仏文学

フランス文学探訪:まとめとして

4月から続けてきたブログ企画「フランス文学探訪」は前回ブログで更新したA・デュマ『モンテ=クリスト伯』で一応の最終回とした。「一応」と書いたのは別にこれでフランス文学を読まないという事ではないからだ。そして「一応の最終回」にしたのはフランス…

フランス文学探訪:その20/A・デュマ『モンテ=クリスト伯』

モンテ=クリスト伯 (講談社文庫版・全5巻) /アレクサンドル・デュマ・ペール(著)、新庄嘉章(訳) モンテ=クリスト伯(1) (講談社文庫) 作者:A・デュマ 講談社 Amazon モレル父子商会の帆船の若い船長候補エドモン・ダンテスは、同僚のダングラールと恋…

フランス文学探訪:その19/パスカル『パンセ』

パンセ / パスカル (著)、前田陽一 (訳)、由木康 (訳) パンセ (中公文庫プレミアム) 作者:パスカル 中央公論新社 Amazon 近代科学史に不滅の業績をあげた不世出の天才パスカルが、厳正で繊細な批判精神によって人間性にひそむ矛盾を鋭くえぐり、人間の真の…

フランス文学探訪:その18/デカルト『方法序説』

方法序説 / デカルト (著)、谷川 多佳子(訳) 方法序説 (岩波文庫) 作者:デカルト,谷川 多佳子 岩波書店 Amazon すべての人が真理を見いだすための方法を求めて,思索を重ねたデカルト(1596-1650).「われ思う,ゆえにわれあり」は,その彼がいっさいの外…

フランス文学探訪:その17/アラン『幸福論』

幸福論/アラン(著)、神谷幹夫(訳) アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 岩波書店 Amazon ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに,総計5000に上るアランのプロポ(哲学断章)。「哲学を文学に,文学を哲学に」変えようとするこの独…

フランス文学探訪:その16/ロブ=グリエ『消しゴム』

消しゴム / アラン・ロブ=グリエ(著)、中条省平(訳) 消しゴム (光文社古典新訳文庫) 作者:アラン ロブ=グリエ 光文社 Amazon 殺人事件発生の報せを受けて運河の街にやってきた捜査官ヴァラス。しかし肝心の遺体も犯人も見当たらず、人々の曖昧な証言に右往…

フランス文学探訪:その15/サルトル『嘔吐』

嘔吐 / J‐P・サルトル (著)、鈴木 道彦 (訳) 嘔吐 新訳 作者:J‐P・サルトル 人文書院 Amazon 港町ブーヴィル。ロカンタンを突然襲う吐き気の意味とは…。一冊の日記に綴られた孤独な男のモノローグ。60年ぶり待望の新訳。存在の真実を探る冒険譚。 『嘔吐…

フランス文学探訪:その14/『フランス名詩選』

フランス名詩選/安藤 元雄(編)、渋沢 孝輔(編)、入沢 康夫(編) フランス名詩選 (岩波文庫) 岩波書店 Amazon 15世紀のヴィヨンから,19世紀のボードレール,マラルメ,ヴェルレーヌ,ランボー,さらにジャム,ヴァレリー,アポリネール,そして現代に続くブ…

フランス文学探訪:その13/ラシーヌ 『フェードル、アンドロマック』

フェードル、アンドロマック / ジャン・ラシーヌ (著)、 渡辺 守章(訳) フェードル アンドロマック (岩波文庫) 作者:ジャン ラシーヌ 岩波書店 Amazon 恋の女神ヴェニュスの呪いを受け,義理の息子イポリットに禁断の恋を抱くアテネの女王が,自らの恋を悪…

フランス文学探訪:その12/ ルソー『孤独な散歩者の夢想』

孤独な散歩者の夢想 / ルソー(著)、永田 千奈(訳) 孤独な散歩者の夢想 (光文社古典新訳文庫) 作者:ルソー 光文社 Amazon 晩年、孤独を強いられたルソーが、日々の散歩のなかで浮かび上がる想念や印象をもとに、自らの生涯を省みながら自己との対話を綴った…

フランス文学探訪:その11/『ラ・ロシュフコー箴言集』

ラ・ロシュフコー箴言集 / 二宮フサ(訳) ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫 赤510-1) 岩波書店 Amazon 「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」―よく知られたこの一句が示すように、ラ・ロシュフコー(1613‐80)の箴言は、愛・友情・勇…

フランス文学探訪:その10/モンテーニュ『エセー 抄』

エセー 抄 / ミシェル・E・ド・モンテーニュ(著)、宮下志朗(編、訳) モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 「読者よ、これは誠実な書物なのだ……わたし自身が、わたしの本の題材なのだ」(モンテーニュ) モン…

フランス文学探訪:その9/スタンダール『赤と黒』

赤と黒 / スタンダール (著)、野崎 歓 (訳) 赤と黒(上) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon 赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon ナポレオン失脚後のフランス、貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレ…

フランス文学探訪:その8/バルザック『ゴリオ爺さん』

ゴリオ爺さん /バルザック (著)、中村 佳子 (訳) ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫) 作者:バルザック 光文社 Amazon 出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界…

