仏文学

フランス文学探訪:その11/『ラ・ロシュフコー箴言集』

ラ・ロシュフコー箴言集 / 二宮フサ(訳) ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫 赤510-1) 岩波書店 Amazon 「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」―よく知られたこの一句が示すように、ラ・ロシュフコー(1613‐80)の箴言は、愛・友情・勇…

フランス文学探訪:その10/モンテーニュ『エセー 抄』

エセー 抄 / ミシェル・E・ド・モンテーニュ(著)、宮下志朗(編、訳) モンテーニュ エセー抄 新装版 作者:ミシェル・E・ド・モンテーニュ みすず書房 Amazon 「読者よ、これは誠実な書物なのだ……わたし自身が、わたしの本の題材なのだ」(モンテーニュ) モン…

フランス文学探訪:その9/スタンダール『赤と黒』

赤と黒 / スタンダール (著)、野崎 歓 (訳) 赤と黒(上) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon 赤と黒(下) (光文社古典新訳文庫) 作者:スタンダール 光文社 Amazon ナポレオン失脚後のフランス、貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレ…

フランス文学探訪:その8/バルザック『ゴリオ爺さん』

ゴリオ爺さん /バルザック (著)、中村 佳子 (訳) ゴリオ爺さん (光文社古典新訳文庫) 作者:バルザック 光文社 Amazon 出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界…

フランス文学探訪:その7/ラクロ『危険な関係』

危険な関係/ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ (著)、竹村 猛 (訳) 危険な関係 (角川文庫) 作者:竹村 猛,ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ KADOKAWA Amazon 十八世紀、頽廃のパリ。名うてのプレイボーイの子爵が、貞淑な夫人に仕掛けたのは、巧妙な愛と性…

フランス文学探訪:その6 /ジッド『狭き門』

狭き門 / ジッド (著)、中条 省平 (訳)、中条 志穂 (訳) 狭き門 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジッド 光文社 Amazon 美しい従姉アリサに心惹かれるジェローム。二人が相思相愛であることは周りも認めていたが、当のアリサの態度は煮え切らない。そんなとき、…

フランス文学探訪:その5/モリエール『ドン・ジュアン』、『人間嫌い』

ドン・ジュアン/モリエール (著)、鈴木 力衛 (訳) ドン・ジュアン (岩波文庫 赤 512-3) 作者:モリエール 岩波書店 Amazon 女たらしの不信心者が、さんざん悪いことをしたあげく、最後には神の怒りにふれて、雷に打たれて死ぬ……このドン・ジュアン伝説を下敷…

フランス文学探訪:その4/プレヴォ『マノン・レスコー』、コクトー『恐るべき子供たち』

マノン・レスコー /プレヴォ(著)、野崎 歓 (訳) マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫) 作者:プレヴォ 光文社 Amazon 将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満…

フランス文学探訪:その3/ラディゲ『肉体の悪魔』、メリメ『カルメン、タマンゴ』

肉体の悪魔 / ラディゲ(著)、中条 省平(訳) 肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫) 作者:ラディゲ 光文社 Amazon 第一次大戦下のフランス。パリの学校に通う15歳の「僕」は、ある日、19歳の美しい人妻マルトと出会う。二人は年齢の差を超えて愛し合い、マル…

フランス文学探訪:その2/モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』、フローベール『ボヴァリー夫人』

脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作集 / モーパッサン(著)、太田 浩一 (訳) 脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選 (古典新訳文庫) 作者:モーパッサン 光文社 Amazon プロイセン軍を避けて街を出た馬車で、“脂肪の塊”という愛称の娼婦と乗りあわせ…

フランス文学探訪:その1/サン=テグジュペリ『星の王子さま』、カミュ『異邦人』

星の王子さま /サン=テグジュペリ (著)、河野 万里子 (訳) 星の王子さま (新潮文庫) 作者:サン=テグジュペリ 新潮社 Amazon 砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の…

フランス文学探訪:序というかなんというか

フランス文学を読もうと思ったのである。それも名作と呼ばれる古典文学を中心に読もうと思ったのである。残念な事にオレは文学に疎い。SFとかホラーとかなんかそーゆー小説ばかり読んできた人間だ。そんなオレがなぜ唐突にフランス古典文学を読もう!などと…

その時、何が起こったのか?/長編小説『異常【アノマリー】』

異常【アノマリー】/ エルヴェ ル・テリエ (著)、加藤かおり(訳) 「もし別の道を選んでいたら……」 良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめる アフリカ系アメリカ人のジョアンナ。 穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブ…

