BOOK

「マーダーボット・ダイアリー」シリーズ最新作『逃亡テレメトリー』を読んだ

逃亡テレメトリー マーダーボット・ダイアリー/マーサ・ウェルズ (著)、中原 尚哉 (訳) かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されていた人型警備ユニットの“弊機”。紆余曲折のすえプリザベーション連合に落ち着いた弊機は、ステーション内で何者…

劉慈欣のSF短編集『老神介護』を読んだ

老神介護/劉慈欣(著)、大森望(訳)、古市雅子(訳) SF超大作『三体』シリーズでSF界を席巻した劉慈欣の最新短編集。昨日紹介した『流浪地球』に続き今日は『老神介護』を紹介。 『老神介護』に収録の作品は全5作、同時発売の『流浪地球』が宇宙進出や異星人と…

劉慈欣のSF短編集『流浪地球』を読んだ

流浪地球/劉慈欣(著)、大森 望 (訳)、古市 雅子 (訳) 『三体』シリーズでSF史を塗り替えてしまった劉慈欣の短編集が2冊刊行された。タイトルは『流浪地球』と『老神介護』。両方とも速攻で購入、速攻で読み終わり、そして「ぐっはあああ、めっちゃ面白かっ…

英米古典怪奇談集Ⅱ『彼方の呼ぶ声』を読んだ

彼方の呼ぶ声:英米古典怪奇談集Ⅱ/ BOOKS桜鈴堂 (編集, 翻訳) 『夜のささやき、闇のざわめき』に続く、傑作怪奇談集第2弾!! 英米の古典怪奇談の中から知られざる良作を厳選し、紹介する本シリーズ。 今回の収録作品9篇は、すべて本邦初訳。荒涼たるブルター…

英米古典怪奇談集Ⅰ『夜のささやき、闇のざわめき』を読んだ

夜のささやき、闇のざわめき:英米古典怪奇談集Ⅰ/ BOOKS桜鈴堂 (編集, 翻訳) あなたを闇の世界へ誘う、珠玉のゴーストストーリー14編!!ビアス、ジェイムズ、レ・ファニュ、ブラックウッド他、怪奇小説の名手たちに、本邦初訳となる知られざる作家たちをくわ…

創元SFアンソロジー『巨大宇宙SF傑作選 黄金の人工太陽』を読んだ

巨大宇宙SF傑作選 黄金の人工太陽/J・J・アダムズ (編集), 中原 尚哉他 (翻訳) SFとファンタジーの基本はセンス・オブ・ワンダーだ。そして並はずれたセンス・オブ・ワンダーを味わえるのは、超人的なヒーローが宇宙の命運をかけて銀河のかなたで恐ろしい…

サラ・ピンスカーのSF短編集『いずれすべては海の中に』が優れモノ揃いだった

いずれすべては海の中に/サラ・ピンスカー (著)、市田泉 (訳) 最新の義手が道路と繫がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終…

フランス文学探訪:まとめとして

4月から続けてきたブログ企画「フランス文学探訪」は前回ブログで更新したA・デュマ『モンテ=クリスト伯』で一応の最終回とした。「一応」と書いたのは別にこれでフランス文学を読まないという事ではないからだ。そして「一応の最終回」にしたのはフランス…

フランス文学探訪:その20/A・デュマ『モンテ=クリスト伯』

モンテ=クリスト伯 (講談社文庫版・全5巻) /アレクサンドル・デュマ・ペール(著)、新庄嘉章(訳) モンテ=クリスト伯(1) (講談社文庫) 作者:A・デュマ 講談社 Amazon モレル父子商会の帆船の若い船長候補エドモン・ダンテスは、同僚のダングラールと恋…

フランス文学探訪:その19/パスカル『パンセ』

パンセ / パスカル (著)、前田陽一 (訳)、由木康 (訳) パンセ (中公文庫プレミアム) 作者:パスカル 中央公論新社 Amazon 近代科学史に不滅の業績をあげた不世出の天才パスカルが、厳正で繊細な批判精神によって人間性にひそむ矛盾を鋭くえぐり、人間の真の…

フランス文学探訪:その18/デカルト『方法序説』

方法序説 / デカルト (著)、谷川 多佳子(訳) 方法序説 (岩波文庫) 作者:デカルト,谷川 多佳子 岩波書店 Amazon すべての人が真理を見いだすための方法を求めて,思索を重ねたデカルト(1596-1650).「われ思う,ゆえにわれあり」は,その彼がいっさいの外…

フランス文学探訪:その17/アラン『幸福論』

幸福論/アラン(著)、神谷幹夫(訳) アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 岩波書店 Amazon ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに,総計5000に上るアランのプロポ(哲学断章)。「哲学を文学に,文学を哲学に」変えようとするこの独…

フランス文学探訪:その16/ロブ=グリエ『消しゴム』

消しゴム / アラン・ロブ=グリエ(著)、中条省平(訳) 消しゴム (光文社古典新訳文庫) 作者:アラン ロブ=グリエ 光文社 Amazon 殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往…

フランス文学探訪:その15/サルトル『嘔吐』

嘔吐 / J‐P・サルトル (著)、鈴木 道彦 (訳) 嘔吐 新訳 作者:J‐P・サルトル 人文書院 Amazon 港町ブーヴィル。ロカンタンを突然襲う吐き気の意味とは…。一冊の日記に綴られた孤独な男のモノローグ。60年ぶり待望の新訳。存在の真実を探る冒険譚。 『嘔吐…

『三体』三部作スピンオフ作品『三体X』が『三体』並みに凄すぎた!

