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フランス文学探訪:その4/プレヴォ『マノン・レスコー』、コクトー『恐るべき子供たち』

マノン・レスコー /プレヴォ(著)、野崎 歓 (訳) マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫) 作者:プレヴォ 光文社 Amazon 将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満…

フランス文学探訪:その3/ラディゲ『肉体の悪魔』、メリメ『カルメン、タマンゴ』

肉体の悪魔 / ラディゲ(著)、中条 省平(訳) 肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫) 作者:ラディゲ 光文社 Amazon 第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マル…

フランス文学探訪:その2/モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』、フローベール『ボヴァリー夫人』

脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作集 / モーパッサン(著)、太田 浩一 (訳) 脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選 (古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon プロイセン軍を避けて街を出た馬車で、“脂肪の塊”という愛称の娼婦と乗りあわせ…

フランス文学探訪:その1/サン=テグジュペリ『星の王子さま』、カミュ『異邦人』

星の王子さま /サン=テグジュペリ (著)、河野 万里子 (訳) 星の王子さま (新潮文庫) 作者:サン=テグジュペリ 新潮社 Amazon 砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の…

フランス文学探訪:序というかなんというか

フランス文学を読もうと思ったのである。それも名作と呼ばれる古典文学を中心に読もうと思ったのである。残念な事にオレは文学に疎い。SFとかホラーとかなんかそーゆー小説ばかり読んできた人間だ。そんなオレがなぜ唐突にフランス古典文学を読もう!などと…

キューブリック映画ポスターの集大成『スタンリー・キューブリック 映画ポスター・アーカイヴ』

スタンリー・キューブリック 映画ポスター・アーカイヴ 宣伝ポスターまでもコントロールした男 / 井上由一(著) 『2001年宇宙の旅』や『時計仕掛けのオレンジ』、『シャイニング』など、映画史に残る傑作名作を残してきた天才映画監督スタンリー・キューブリ…

その時、何が起こったのか?/長編小説『異常【アノマリー】』

異常【アノマリー】/ エルヴェ ル・テリエ (著)、加藤かおり(訳) 「もし別の道を選んでいたら……」 良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめる アフリカ系アメリカ人のジョアンナ。 穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブ…

スタニスワフ・レムの『地球の平和』を読んだ

地球の平和 / スタニスラフ・レム(著)、芝田文乃 (訳)、沼野充義 (その他) 国書刊行会によるスタニスワフ・レム・コレクション第Ⅱ期配本の第2弾は本邦初訳となる長編SF『地球の平和』。出版は1987年、レム最期の作品『大失敗』と同時期の作品だが、『大失敗…

不気味で、豊かで、不思議さに満ちた海。/絵本『旅する小舟』

旅する小舟/ペーター・ヴァン・デン・エンデ (著)、岸本佐知子(訳) ショーン・タンが驚愕し、岸本佐知子が大激賞! ゴーリー編集者・田中優子が編集した子どもから大人まで、誰もが楽しめる文字なし絵本。 オランダ発、英語版はNYタイムズとWSジャーナルのベ…

『三体』劉慈欣による絵本『火守(ひもり)』を読んだ

火守(ひもり)/ 劉 慈欣 (著)、池澤 春菜 (訳)、西村 ツチカ (絵) 人はそれぞれの星を持っている。病気の少女のため、地の果てに棲む火守の許を訪れたサシャは、火守の老人と共に少女の星を探す過酷な旅に出る--。世界的SF作家が放つ、心に沁みるハート…

アンディ・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は最高に面白い傑作SFなのでみんなも読むといいんだ!

プロジェクト・ヘイル・メアリー /アンディ ウィアー (著)、小野田 和子 (訳) 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント!未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある…

2021年まとめ:今年面白かった本

今年読んだ本は50冊ちょっとでしょうか、去年のまとめ記事読んだらやはり50冊くらいで、まあオレが1年に読めるのは頑張ってこの冊数ってことみたいですね。 やはり今年一番衝撃を受けたのはフランスの文芸作家ミシェル・ウエルベックとの出会いでしょう。文…

『三体』の劉慈欣によるSF短篇集『円 劉慈欣短篇集』

円 劉慈欣短篇集 /劉 慈欣 (著)、大森 望 (訳)、泊 功 (訳)、齊藤 正高 (訳) 十万桁まで円周率を求めよという秦の始皇帝の命により、学者の荊軻は始皇帝の三百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機を編みだすのだが……『三体』抜粋改作にして星雲賞受賞作「円」…

現代フランス文学を3作読んでみた

ミシェル・ウエルベックの作品は全部読み終わってしまったが、現代フランス文学というのもなかなか面白いものだなと思い、3作ほどセレクトして読んでみることにした。作者・タイトルはそれぞれオリヴィエ・ゲースの『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』、アントワー…

最近読んだSF:『時間の王』『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』

時間の王 / 宝樹 (著)、稲村 文吾 (訳)、阿井 幸作 (訳) 時間の王 作者:宝樹 早川書房 Amazon 俺は時間の王だ――自分の人生のあらゆる時間を自由に通り抜けられる。些細な事故に遭ったせいで思い出した瞬間に戻ることができる能力を手に入れた主人公は、子供…

最近読んだSFやらなにやら:『ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー』『破滅の王』

ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー / マーサ・ウェルズ (著)、中原 尚哉 (訳) ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ 東京創元社 Amazon かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶…

