2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

巨大アパートに迷い込んだ浮浪者と住民たちとのドタバタを描く傑作クラシック・コメディ〜映画『Jagte Raho』

■Jagte Raho (監督:サンブー・ミトラ、アミット・モイトラ 1956年インド映画) ■非常にユニークな傑作コメディ 1956年にインドで公開されたモノクロ映画『Jagte Raho』は、一人の浮浪者が体験する大騒動の一夜を描いたコメディ作品だ。主演はラージ・カプー…

あなたの人生の物語〜映画『メッセージ』

■メッセージ (監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 2016年アメリカ映画) 映画『メッセージ』は世界各地に謎の宇宙船が現れるところから始まる。言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)は異星人たちが地球に飛来した理由を探るためそこに派遣され、"ヘプタポッド"…

悲しみの段階〜ジュリアン・バーンズ 『人生の段階』

■人生の段階 / ジュリアン・バーンズ 誰かが死んだことは、その存在が消えることまでは意味しない――。最愛の妻を亡くした作家の思索と回想。気球乗りは空の高みを目指す。恋人たちは地上で愛しあう。そして、ひとつに結ばれた二人が一人になったとき、遺され…

御者と踊り子との淡い恋〜映画『Teesri Kasam』

■Teesri Kasam (監督:バス・バッタチャリヤ 1966年インド映画) 1966年にインドで公開された『Teesri Kasam』は一人の御者と踊り子との淡い恋を描いた作品だ。主演にラージ・カプール、ヒロインにワヒーダ・レーマン。タイトルの意味は「三つの誓い」とい…

エルトン・ジョンとウイングスを聴いていた (後編)

■ウイングス・オーバー・アメリカ / ポール・マッカートニー&ウイングス エルトン・ジョンのアルバムと同様に部屋でしょっちゅう流していたのがポール・マッカートニー&ウイングスのライブ・アルバム『ウイングス・オーバー・アメリカ』だ。LPレコードで出…

エルトン・ジョンとウイングスを聴いていた (前編)

■キャプテン・ファンタスティック / エルトン・ジョン 「2月に引っ越してから、なぜかエルトン・ジョンとポール・マッカートニー&ウイングスばかり家で聴いていた」というお話である。 まあ、別に好きなもの聴いてりゃいいだろ、って事ではあるが、このエル…

カート・ヴォネガットの『人みな眠りて』を読んだ

■人みな眠りて / カート・ヴォネガット カート・ヴォネガットの没後10年だという。ヴォネガットの死に際してはこのブログに弔辞めいたものを書いたことがあるので(カート・ヴォネガット氏死去 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ)、そうか、このブログ自体もう1…

ジェフ・ダロウの超絶描き込みアメコミ作品3作〜『ザ・ビッグガイ』『少林カウボーイ』『ハードボイルド』

■ジェフ・ダロウというアーチスト アメコミ・アーチスト、ジェフ・ダロウのコミック2冊が日本でも立て続けに発売されることになり、ここでザックリと紹介してみたいと思う。彼のプロフィールについてはこちらやこちらのリンクを参考にしてもらうとして、この…

「海」と「異類婚姻譚」~映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『レッドタートル ある島の物語』

■「海」と「異類婚姻譚」 アニメ作品『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』と『レッドタートル ある島の物語』をやっと観た。両方とも去年劇場公開されていたのだが見逃していて、この間ソフト発売されたのだ。共にヨーロッパ資本の入ったアニメーションであ…

最近読んだ本〜『書楼弔堂 破暁』

■書楼弔堂 破暁 / 京極夏彦 明治二十年代の半ば。雑木林と荒れ地ばかりの東京の外れで日々無為に過ごしていた高遠は、異様な書舗と巡りあう。本は墓のようなものだという主人が営む店の名は、書楼弔堂。古今東西の書物が集められたその店を、最後の浮世絵師…

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』1作目にノレなかったオレが2作目である『リミックス』を観たのだが

■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス (監督:ジェームズ・ガン 2017年アメリカ映画) 最初に正直に書くと、2014年に公開されたマーベルヒーロー映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』には、まるでノレなかったオレである。大宇宙を舞台に…

"カルマ"についての物語〜映画『スプリット』

■スプリット (監督:M・ナイト・シャマラン 2017年アメリカ映画) M・ナイト・シャマラン監督による映画『スプリット』は多重人格!少女誘拐監禁!というサイコ・ホラーだ。主人公である多重人格者をジェームズ・マカヴォイが演じるんだけど、まさか車椅子に…

ケン・リュウ小説の進化形〜短編集『母の記憶に』

■母の記憶に / ケン・リュウ 不治の病を宣告された母は、誰より愛するひとり娘を見守り続けるためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…母と娘のかけがえのない絆を描いた表題作、帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため…

枯れたイップ・マン〜映画『イップ・マン 最終章』

■イップ・マン 最終章 (監督:ハーマン・ヤウ 2013年香港映画) この間ドニーさん映画『イップ・マン 継承』を観てたいそう面白かったんですが、ドニーさん版とは違うイップ・マン映画があるというので、丁度Amazon Primeにあったもんですからちょっと観て…

最近読んだ本〜『終わりなき戦火 老人と宇宙6』

■終わりなき戦火 老人と宇宙6 / ジョン・スコルジー 元プログラマの操縦士レイフは、気がつくと脳だけの姿で宇宙船につながれ、コロニー連合への兵器にされていた。レイフはその元凶の謎の組織“均衡”に、決死の反撃を試みるが…。そのころエイリアンとの外交…

時間と空間を飛び越えた故郷探し〜映画『LION ライオン 25年目のただいま』

■LION ライオン 25年目のただいま (監督:ガース・デイビス 2016年オーストリア・アメリカ・イギリス映画) インドのある村に住む5歳の少年が兄とはぐれてしまい、夜半ということもあってたまたま停車していた電車に乗り込み眠りこけてしまう。しかしそれは…

4月と連休の反省

ゴールデン・ウィークだの大型連休だの呼ばれている4〜5月の連休も昨日で終わってしまった。という訳で今回はこの間にインスタなどで曝した写真などを中心に4月と連休の反省などをしてみたい。ちなみにオレのインスタはこちらなのでフォローしてあげるといい…

最強の拳よりもさらに強い愛〜映画『イップ・マン 継承』

■イップ・マン 継承 (監督:ウィルソン・イップ 2015年香港・中国映画) 「宇宙最強の男」ことドニー・イェンの名を世に知らしめた『イップ・マン』シリーズ最新作『イップ・マン 継承』であります。 日本でもこのところ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・…

『ワイルド・スピード ICE BREAK』が公開されたのでワイルドスピード・シリーズをちょっと振り返ってみた

■ワイルド・スピード ICE BREAK (監督:F・ゲイリー・グレイ 2017年アメリカ映画) ■オレとワイスピ・シリーズ 『ワイルド・スピード』のシリーズ8作目となる新作が公開されると聞きオレはお祭り状態だった。『ワイルド・スピード』シリーズ。車に興味の無い…