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スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』3部作読了、そしてこれがもうとてつもない大傑作シリーズだった 

スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』3部作を読了した スウェーデン出身の作家スティーグ・ラーソンが手がけ、全世界で8000万部を売り上げた怪物級のミステリー小説『ミレニアム』3部作を、ようやく読み終えた。第1部『ドラゴン・タトゥーの女』は昨年読了…

これまで読んだフィッツジェラルド本のまとめ

スコット・フィッツジェラルドの翻訳本を何冊か読み、一か月ほどかけてブログで紹介した。一応個人的にひと段落ついたので、今日はそれらのブログ記事をここにまとめておこうと思う。なお、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』も随分前に読んでブ…

スコット・フィッツジェラルド自選短篇集『若者はみな悲しい』を読んだ

若者はみな悲しい / スコット・フィッツジェラルド (著), 小川 高義 (翻訳) 理想の女性を追いつづける男の哀しみを描く「冬の夢」。わがままな妻が大人へと成長する「調停人」。親たちの見栄と自尊心が交錯する「子どもパーティ」など、本邦初訳4篇を含む9…

村上春樹翻訳版スコット・フィッツジェラルド短篇集『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』を読んだ

ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集 / スコット・フィッツジェラルド(著)、村上春樹(編訳) 作家としての窮状さえも、フィッツジェラルドは 見事に小説に結実させていった―― 華やかな喧噪の日々から一転、三十代にして迎えた不遇の時代。 そして…

村上春樹翻訳版スコット・フィッツジェラルド短篇集『バビロンに帰る: ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2』を読んだ

バビロンに帰る: ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2 / スコット・フィッツジェラルド(作)、村上春樹(翻訳) 僕らはこの不躾なくらいに気前よく才能をまき散らす作家に脱帽しないわけにはいかない……ビター・スイートな五短編と訳者のアッシュヴ…

村上春樹 著訳『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』を読んだ

ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック / 村上春樹 著訳 それは『グレート・ギャツビー』翻訳への長い旅の始まりでもあった―生地セント・ポールから魂の眠るロックヴィルまで、ゆかりの各地を訪ねる紀行のほか、類い稀なヴァイタリティーでスコットを翻…

村上春樹翻訳版スコット・フィッツジェラルド短篇集『マイ・ロスト・シティー』を読んだ

マイ・ロスト・シティー / スコット・フィッツジェラルド(作)、村上春樹(翻訳) 何年ものあいだ、フィッツジェラルドだけが僕の師であり、大学であり、文学仲間であった――翻訳者・村上春樹の出発点ともなった短篇集を全篇改訳。新たにフィッツジェラルド…

村上春樹翻訳版スコット・フィッツジェラルド短篇集『冬の夢』を読んだ

冬の夢 / スコット・フィッツジェラルド(作)、村上春樹(翻訳) 天衣無縫に、鮮やかに、そして痛切に-八十年の時を越えて今も読む者の心を打つ、二十代の天才的作家の瑞々しい筆致。フィッツジェラルドのベスト短篇の一つに訳者が挙げる表題作ほか、来る…

注目のファンタジー&ホラー作家、T・キングフィッシャーの作品を3作読んだ

T・キングフィッシャーのファンタジー&ホラー作品を3冊読んだ T・キングフィッシャーは1977年生まれのアメリカの作家・イラストレーター・漫画家だ。本名はアーシュラ・ヴァーノンといい、大人向け作品を執筆する際にT・キングフィッシャーというペンネー…

怪奇な夏は終わらない!?納涼・怪奇幻想小説祭り第3弾!!

歴の上では秋ではあるが、まだまだ厳しい暑さが続いている。暑さをしのぐにはやはり納涼。そして納涼と言えば怪奇幻想である。というわけで「怪奇幻想小説祭り」の第3弾をここに賑々しく(?)開催させていただきたい。 ロアルド・ダールの幽霊物語 / ロア…

夏だ!怪奇だ!まだまだ続くよ納涼・怪奇幻想小説祭り第2弾!!

