メモリの藻屑
自分の一番最初の記憶はどこから始まっているのだろう?と考えたことはないだろうか。そんなことが気になったのでChatGPTさんに尋ねたところ、その回答は以下のようなものだった。 人間の記憶の始まりについての研究は多岐にわたりますが、一般的には、最初…
母の葬儀の後、弟と一緒に遺品整理をしていた。2015年の冬の事だ。その時出てきたのがこれらの写真だった。子供時代のオレが、着ぐるみの怪獣たちと一緒に映っている写真だ。中央の、熊の絵の鉢巻きをして、不安そうな顔で明後日の方角を観ているのが子供の…
(※写真のラーメンは本文とは関係ありません) ■上京したての頃、魚とラーメンが不味くて食えなかった オレが北海道のド田舎から東京に上京してきたのは18の時だから、今からもう38年も前のことになる。あの頃、実家ではよく食べていたのに、東京に住むように…
友人Nが失踪してから10数年が過ぎた。その年の夏、オレは夏休みを利用して北海道の実家へ帰省していた。帰省した時はいつもお定まりのように自転車に乗り、田舎町の更に外れの、野原や、海辺や、牧場や、人の手がほとんど付いていない原野を走り回っていた…
オレはもうNのことが分からなくなっていた。Nは例によって「部屋を探す」「仕事を探す」などと言っていたけれども、最初の一週間の、あのまるで手応えの無いやりとりに、オレはNを信用する気をすっかり失ってしまっていた。Nも多分、もうどうしていいの…
ドアの前に立っていたのは友人Nの弟だった。彼もまた実家から上京してきており、大学卒業後一人暮らしをしながら勤めに出ていた。「兄貴いますか?」とNの弟。返事をしようとしたオレの肩越しに弟が来たことを知ったNが顔を出し、「やあ、Y。」と彼の弟の名…
フィリピン娘と駆け落ちしてきた友人とオレとの奇妙な生活が始まった。オレはその頃バイトをして糊口をしのいでいたのだけれど、朝バイトに出て残業して夜遅く帰ってきて、陽の落ちた暗い空の下を家路につくと、目の前に近づいてくるオレのアパートの窓には…
これはオレがまだ20代半ば、北海道の田舎から東京に上京して数年ほど経った頃の話だ。12月の終わり頃だった。夜半オレのアパートに訪ねてきたやつがいたのだ。ドアを開けると友人のNが立っていた。そしてその後ろにはどう見ても日本人じゃない女性が一人。「…
■さらば愛しき映画館よ 話は中学生の頃に戻ります。当時地元に映画館が二つあった話は最初に書きましたが、ある日そのうちの一つの劇場が廃館になることになったんです。実際にはそこを潰して別の場所に新しい劇場を建てるという事でした。廃館になる劇場は…
■映画の友 その頃からちらほらと、やはり同じように洋画に目覚めた同級生がいるのを見つけるんですね。なんとなく観た事のある顔が映画館のロビーにいるな、と思って二言三言話すとすぐ意気投合し、それからはいつも映画の情報交換をしあう仲になっちゃうん…
今日から3回に渡って子供の頃の映画体験の話を書こうと思います。 ■《東映マンガ祭り》と《東宝チャンピオンまつり》 小さな頃から映画館にはよく連れて行って貰っていましたね。マンガ映画や特撮怪獣モノが上映されていたら必ず観に行かされました。当時は…
今年も今日を含めあと2日となってまいりました。今年のオレの日記のまとめであります。なんだかオレの日記にしてはブクマ貰うことが多かったですね。内容は昔取った杵柄というか雀百まで踊り忘れずというか、若い頃に体験した本や音楽体験を書いたものなので…
■ヴォネガットだった! もう一人、カート・ヴォネガット・ジュニアの『タイタンの妖女』も忘れることが出来ません。人類の歴史も文化も、すべてはとある難破した異星の宇宙船の修理用パーツを作る為だけに進化させられた無意味なものだ、というこの物語は、…
■欧米SFだった! 欧米SFを読んで最初にファンになったのはR・A・ハインラインですね。やはり誰もがSFオールタイムベストテンに挙げる『夏への扉』に引き込まれてしまいました。他にも『異星の客』『宇宙の戦士』『月は無慈悲な夜の女王』など名作が沢山あり…
■日本SFだった! 小松左京の『復活の日』は相当衝撃的でしたね。風邪で人類が滅亡してしまう(実は風邪に隠れたウィルス兵器)というスケールの大きさと突拍子も無さ、バクテリオファージ云々といったウィルスの科学的説明、ページを繰るほどに死と滅亡の運…
