北欧ミステリ

北欧ミステリ『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』が結構面白かった

オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン/サムエル・ビョルク (著), 中谷 友紀子 (翻訳) オスロの山中で見つかった六歳の少女の首吊り遺体。 少女の首には「ひとり旅をしています(アイム・トラベリング・アローン)」のタグがかけられて…

北欧ミステリ『スノーマン』を読んだ

スノーマン(上・下) / ジョー・ネスボ (著), 戸田 裕之 (翻訳) オスロに初雪が降った日、一人の女性が姿を消し、彼女のスカーフを首に巻いた雪だるまが残されていた。捜査を担当するハリー・ホーレ警部は未解決の女性失踪事件が多すぎることに気づく。その…

ハードボイルド風北欧産犯罪小説『その雪と血を』を読んだ

その雪と血を / ジョー・ネスボ (著), 鈴木 恵 (翻訳) オーラヴ・ヨハンセンは殺し屋だ。この数年間、麻薬業者のボスに命じられて殺人を引き受けてきた。今回の仕事は、不貞を働いているらしいボスの妻を始末すること。いつものように引き金をひくつもりだ…

北欧ミステリ『軋み』を読んだ

軋み / エヴァ・ビョルク・アイイスドッティル (著), 吉田薫 (翻訳) エルマが長年勤めたレイキャヴィーク警察を辞め、故郷のアークラネスの地元警察に勤め始てから間もなく、アークラネス灯台の麓の海岸で女性の不審死体が発見される。死体はクヴァールフィ…

北欧ミステリ『犯罪心理捜査官セバスチャン』を読んだ

犯罪心理捜査官セバスチャン (上・下) / M・ヨート (著), H・ローセンフェルト (著), ヘレンハルメ 美穂 (翻訳) 殺された少年は以前に通っていた学校でいじめられ、裕福な子どもが通うパルムレーフスカ高校に転校していた。母親、ガールフレンド、友人、校…

スウェーデンのシリアルキラー・サスペンス『砂男』がうんざりするほどお粗末だった

砂男(上・下)/ラーシュ・ケプレル (著), 瑞木さやこ (翻訳), 鍋倉僚介 (翻訳) ある激しい雪の夜、一人の男がストックホルム郊外の鉄道線路沿いで保護された。それは、ベストセラー作家レイダルの13年前に行方不明になった息子ミカエルだった。彼は、自分…

北欧ミステリ『黄昏に眠る秋』を読んだ

黄昏に眠る秋/ヨハン・テオリン (著), 三角 和代 (翻訳) 霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。それから二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。イェルロフは、自責の念を…

北欧ミステリ『許されざる者』を読んだ

許されざる者 / レイフ・GW・ペーション (著), 久山 葉子 (翻訳) 国家犯罪捜査局の元凄腕長官ヨハンソン。脳梗塞で倒れ、命は助かったものの麻痺が残る。そんな彼に主治医が相談をもちかけた。牧師だった父が、懺悔で25年前の未解決事件の犯人について聞…

北欧ミステリ『晴れた日の森に死す』を読んだ

晴れた日の森に死す/カーリン・フォッスム (著), 成川 裕子 (翻訳) ノルウェーの森の奥で老女が殺害される。被害者の左目には鍬が突き刺さっていた。第一発見者の少年が、精神病院に入所している青年エリケを現場で目撃していた。捜査陣を率いるセイエル警…

北欧ミステリ『刑事マルティン・ベック ロセアンナ』を読んだ

刑事マルティン・ベック ロセアンナ/マイ・シューヴァル (著), ペール・ヴァールー (著), 柳沢 由実子 (訳) 全裸女性の絞殺死体が、閘門で見つかった。身元不明の遺体に事件は膠着するかに見えた折、アメリカの地方警察から一通の電報が。被害者と関係をも…

北欧ミステリ『殺人者の顔』を読んだ

殺人者の顔 /ヘニング・マンケル (著), 柳沢 由実子 (翻訳) 【CWAゴールドダガー受賞シリーズ/スウェーデン推理小説アカデミー最優秀賞受賞】 雪の予感がする早朝、動機不明の二重殺人が発生した。男は惨殺され、女も「外国の」と言い残して事切れる。片隅…

北欧ミステリ『湿地』を読んだ

湿地/アーナルデュル・インドリダソン (著), 柳沢 由実子 (翻訳) 雨交じりの風が吹く10月のレイキャヴィク。湿地にある建物の地階で、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなく、被害者に招き入れられた何者かが突発的に殺害し、逃走したものと思われた。…

『呼び出された男―スウェーデン・ミステリ傑作集― 』を読んだ

呼び出された男―スウェーデン・ミステリ傑作集― / ヨン=ヘンリ・ホルムベリ 編、ヘレンハルメ美穂・他 訳 北欧ミステリの中心地たるスウェーデンから、『ミレニアム』を生み出したスティーグ・ラーソン、〈エーランド島四部作〉のヨハン・テオリン、〈マル…

北欧ミステリの人気シリーズ第1弾『特捜部Q―檻の中の女―』を読んだ

特捜部Q―檻の中の女― / ユッシ・エーズラ・オールスン (著), 吉田奈保子 (翻訳) 捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率を命じられた。とはいっても、オフィスは窓もない地下室、部下はシリア系…

難儀な二人がバディとなって事件解決する北欧ミステリ『闇の牢獄』

闇の牢獄 /ダヴィド・ラーゲルクランツ(著)、吉井智津(訳) ストックホルムで起きた、サッカー審判員撲殺事件。地域警官のミカエラは捜査に参加、尋問のスペシャリストで心理学者のハンス・レッケと出会う。彼は鎮痛剤の依存症だった。独特の心理分析で捜査…

暗黒の18世紀スウェーデン3部作完結編『1795』

1795 / ニクラス・ナット・オ・ダーグ (著)、ヘレンハルメ美穂(訳) フランス革命の影響は未だ色濃く残り、暴力と奸計が常態化していた1795年のストックホルム。事件を捜索することで立ち直りつつあった戦場帰りの引っ立て屋カルデルと心を病んでいた学生エ…

汚濁と悪逆に満ちた18世紀スウェーデンを駆け抜ける正義/『1794』

1794/ニクラス・ナット・オ・ダーグ (著)、ヘレンハルメ美穂 (訳) フランス革命の影響を受け、陰謀と暴力、貧困と死に満ちた1794年のストックホルム。その前年、カリブ海に浮かぶ植民地サン・バルテルミー島での過酷な日々を終えて故国に帰還した若者エリッ…

18世紀末スウェーデンを舞台にした歴史ミステリ『1793』

1793 / ニクラス・ナット・オ・ダーグ 1793年、混沌とした時代のストックホルム。秋のある日、湖で男性の遺体が発見された。腐食はしていないが、四肢は切り落とされ、眼球をくりぬれ、舌と歯も奪われ、美しい金髪だけが残されていた。結核に冒され余命幾ば…