暑い夏はまだまだ終わらない。そして夏と言えば、怪奇と幻想。というわけで今回は、以前の記事「夏だ!怪奇だ!納涼・怪奇幻想小説祭り!」に続く第2弾として、夏にぴったりの珠玉の作品を3冊紹介する。 魂の奥底をゆさぶる深い戦慄『奥の部屋: ロバート・エ…

夏だ!怪奇だ!納涼・怪奇幻想小説祭り!

今年も暑い毎日が続いている。6月ぐらいから早くも30℃を超えていたし、7月で35℃超え、8月になるとどこもかしこも40℃近くまで上がるという、もうなにがどうなってんだ状態である。こんな夏はエアコンの効いた部屋にこもって怪奇小説でも読みながら納涼するに…

芥川龍之介と英米怪異幻想譚:知られざる西洋文学への深い愛 /『芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚』

芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚 / 澤西 祐典 (編集), 柴田 元幸 (編集) 芥川が選んだ「新らしい英米の文芸」は,まさに当時の「世界文学」最前線であった.旧制高校の英語副読本として編まれたアンソロジー八巻より,二二の短篇・エッセイを精選.ポーやビ…

東方に膨張する聖書ストーリー/『古代オリエントの宗教』を読んだ

古代オリエントの宗教 / 青木健 (著) パレスティナ発の「聖書ストーリー」は、メソポタミア平原を越え、イラン高原へ。東方へ膨張をつづける聖書ストーリーに対し、諸民族はいかに向き合ったか。最大の土着宗教ゾロアスター教、「真のキリスト教」を自称し…

『イタリア史10講』を読んだ

イタリア史10講 / 北村 暁夫 イタリア史10講 (岩波新書) 作者:北村 暁夫 岩波書店 Amazon ヨーロッパ・地中海世界の要たるこの地には、古来じつに多様な人びとが行きかい、ゆたかな歴史を織り上げてきた。リソルジメント(統一運動)以降の近現代史はもちろん…

『はじめて読む人のローマ史1200年』を読んだ

はじめて読む人のローマ史1200年 /本村凌二 はじめて読む人のローマ史1200年 (祥伝社新書) 作者:本村凌二 祥伝社 Amazon 数ある文明のなかで、起承転結をこれほど完璧に見せた歴史はない。本書は、その1200年間を4つの時代に分け、「なぜ、ローマは大帝国に…

『物語 イタリアの歴史 解体から統一まで』と『物語 イタリアの歴史II 皇帝ハドリアヌスから画家カラヴァッジョまで 』を読んだ

物語 イタリアの歴史 解体から統一まで / 藤沢道郎(著) 物語 イタリアの歴史 解体から統一まで (中公新書) 作者:藤沢道郎 中央公論新社 Amazon 皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コ…

「大衆食文化史」本のまとめ

唐突に”大衆食文化史”に興味が湧き、それにまつわる何冊かの本を集中して読んだ。対象となった料理はカレー、フライ・とんかつ、お好み焼き、牛丼、焼き鳥、串かつ、ラーメン、焼きそば、スパゲティといった誰にも馴染みのあるものばかりである。学術的な知…

『パスタでたどるイタリア史』を読んだ

パスタでたどるイタリア史 / 池上 俊一 (著) 長い歴史と豊かな地域色をもつイタリアで、人々の心を結ぶ国民食パスタ。古代ローマのパスタの原型、アラブ人が伝えた乾燥パスタ、大航海時代がもたらしたトマト。パスタの母体となった中世農民のごった煮スープ…

『麺の歴史 ラーメンはどこから来たか』『ソース焼きそばの謎』を読んだ

麺の歴史 ラーメンはどこから来たか / 奥村 彪生 (著), 安藤 百福 (読み手) 麺の歴史 ラーメンはどこから来たか (角川ソフィア文庫) 作者:奥村 彪生 KADOKAWA Amazon 「チキンラーメン」生みの親の安藤百福と、日本の食文化研究家の奥村彪生がラーメンのル…

高級洋食が大衆化してゆく経緯を追った『串かつの戦前史〈東京ワンニラ史 後編〉』を読んだ

串かつの戦前史/ 近代食文化研究会 (著) 上流階級向けの高級フルコース料理として始まった明治初期の西洋料理は、次第に大衆化し、庶民の日常へと溶け込んでいった。 その大衆化が行き着いた究極の姿が、屋台でコップ酒片手に立ち食いする串かつであり、肉…