■SF映画だった! 子供の頃は外国映画といえばTVの洋画劇場でしたね。SF映画もたまにやっていましたが、やはり忘れられないのは『猿の惑星』でしょうか。たいがいTV洋画劇場が始まる夜9時台というのは子供の寝る時間で、子供のオレはその時も布団に入っていた…
■えすえふだった! いつぞや雪狼さんからリクエストがあった、SFへの思いの丈を今回語りまくってみようかと思います。最初に書くと、20代まではSFって結構読んでたんですが、その後リタイアしていた空白期間があるんですね。「世の中にはSF小説以外の面白い…
■ださださ!そんな体育ダメダメダサダサの”スポーツ負け犬”なオレですから、運動会とか球技大会とか、校内でやる体育の大会はクラスの足引っ張りまくっていましたね。一番ヒンシュク買ったのは高校の時のクラス対抗の球技大会で、なぜか割り振りでオレ、バス…
■うんち!何を隠そうオレは運動神経ゼロなんである。運動音痴である。いわゆる運痴である。や〜い運痴野郎運痴野郎!エンガチョ切った!なのである。小学校に上がるぐらいまでは普通に外で遊んでいたが、3年生を過ぎたあたりからは何故だかひたすらインドア…
関東に台風接近中である。西日本の既に被害に遭われている方には誠に痛み入る次第である。ネットのお知り合いで沖縄出身のタマさんも日記で今回の台風で難儀されている事を書かれていたが、時たま停電もあるのだという。オレは関東に永らく住んでいるが停電…
しかし時間が経ち。「ねえ、まだかなあ。」「まだ先だと思ったよ。」「どの辺にあるのかなあ。」「きっとまだ先だよ。」最初はふざけあって馬鹿な話に高じていた”旅の仲間”たちは疲れと退屈から次第に口数が少なくなっていった。いったい何時間歩いたのだろ…
「そしたらさ。見つけたんだよ。草むらに、エッチな本が落ちているのを。」「エエエエエーーーッ!!」固唾を呑んで聞いていたオレと仲間達の声が一気に爆発した。エッチな本。小学校低学年の男のガキにとって、エッチな本、というのは危険な魔術の書き記さ…
「スタンド・バイ・ミー」という映画がある。ロブ・ライナー監督のこの作品は、ある夏の日、4人の少年がとあることから死体探しの冒険に出掛けるという青春ドラマ。ベン・E・キングの甘く切ない歌声のテーマソングのせいもあってか、日本でも大ヒットしたか…
■ダー!ダー!ダー!ロシア漁船員がやってくる!ロシアン・マフィアがいる位ですからオレの町ではよくロシア人を見掛けました。漁船員だけではなく、商用で滞在している方もいらっしゃるんじゃないかと思います。そういった一般のロシア人はまあ普通に過ごし…
■ロシアンマフィア発砲事件北海道の事を書いていて思い出したお話があったのでちょっと書こうかと思う。 オレの実家は北海道の漁港なんだが、ここ、ロシア漁船も寄港するんですね。で、これに乗船してるロシア人船員の裏収入源が、実は漁で獲れたケガニの横…
この間人と話していて、子供の頃自分の田舎では道路で普通に馬が歩いていたことを突然思い出したのであった。なにしろオレの田舎は北海道、30年以上前なら馬の一頭や二頭歩いていてもおかしくは無い。多分酪農農家の馬で荷物などを引っ張っていたのだろう。…
くらげが不思議だなあ、と思ったのは幼少の頃だったでしょうか、磯で遊んでいて透明な紡錘形の生き物を捕まえた時でしたかね。ミドリムシの大きな奴(緑色ではなかったですが)とでも言うのでしょうか、よく見ると体中に細かな繊毛が生えていてそれが動いて…
オレの地元には『寒流水族館』というのがあったんですが、なにしろ寒流、水槽を泳いでいるのはサンマやカレイやタラやカニ…など色気のない魚ばかり。そしてお気付きだと思いますがどれも食卓に上る魚が殆ど。だから水族館にいて水槽を見ても、なんだか魚屋の…
オレの田舎での夏の風物詩といえば昆布漁。オレの育った町は昆布では日本でも有名なところなのです。この昆布、漁解禁の夏ともなれば早朝から小さなボート漁船が沿岸を大量に行き来し、ポンポンというエンジン音で夏の朝は目が覚める。オレの住んでいた家も…
子供の頃両親の働いていた水産加工場で慰安旅行があり、マイクロバスを借りて「大沼」という名の沼まで出掛けたことがあった。その沼で誰かが1mはあろうかという巨大な鯉のような魚を釣り、生きたまま持ち帰って加工場の大きな鉄桶で飼っていた。その魚は数…