ビデオゲーム原作のアマプラSFドラマ『フォールアウト』を観た。

フォールアウト シーズン1(Amazon Prime Video)(監督:ジョナサン・ノーラン 2024年アメリカ製作)

Amazon Prime Videoで配信中のSFドラマ『フォールアウト』です。これ、核戦争後の世界を舞台にした同名人気ビデオゲームシリーズのドラマ化作品なんですね。オレもゲームはとてもお気に入りだったので放送を楽しみにしていた(でも実は『Fallout 4』しかクリアしてないんだけどね!)。

舞台となるのは全面核戦争から200年後、一面の瓦礫で覆われた2296年のアメリカ。一部の人々は核シェルター「Vault 33」に隠れ住んでいましたが、そこに外の世界で生き延びた暴徒たちが襲い掛かります。そして主人公ルーシーは拉致された父を救うため死と放射能の渦巻く荒廃した世界に足を踏み入れることになるのです。そのルーシーの旅に軍事組織B.O.S.の見習い兵士マキシマス、醜く顔の焼けただれた賞金稼ぎのグールが絡み、ドラマが進んでゆきます。

「マッドマックス」シリーズや『北斗の拳』の如き核戦争後のヒャッハーッ!な世界を描いたものではありますが、これらの作品のようなハードなアクション作というものではありません。どちらかというと知る人ぞ知るカルトSF映画リチャード・レスターの不思議な世界』のような、クレイジーで殺伐とした世界が延々と描かれてゆくんです。

ゲーム「Fallout」シリーズはレトロフューチャーな世界観が特徴的でしたが、それは60年代冷戦下のアメリカの風俗をそのまま盛り込んだものなんですね。だから近未来の物語の筈なのに、どこか60年代で時が止まってしまったかのようなアメリカの姿が描かれるんです。核シェルターなんて発想もそもそも60年代冷戦下のもので、これなどは核シェルターにまつわるドタバタを描いたジョー・ダンテ監督の作品『マチネー 土曜の午後はキッスで始まる』を彷彿させます。

そういった具合に、世に数多あるポストアポカリプス作品とは一味違うヴィジュアルを見せたのがゲーム「Fallout」シリーズでした。そのヴィジュアルが、グロテスクな黒いユーモアとなって作品世界を覆うんです。ドラマではそれを細かい部分まで丹念に再現し、実写の形でゲーム世界を追体験させるのを目的となった作品として仕上がっているんですね。いわばこの世界観そのものが作品の主役であり、ドラマの醍醐味となっているんですね。

ただし物語それ自体は辻褄合わせに忙しく、シナリオの弱さが露呈している分が残念に感じました。200年の間コールドスリープだか世代交代で核シェルターで生き延びた人たち、一方荒廃した外の世界でケダモノのように生き伸びた人たち、というのは分かるんです。でもどういう方法でだかその200年を生き延びたグールや、破滅した世界の筈なのに強力な最先端武器を持った軍事組織、というのがちぐはぐに感じさせるのですよ。物語はある博士の首を巡っての争いと、核シェルターにまつわる隠された陰謀とを中心として描かれますが、物語性が薄く、8話で引っ張る程のものではないように思えました。