現代フランス文学を3作読んでみた

ミシェル・ウエルベックの作品は全部読み終わってしまったが、現代フランス文学というのもなかなか面白いものだなと思い、3作ほどセレクトして読んでみることにした。作者・タイトルはそれぞれオリヴィエ・ゲースの『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』、アントワー…

ミシェル・ウエルベックのすべての邦訳作品を読んだ

ミシェル・ウエルベック オレとミシェル・ウエルベック フランスの現代文学作家、ミシェル・ウエルベックの全邦訳作品を読み終えた(小説8作、評論2作)。 最初にウエルベック小説と出会ったのは池澤夏樹編集による世界文学全集の『短編コレクション2』だっ…

ミシェル・ウエルベックの評論『ショーペンハウアーとともに』を読んだ

ショーペンハウアーとともに / ミシェル・ウエルベック 《世界が変わる哲学》がここにある! 現代フランスを代表する作家ウエルベックが、19世紀ドイツを代表する哲学者ショーペンハウアーの「元気が出る悲観主義」の精髄をみずから詳解。その思想の最奥に…

ミシェル・ウエルベックの評伝『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』を読んだ

H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って / ミシェル・ウエルベック 『服従』『素粒子』で知られる《世界一センセーショナルな作家》、ミシェル・ウエルベックの衝撃のデビュー作、ついに邦訳! 「クトゥルフ神話」の創造者として、今日の文化に多大な影響を与…

フランスにイスラーム政権が誕生した近未来/ミシェル・ウエルベックの『服従』を読んだ

服従/ミシェル・ウエルベック 二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後に…

ミシェル・ウエルベックの『セロトニン』を読んだ

セロトニン / ミシェル・ウエルベック 巨大化企業モンサントを退社し、農業関係の仕事に携わる46歳のフロランは、恋人の日本人女性ユズの秘密をきっかけに“蒸発者”となる。ヒッチコックのヒロインのような女優クレール、図抜けて敏捷な知性の持ち主ケイト、…

ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』を読んだ

プラットフォーム / ミシェル・ウエルベック 男ミシェル、41歳独身。父が殺された。けれど不思議と悲しみが湧かない。女ヴァレリー、28歳。旅行会社のエリート社員。思春期に他人への関心を失ったまま成長した。南国タイで、二人は出逢う―何気ない運命のよ…

ミシェル・ウエルベックの『ランサローテ島』を読んだ

ランサローテ島/ミシェル・ウエルベック カナリア諸島のランサローテ島。地震と火山の噴火によって破壊された荒涼たる大地。赤、黒、薄紫の岩場に生える奇妙な形状のサボテン群。20世紀最後の年の1月、4人の男女がそこで出会う。自由とカルトをめぐる物語。…

ミシェル・ウエルベックの『ある島の可能性』を読んだ

ある島の可能性/ミシェル・ウエルベック 物語は世界の終わりから始まる。喜びも、恐れも、快楽も失った人類は、ネオ・ヒューマンと呼ばれる永遠に生まれ変われる肉体を得た。過去への手がかりは祖先たちが残した人生記。ここに一人の男のそれがある。成功を…

ミシェル・ウエルベックの『地図と領土』を読んだ

地図と領土/ミシェル・ウエルベック 孤独な天才芸術家ジェドは、個展のカタログに原稿を頼もうと、有名作家ミシェル・ウエルベックに連絡を取る。世評に違わぬ世捨て人ぶりを示す作家にジェドは仄かな友情を覚え、肖像画を進呈するが、その数カ月後、作家は…

ミシェル・ウエルベックの『闘争領域の拡大』を読んだ

闘争領域の拡大/ミシェル・ウエルベック 闘争領域。それはこの世界、自由という名のもとに繰り広げられる資本主義世界。勝者にとっては快楽と喜びが生まれる天国、敗者にとってはすべて苦しみ、容赦ない攻撃が続くシビアな世界。日々、勝者か敗者かの人生が…

西欧文明の終焉を描くフランス文学の極北:ミシェル・ウエルベック『素粒子』

素粒子/ミシェル・ウエルベック 人類の孤独の極北に揺曳する絶望的な“愛”を描いて重層的なスケールで圧倒的な感銘をよぶ、衝撃の作家ウエルベックの最高傑作。文学青年くずれの国語教師ブリュノ、ノーベル賞クラスの分子生物学者ミシェル―捨てられた異父兄…

マルク・デュガンの近未来SF『透明性』を読んだ。

透明性/マルク・デュガン (著)、中島 さおり (翻訳) 自国第一主義による地球温暖化は終局を迎え、人類の生存域が北欧地域に限られた2060年代。グーグルによる個人データの完全な可視化は、人間から共感という能力を失わせていた。そんななか、アイスランド…