人形 (ジェフリー・フォード短篇傑作選) / ジェフリー・フォード かつて、野良仕事に駆り出される子どもたちのために用意された架空の友人、言葉人形。それはある恐ろしい出来事から廃れ、今ではこの小さな博物館にのみ名残を留めている―表題作ほか、…

地球侵略SF『三体』シリーズ第2弾『三体Ⅱ 黒暗森林』がモノスゲエ面白かったぞお!

■三体Ⅱ 黒暗森林 (上)(下) / 劉 慈欣 人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り…

オルダス・ハクスリ―のディストピア小説『すばらしい新世界』は実はユートピア小説だった?

■すばらしい新世界 / オルダス・ハクスリ― すべてを破壊した“九年戦争”の終結後、暴力を排除し、共生・個性・安定をスローガンとする清潔で文明的な世界が形成された。人間は受精卵の段階から選別され、5つの階級に分けられて徹底的に管理・区別されていた…

今更ながらジョージ・オーウェルの『一九八四年』を読んだ

■一九八四年 / ジョージ・オーウェル “ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美…

バルテュスの画集を購入した

「ああ、この絵、なんだろう、変だなあ、でも好きだなあ」と思っていた画家がいて、でも名前をずっと思い出せなくて、何年間も「あれって誰なんだろう?」と頭の片隅で気にしていた。その名前がこの間、何かの拍子で判明し、また忘れないうちに画集を買って…

映画『地獄の黙示録』の原案にもなったジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』を読んだ

■闇の奥 / ジョゼフ・コンラッド 船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツ…

ジョン・ル・カレ・スパイ小説の総括ともいえる長編『スパイたちの遺産』

■スパイたちの遺産/ジョン・ル・カレ スマイリーの愛弟子として幾多の諜報戦を戦ってきたピーター・ギラムは、老齢となり、フランスの片田舎で引退生活を送っていた。ある日、彼は英国情報部から呼び出され、警くべきことを知らされる。冷戦のさなか、“ウィ…

旧い神々と新しい神々との戦い/ニール・ゲイマンの『アメリカン・ゴッズ』が凄まじく素晴らしかった

■アメリカン・ゴッズ(上)(下)/ニール・ゲイマン 出所まであと五日。三年の服役を終え、残りの日数を数えるシャドウ。あと、四日。あと、三日。そして…。その日まで四十八時間と迫ったとき、看守に呼び出されたシャドウはこう告げられた。今朝、愛する妻が自…

ニール・ゲイマンによるダーク・ファンタジー短編集『壊れやすいもの』を読んだ

■壊れやすいもの/ニール・ゲイマン 緑の液体が飛び散る惨殺死体にベイカー街の名探偵が挑む「翠色の習作」、女性が忽然と失踪した、いかがわしく謎めいたサーカスへと誘われる「ミス・フィンチ失踪事件の真相」、ナルニア国物語に登場する美少女のその後に…

筒井康隆短編集『堕地獄仏法/公共伏魔殿』を読んだ

■堕地獄仏法/公共伏魔殿 / 筒井康隆 巨大な権力を握った某国営放送の腐敗と恐怖を描き、一読すれば受信料を払わずにはいられない「公共伏魔殿」、諸事情によりここにはあらすじを書けないもうひとつの表題作「堕地獄仏法」、ロボット記者たちに理路整然と問…

小川哲のSF小説『ゲームの王国』を読んだ。

■ゲームの王国(上)(下) / 小川哲 サロト・サル―後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子、ソリヤ。貧村ロベーブレソンに生まれた、天賦の「識」を持つ神童のムイタック。運命と偶然に導かれたふたりは、軍靴と砲声に震える1975年のカンボジ…

アンソロジー『どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集』を読んだ

■どこにもない国―現代アメリカ幻想小説集/柴田元幸=編訳 「奇妙な味」の物語が好きである。江戸川乱歩が作ったと言うこの言葉は、ミステリともホラーともSFともつかない、当然主流文学にも当てはめることの出来ない、どこか不可思議で不条理な物語に与えら…

『カウントダウン・シティ』は世界の終りとハードボイルドなワンダーランドを描くSFミステリだった

■カウントダウン・シティ/ベン・H・ウィンタース 失踪した夫を捜してくれないか―元刑事のパレスは、知人女性にそう頼まれる。小惑星が地球に衝突して人類が壊滅すると予測されている日まで、あと七十七日。社会が崩壊していくなか、人ひとりを捜し出せる可…

冥府魔道を突き進む父娘を描くバイオレンスアクション小説『拳銃使いの娘』

■拳銃使いの娘/ジョーダン・ハーパー 11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。だが時すでに遅…

バラエティ豊かな中国SFのショウケイス『月の光 現代中国SFアンソロジー』

■月の光 現代中国SFアンソロジー 国家のエネルギー政策に携わる男はある晩、奇妙な電話を受ける。彼のことを詳しく知る電話の男は、人類と地球の絶望的な未来について語り、彼にそれを防ぐ処方箋を提示するが……。『三体』著者である劉慈欣の真骨頂たる表題作…

航空ミステリ『座席ナンバー7Aの恐怖』を読んだ

■座席ナンバー7Aの恐怖/セバスチャン・フィツェック 上空数千メートルを飛ぶ旅客機。そこに乗り込んだ飛行機恐怖症の精神科医クリューガー。彼を見舞ったのは想像を絶する悪夢だった。誘拐された娘を救いたければ、この飛行機を墜落させろ。それが犯人の要…

18世紀末スウェーデンを舞台にした歴史ミステリ『1793』

■1793 / ニクラス ナット・オ・ダーグ 1793年――フランスでは革命の混乱が続き、その年、王妃マリー・アントワネットが処刑された。スウェーデンにもその空気は広がっており、前年1792年には国王グスタフ3世が仮面舞踏会の最中に暗殺されている。無意味な戦…