三体X 観想之宙 / 宝樹 (著)、大森 望 (訳)、光吉 さくら (訳)、ワン チャイ (訳) アジアに初めてヒューゴー賞をもたらし、世界で2900万部、日本でも63万部を売り上げた『三体』三部作を、劉慈欣を敬愛する中国新世代のSF作家・宝樹が受け継いだ。謎のすべ…

フランス文学探訪:その14/『フランス名詩選』

フランス名詩選/安藤 元雄(編)、渋沢 孝輔(編)、入沢 康夫(編) フランス名詩選 (岩波文庫) 岩波書店 Amazon 15世紀のヴィヨンから,19世紀のボードレール,マラルメ,ヴェルレーヌ,ランボー,さらにジャム,ヴァレリー,アポリネール,そして現代に続くブ…

フランス文学探訪:その13/ラシーヌ 『フェードル、アンドロマック』

フェードル、アンドロマック / ジャン・ラシーヌ (著)、 渡辺 守章(訳) フェードル アンドロマック (岩波文庫) 作者:ジャン ラシーヌ 岩波書店 Amazon 恋の女神ヴェニュスの呪いを受け,義理の息子イポリットに禁断の恋を抱くアテネの女王が,自らの恋を悪…

フランス文学探訪:その12/ ルソー『孤独な散歩者の夢想』

孤独な散歩者の夢想 / ルソー(著)、永田 千奈(訳) 孤独な散歩者の夢想 (光文社古典新訳文庫) 作者:ルソー 光文社 Amazon 晩年、孤独を強いられたルソーが、日々の散歩のなかで浮かび上がる想念や印象をもとに、自らの生涯を省みながら自己との対話を綴った…

フランス文学探訪:その11/『ラ・ロシュフコー箴言集』

ラ・ロシュフコー箴言集 / 二宮フサ(訳) ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫 赤510-1) 岩波書店 Amazon 「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」―よく知られたこの一句が示すように、ラ・ロシュフコー(1613‐80)の箴言は、愛・友情・勇…

フランス文学探訪:その10/モンテーニュ『エセー 抄』

エセー 抄 / ミシェル・E・ド・モンテーニュ(著)、宮下志朗(編、訳) モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 「読者よ、これは誠実な書物なのだ……わたし自身が、わたしの本の題材なのだ」(モンテーニュ) モン…

フランス文学探訪:その9/スタンダール『赤と黒』

赤と黒 / スタンダール (著)、野崎 歓 (訳) 赤と黒(上) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon 赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon ナポレオン失脚後のフランス、貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレ…

フランス文学探訪:その8/バルザック『ゴリオ爺さん』

ゴリオ爺さん /バルザック (著)、中村 佳子 (訳) ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫) 作者:バルザック 光文社 Amazon 出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界…

フランス文学探訪:その7/ラクロ『危険な関係』

危険な関係/ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ (著)、竹村 猛 (訳) 危険な関係 (角川文庫) 作者:竹村 猛,ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ KADOKAWA Amazon 十八世紀、頽廃のパリ。名うてのプレイボーイの子爵が、貞淑な夫人に仕掛けたのは、巧妙な愛と性…

フランス文学探訪:その6 /ジッド『狭き門』

狭き門 / ジッド (著)、中条 省平 (訳)、中条 志穂 (訳) 狭き門 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジッド 光文社 Amazon 美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、…

フランス文学探訪:その5/モリエール『ドン・ジュアン』、『人間嫌い』

ドン・ジュアン/モリエール (著)、鈴木 力衛 (訳) ドン・ジュアン (岩波文庫 赤 512-3) 作者:モリエール 岩波書店 Amazon 女たらしの不信心者が、さんざん悪いことをしたあげく、最後には神の怒りにふれて、雷に打たれて死ぬ……このドン・ジュアン伝説を下敷…

フランス文学探訪:その4/プレヴォ『マノン・レスコー』、コクトー『恐るべき子供たち』

マノン・レスコー /プレヴォ(著)、野崎 歓 (訳) マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫) 作者:プレヴォ 光文社 Amazon 将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満…

フランス文学探訪:その3/ラディゲ『肉体の悪魔』、メリメ『カルメン、タマンゴ』

肉体の悪魔 / ラディゲ(著)、中条 省平(訳) 肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫) 作者:ラディゲ 光文社 Amazon 第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マル…

フランス文学探訪:その2/モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』、フローベール『ボヴァリー夫人』

脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作集 / モーパッサン(著)、太田 浩一 (訳) 脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選 (古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon プロイセン軍を避けて街を出た馬車で、“脂肪の塊”という愛称の娼婦と乗りあわせ…

フランス文学探訪:その1/サン=テグジュペリ『星の王子さま』、カミュ『異邦人』

星の王子さま /サン=テグジュペリ (著)、河野 万里子 (訳) 星の王子さま (新潮文庫) 作者:サン=テグジュペリ 新潮社 Amazon 砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の…

フランス文学探訪:序というかなんというか

フランス文学を読もうと思ったのである。それも名作と呼ばれる古典文学を中心に読もうと思ったのである。残念な事にオレは文学に疎い。SFとかホラーとかなんかそーゆー小説ばかり読んできた人間だ。そんなオレがなぜ唐突にフランス古典文学を読もう!などと…