フランス文学探訪:序というかなんというか

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フランス文学を読もうと思ったのである。それも名作と呼ばれる古典文学を中心に読もうと思ったのである。残念な事にオレは文学に疎い。SFとかホラーとかなんかそーゆー小説ばかり読んできた人間だ。そんなオレがなぜ唐突にフランス古典文学を読もう!などと大それたことを思いついたのかというと、それもひとえに、フランスの現代作家、ミシエル・ウエルベックの小説に大いに心酔してしまった、という経緯があるからである。

オレにとってウエルベック小説は衝撃的だった。あまりに凄かったので既訳本を全巻読破した。一人の作家の本を殆ど全部読む、というのはオレの読書人生の中でそうそうあることではなかった。その後他のフランス現代作家の本も何冊か読んでみた。そして読みながら思ったのだ。フランス人ってなぜこんな風に物事を感じたり、こんなことを思ったり考えたりするのか。これはフランス映画を観ていてもよく感じることだ。その思考や感情の道筋が読めないのだ。なぜある種の物事の原因からこんな結果を導き出そうとするのだろう?フランス人というものの心象は一体どこにあるのだろう?

というか、オレは外国人一般がよく分からないし、そもそも日本人ですらよく分からない。例えば今まで浴びるようにハリウッド映画を観たが、アメリカ人はやはりよく分からないし、同様に、むかしインド映画が面白くて大量に観たこともあったが、インド人のことも結局よく分からなかった。しかし分からないなりに、あれこれ知ろうとはしてみた。

その、「あれこれ知ろうとする」ために、フランス文学というヤツを少し掘り下げて読んでみようか、と思ったのだ。決してフランスという国に憧れているとか、フランス文化が好き、という訳ではないのだ。単に「この人たちっていったい何考えてんの?」という興味からなのである。

そういったわけでフランス文学を古典を中心に読んでみることにしたのだが、セレクトの参考にさせていただいたのは「大阪大学フランス文学研究室」のサイトである。ここで紹介している作品リストを中心に、あまりに長い作品(『失われた時を求めて』とかさあ……)や入手し難い作品は省き、とりあえず「入門編」から順番に読んでみることにした。

読書案内 大阪大学文学部フランス文学研究室

読書案内・映画紹介 | 大阪大学フランス文学研究室 (新サイト)

それと、「文具物語」というサイトで紹介されていた『フランス文学は役に立つ!』という書籍で紹介されていた作品も幾つか読む本に混ぜておいた。

そうして幾つかの作品を読み始めたのだが、ただ行き当たりばったりに読むのも何かと思ったのと、その作品のフランス文学史における時代・位置付けを知るために、岩波から出ている『フランス文学案内』を途中で読んだ。これは1冊の中にフランス文学史をギュッと詰め込んだ良著だった。

さらに、フランス文学を読んでいて、オレはフランスの歴史について何も知らないな、と思い知らされた(そもそも世界史全般に疎いのだが)。ナポレオンって何人もいたの?ヴィシー政権ってヴィシーという人が大統領だったの?とかそういうレベルなのだ。というわけでフランス史の本も読んだ。読んだのは『フランスの歴史を知るための50章』という本。だが実はこの本、「フランス史があらかじめ頭に叩き込まれている人がさらに詳細にフランス史を知る本」だったようで、オレには少々手強かった。でもとりあえず1789年がフランス革命の年だという事は暗記した(それだけかよ)!

こうして去年の暮れごろから作品を読み始め、今のところ10数冊を読み終え、さらに継続中である。そして読んだ本についてはそれぞれ感想文を書いたので、明日から週1回ぐらいのペースで更新していこうかと思う。感想文を書いていて感じたが、最初は作品への理解度が浅く、書いた感想もごく短いものばかり、内容もアマゾンレヴューのほうがまだましなぐらいだったのが、段々と理解が深まり長文になっていったことだった。読む予定の作品は結構消化し、最後に大長編(なにかはお楽しみ。ただし『失われた~』じゃない)に挑戦するつもりだ。

最初に書いたが、オレはもともと文学小説など読まない人間だったのだが、実は、いわゆる「世界名作文学」というヤツに、年取ってから触れてみようか、とは思っていたのである。そして今回、どうやらそれが遂行できたのらしい。まあ確かに、今十分年をとっているしな。そんなわけで「フランス文学探訪」、多分誰も興味を示さないだろうが、しばらく続きます。