仏文学

ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』を読んだ

プラットフォーム / ミシェル・ウエルベック 男ミシェル、41歳独身。父が殺された。けれど不思議と悲しみが湧かない。女ヴァレリー、28歳。旅行会社のエリート社員。思春期に他人への関心を失ったまま成長した。南国タイで、二人は出逢う―何気ない運命のよ…

ミシェル・ウエルベックの『ランサローテ島』を読んだ

ランサローテ島/ミシェル・ウエルベック カナリア諸島のランサローテ島。地震と火山の噴火によって破壊された荒涼たる大地。赤、黒、薄紫の岩場に生える奇妙な形状のサボテン群。20世紀最後の年の1月、4人の男女がそこで出会う。自由とカルトをめぐる物語。…

ミシェル・ウエルベックの『ある島の可能性』を読んだ

ある島の可能性/ミシェル・ウエルベック 物語は世界の終わりから始まる。喜びも、恐れも、快楽も失った人類は、ネオ・ヒューマンと呼ばれる永遠に生まれ変われる肉体を得た。過去への手がかりは祖先たちが残した人生記。ここに一人の男のそれがある。成功を…

ミシェル・ウエルベックの『地図と領土』を読んだ

地図と領土/ミシェル・ウエルベック 孤独な天才芸術家ジェドは、個展のカタログに原稿を頼もうと、有名作家ミシェル・ウエルベックに連絡を取る。世評に違わぬ世捨て人ぶりを示す作家にジェドは仄かな友情を覚え、肖像画を進呈するが、その数カ月後、作家は…

ミシェル・ウエルベックの『闘争領域の拡大』を読んだ

闘争領域の拡大/ミシェル・ウエルベック 闘争領域。それはこの世界、自由という名のもとに繰り広げられる資本主義世界。勝者にとっては快楽と喜びが生まれる天国、敗者にとってはすべて苦しみ、容赦ない攻撃が続くシビアな世界。日々、勝者か敗者かの人生が…

西欧文明の終焉を描くフランス文学の極北:ミシェル・ウエルベック『素粒子』

素粒子/ミシェル・ウエルベック 人類の孤独の極北に揺曳する絶望的な“愛”を描いて重層的なスケールで圧倒的な感銘をよぶ、衝撃の作家ウエルベックの最高傑作。文学青年くずれの国語教師ブリュノ、ノーベル賞クラスの分子生物学者ミシェル―捨てられた異父兄…

マルク・デュガンの近未来SF『透明性』を読んだ。

透明性/マルク・デュガン (著)、中島 さおり (翻訳) 自国第一主義による地球温暖化は終局を迎え、人類の生存域が北欧地域に限られた2060年代。グーグルによる個人データの完全な可視化は、人間から共感という能力を失わせていた。そんななか、アイスランド…