豚モツの串焼きを”焼き鳥”と呼ぶのはなぜ?/『焼き鳥の戦前史〈東京ワンニラ史 中編〉』を読んだ

焼鳥の戦前史 第二版 / 近代食文化研究会 (著) なぜ女たちは「豚の子宮の焼鳥」を食べたのか?意外な事実だらけの焼鳥の歴史! (日本初のクリスマスチキン/クリスマスケーキの歴史解説も付録) 「豚の臓物の串焼き(いわゆる”ヤキトン”)を”焼き鳥”って呼…

牛丼のルーツはモツ煮込みをかけた丼飯だった?/近代日本食文化史『牛丼の戦前史〈東京ワンニラ史 前編〉』を読んだ

牛丼の戦前史 / 近代食文化研究会 (著) 牛丼は牛鍋から生まれたものではない!豊富な資料で初めて明らかになる牛丼の歴史 本書『牛丼の戦前史』は、牛丼のルーツを探るのと同時に、丼物(どんぶりもの)それ自体のルーツと、それが大衆になぜどのように受け…

スティーヴン・キングのファンタジー小説『フェアリー・テール』がイマイチだった

フェアリー・テール (上)(下) / スティーヴン・キング(著),白石朗(翻訳) 元アルコール依存症の父と暮らしていた17歳のチャーリーはある日、近所の偏屈な老人ボウディッチ氏が怪我をしているのを助け、世話をするうちに親しくなる。そして知ったのはボウディ…

近代日本食文化史『お好み焼きの戦前史』を読んだ

お好み焼きの戦前史 / 近代食文化研究会 (著) 9年以上の時間をかけて収集した300以上の資料によって初めて明らかになる、お好み焼きの歴史 ラーメンのルーツに関する最新研究結果も、この本において詳らかに 北海道生まれのせいか、お好み焼きを食べる…

近代日本洋食史『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』を読んだ

なぜアジはフライでとんかつはカツか?: カツレツ/とんかつ、フライ、コロッケ 揚げ物洋食の近代史 / 近代食文化研究会 (著) カツレツ/とんかつ、魚介類のフライ、コロッケ……揚げ物洋食の歴史を解き明かし、嘘・間違いだらけの日本西洋料理史を、膨大な資…

『新しいカレーの歴史 上 : 日本渡来以前の諸国のカレー』を読んだ

新しいカレーの歴史 上 : 日本渡来以前の諸国のカレー / 近代食文化研究会 イギリスのカレーの歴史は、女性が紡いできた フランスのカレーの歴史は、男性が紡いできた 日本に渡来する以前の各国のカレーは、どのような歴史をたどり、どのような姿をしていた…

生きていたヒトラーの拉致連行作戦を描くフィクション『ヒトラーの弁明 : サンクリストバルへのA・Hの移送』を読んだ

ヒトラーの弁明 : サンクリストバルへのA・Hの移送 / ジョージ スタイナー (著), 佐川 愛子 (翻訳), 大西 哲 (翻訳) 統一ドイツで台頭するネオ・ナチ、歴史修正主義の動き、そして国連決議を無視したイスラエルのパレスチナ占領の現実ー。現代史の悪夢。ヒ…

”ただならぬ神仏像”を紹介した著書『怪仏異神ミステリー』

怪仏異神ミステリー / 本田 不二雄 (著) なぜそんなお姿なのか。 なぜそんなお姿でなくてはならなかったのか。 そんな像がなぜそこに祀られているのか。 本書は、「神仏探偵」として、全国にある 「ただならぬ神仏像」を探索し続けてきた 著者が、これまで…

ジュリアン・バーンズの『イングランド・イングランド』 を読んだ

イングランド・イングランド / ジュリアン・バーンズ (著), 古草 秀子 (翻訳) ブッカー賞受賞作家が描くテーマパーク・イングランド。そこにはウェストミンスター寺院、ガーデニング、ロビン・フッド、紅茶、シェイクスピア、生ぬるいビール、ハロッズ、王…