ミシェル・ウエルベックのすべての邦訳作品を読んだ

ミシェル・ウエルベック オレとミシェル・ウエルベック フランスの現代文学作家、ミシェル・ウエルベックの全邦訳作品を読み終えた(小説8作、評論2作)。 最初にウエルベック小説と出会ったのは池澤夏樹編集による世界文学全集の『短編コレクション2』だっ…

ミシェル・ウエルベックの評論『ショーペンハウアーとともに』を読んだ

ショーペンハウアーとともに / ミシェル・ウエルベック 《世界が変わる哲学》がここにある! 現代フランスを代表する作家ウエルベックが、19世紀ドイツを代表する哲学者ショーペンハウアーの「元気が出る悲観主義」の精髄をみずから詳解。その思想の最奥に…

ミシェル・ウエルベックの評伝『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』を読んだ

H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って / ミシェル・ウエルベック 『服従』『素粒子』で知られる《世界一センセーショナルな作家》、ミシェル・ウエルベックの衝撃のデビュー作、ついに邦訳! 「クトゥルフ神話」の創造者として、今日の文化に多大な影響を与…

スタニスワフ・レムのSF長編『インヴィンシブル』を読んだ

インヴィンシブル / スタニスワフ・レム 『ソラリス』で知られるSF小説界の巨匠、スタニスワフ・レム。哲学的思弁を持った彼の作品はオレも大好きであれこれの作品を愛読していた。そのレムの選りすぐりの作品を国書刊行会が「スタニスワフ・レム・コレクシ…

フランスにイスラーム政権が誕生した近未来/ミシェル・ウエルベックの『服従』を読んだ

服従/ミシェル・ウエルベック 二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後に…

ミシェル・ウエルベックの『セロトニン』を読んだ

セロトニン / ミシェル・ウエルベック 巨大化企業モンサントを退社し、農業関係の仕事に携わる46歳のフロランは、恋人の日本人女性ユズの秘密をきっかけに“蒸発者”となる。ヒッチコックのヒロインのような女優クレール、図抜けて敏捷な知性の持ち主ケイト、…

ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』を読んだ

プラットフォーム / ミシェル・ウエルベック 男ミシェル、41歳独身。父が殺された。けれど不思議と悲しみが湧かない。女ヴァレリー、28歳。旅行会社のエリート社員。思春期に他人への関心を失ったまま成長した。南国タイで、二人は出逢う―何気ない運命のよ…

ミシェル・ウエルベックの『ランサローテ島』を読んだ

ランサローテ島/ミシェル・ウエルベック カナリア諸島のランサローテ島。地震と火山の噴火によって破壊された荒涼たる大地。赤、黒、薄紫の岩場に生える奇妙な形状のサボテン群。20世紀最後の年の1月、4人の男女がそこで出会う。自由とカルトをめぐる物語。…

ミシェル・ウエルベックの『ある島の可能性』を読んだ

ある島の可能性/ミシェル・ウエルベック 物語は世界の終わりから始まる。喜びも、恐れも、快楽も失った人類は、ネオ・ヒューマンと呼ばれる永遠に生まれ変われる肉体を得た。過去への手がかりは祖先たちが残した人生記。ここに一人の男のそれがある。成功を…

ええええッ!?なんとオレがライターデビュー、なのかッ!?/『ジョージ・A・ロメロの世界 映画史を変えたゾンビという発明』

ジョージ・A・ロメロの世界 映画史を変えたゾンビという発明 映画の歴史を変えた男、ジョージ・A・ロメロとは何者だったのか 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)、『ゾンビ』(1978年)、『死霊のえじき』(1985年)の「ゾンビ」三部作により、映画…

ミシェル・ウエルベックの『地図と領土』を読んだ

地図と領土/ミシェル・ウエルベック 孤独な天才芸術家ジェドは、個展のカタログに原稿を頼もうと、有名作家ミシェル・ウエルベックに連絡を取る。世評に違わぬ世捨て人ぶりを示す作家にジェドは仄かな友情を覚え、肖像画を進呈するが、その数カ月後、作家は…

ミシェル・ウエルベックの『闘争領域の拡大』を読んだ

闘争領域の拡大/ミシェル・ウエルベック 闘争領域。それはこの世界、自由という名のもとに繰り広げられる資本主義世界。勝者にとっては快楽と喜びが生まれる天国、敗者にとってはすべて苦しみ、容赦ない攻撃が続くシビアな世界。日々、勝者か敗者かの人生が…

西欧文明の終焉を描くフランス文学の極北:ミシェル・ウエルベック『素粒子』

素粒子/ミシェル・ウエルベック 人類の孤独の極北に揺曳する絶望的な“愛”を描いて重層的なスケールで圧倒的な感銘をよぶ、衝撃の作家ウエルベックの最高傑作。文学青年くずれの国語教師ブリュノ、ノーベル賞クラスの分子生物学者ミシェル―捨てられた異父兄…

『短篇コレクション 2 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)』を読んだ

「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 短編コレクション」は以前第1集を読み、その想像力豊かな粒揃いの作品群に非常に感銘を覚えた。短編と言いつつどれも濃厚で重量級の作品ばかりで、いつもはSF小説ばかり読んでいるオレが「文学スゲエ……」と心打ちのめされ…