フランス文学探訪:その7/ラクロ『危険な関係』

危険な関係/ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ (著)、竹村 猛 (訳) 危険な関係 (角川文庫) 作者:竹村 猛,ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ KADOKAWA Amazon 十八世紀、頽廃のパリ。名うてのプレイボーイの子爵が、貞淑な夫人に仕掛けたのは、巧妙な愛と性…

フランス文学探訪:その6 /ジッド『狭き門』

狭き門 / ジッド (著)、中条 省平 (訳)、中条 志穂 (訳) 狭き門 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジッド 光文社 Amazon 美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、…

フランス文学探訪:その5/モリエール『ドン・ジュアン』、『人間嫌い』

ドン・ジュアン/モリエール (著)、鈴木 力衛 (訳) ドン・ジュアン (岩波文庫 赤 512-3) 作者:モリエール 岩波書店 Amazon 女たらしの不信心者が、さんざん悪いことをしたあげく、最後には神の怒りにふれて、雷に打たれて死ぬ……このドン・ジュアン伝説を下敷…

フランス文学探訪:その4/プレヴォ『マノン・レスコー』、コクトー『恐るべき子供たち』

マノン・レスコー /プレヴォ(著)、野崎 歓 (訳) マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫) 作者:プレヴォ 光文社 Amazon 将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満…

フランス文学探訪:その3/ラディゲ『肉体の悪魔』、メリメ『カルメン、タマンゴ』

肉体の悪魔 / ラディゲ(著)、中条 省平(訳) 肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫) 作者:ラディゲ 光文社 Amazon 第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マル…

フランス文学探訪:その2/モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』、フローベール『ボヴァリー夫人』

脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作集 / モーパッサン(著)、太田 浩一 (訳) 脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選 (古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon プロイセン軍を避けて街を出た馬車で、“脂肪の塊”という愛称の娼婦と乗りあわせ…

フランス文学探訪:その1/サン=テグジュペリ『星の王子さま』、カミュ『異邦人』

星の王子さま /サン=テグジュペリ (著)、河野 万里子 (訳) 星の王子さま (新潮文庫) 作者:サン=テグジュペリ 新潮社 Amazon 砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の…

フランス文学探訪:序というかなんというか

フランス文学を読もうと思ったのである。それも名作と呼ばれる古典文学を中心に読もうと思ったのである。残念な事にオレは文学に疎い。SFとかホラーとかなんかそーゆー小説ばかり読んできた人間だ。そんなオレがなぜ唐突にフランス古典文学を読もう!などと…

その時、何が起こったのか?/長編小説『異常【アノマリー】』

異常【アノマリー】/ エルヴェ ル・テリエ (著)、加藤かおり(訳) 「もし別の道を選んでいたら……」 良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめる アフリカ系アメリカ人のジョアンナ。 穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブ…

現代フランス文学を3作読んでみた

ミシェル・ウエルベックの作品は全部読み終わってしまったが、現代フランス文学というのもなかなか面白いものだなと思い、3作ほどセレクトして読んでみることにした。作者・タイトルはそれぞれオリヴィエ・ゲースの『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』、アントワー…

ミシェル・ウエルベックのすべての邦訳作品を読んだ

ミシェル・ウエルベック オレとミシェル・ウエルベック フランスの現代文学作家、ミシェル・ウエルベックの全邦訳作品を読み終えた(小説8作、評論2作)。 最初にウエルベック小説と出会ったのは池澤夏樹編集による世界文学全集の『短編コレクション2』だっ…

ミシェル・ウエルベックの評論『ショーペンハウアーとともに』を読んだ

ショーペンハウアーとともに / ミシェル・ウエルベック 《世界が変わる哲学》がここにある! 現代フランスを代表する作家ウエルベックが、19世紀ドイツを代表する哲学者ショーペンハウアーの「元気が出る悲観主義」の精髄をみずから詳解。その思想の最奥に…

ミシェル・ウエルベックの評伝『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』を読んだ

H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って / ミシェル・ウエルベック 『服従』『素粒子』で知られる《世界一センセーショナルな作家》、ミシェル・ウエルベックの衝撃のデビュー作、ついに邦訳! 「クトゥルフ神話」の創造者として、今日の文化に多大な影響を与…

フランスにイスラーム政権が誕生した近未来/ミシェル・ウエルベックの『服従』を読んだ

服従/ミシェル・ウエルベック 二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後に…

ミシェル・ウエルベックの『セロトニン』を読んだ

セロトニン / ミシェル・ウエルベック 巨大化企業モンサントを退社し、農業関係の仕事に携わる46歳のフロランは、恋人の日本人女性ユズの秘密をきっかけに“蒸発者”となる。ヒッチコックのヒロインのような女優クレール、図抜けて敏捷な知性の持ち主ケイト、…

ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』を読んだ

プラットフォーム / ミシェル・ウエルベック 男ミシェル、41歳独身。父が殺された。けれど不思議と悲しみが湧かない。女ヴァレリー、28歳。旅行会社のエリート社員。思春期に他人への関心を失ったまま成長した。南国タイで、二人は出逢う―何気ない運命のよ…