オレ・シネマ・パラダイス (その2)

■映画の友

その頃からちらほらと、やはり同じように洋画に目覚めた同級生がいるのを見つけるんですね。なんとなく観た事のある顔が映画館のロビーにいるな、と思って二言三言話すとすぐ意気投合し、それからはいつも映画の情報交換をしあう仲になっちゃうんです。当時は違うクラスの人間と遊ぶなんてことはあまりしませんでしたが、映画の友だけはいろんなクラスにいました。なかには話といえば映画しか出てこない映画中毒みたいなやつまでいましたね。そいつは「映画の話だけができる友達が欲しい!」とまで豪語していました。小学生でですよ。
当然オレ達の溜まり場は映画館です。映画館の切符もぎりのオバチャンともすっかり仲良しになってましたから、映画を観ない時にもロビーにぶらっと入って、誰か友達が来るのを待つか、来ない時はオバチャンとあれこれ世間話をしているんです。学校帰りは殆ど映画館に寄っていたかもしれませんね。その劇場では上映映画のポスターを1枚100円で販売していて、それを買いに行く楽しみもありました。当時集めた映画ポスターは100枚以上あったかもしれません。
映画の情報は映画雑誌を読んで得ていましたね。スクリーンとロードショーという雑誌がありましたが、友人の間でもスクリーン派かロードショー派かで分かれるんですよ。しかし映画中毒のあの友人だけは、そんなオレ達を見下して一人キネマ旬報をとっていましたね。今考えてもホントにヤな小学生だったなあアイツ…。

SCREEN (スクリーン) 2011年 04月号 [雑誌]

SCREEN (スクリーン) 2011年 04月号 [雑誌]

ROADSHOW (ロードショー) 2009年 01月号 [雑誌]

ROADSHOW (ロードショー) 2009年 01月号 [雑誌]

■サウンドトラックレコード

映画を観る楽しみだけではなく、サントラレコードを集めるのも流行りました。映画サントラのシングルレコードはよく買ってましたね。これがLPレコードともなると小学生には出費が大きすぎて、お年玉を当てにするか、相当お小遣いを遣り繰りして買っていました。でもやはりLPレコードのほうが音楽を聴いている!ていう感じがするんですよね。そして有名な作曲家の音楽は優れていた物が多かったような気がします。オレはジョン・ウィリアムスが好きでしたね。ジョーズタワーリング・インフェルノのサントラとか持ってましたよ。スター・ウォーズが出た時はすぐ買ったのは言うまでもありません。
買ったレコードは友人達で貸し借りしていましたが、その頃一番よく聴いていたのは友人から借りた『明日に向かって撃て!』のサントラですね。バート・バカラックですね。あれは本当に優れたサントラでした。他にも『ファントム・オブ・パラダイス』のポール・ウィリアムスが作曲を担当した『ダウンタウン物語』という映画のサントラもかなりのお気に入りでした。あとFM番組で映画音楽のエアチェックなんかもしていましたね。
ロック・ミュージックを聴くようになる前はずっと映画音楽ばかり聴いていましたが、ロックアーチストが手掛けたサントラにもはまりました。映画『トミー』はザ・フーエルトン・ジョンエリック・クラプトンティナ・ターナーなどが参加していましたが、このアルバムも本当によく聴いていました。逆に、ロック・ミュージックは、映画から入ったぐらいなんです。そしてロックミュージックを本腰入れて聴くようになってから、サントラの趣味は無くなってしまいましたね。

明日に向かって撃て! オリジナル・サウンドトラック(紙ジャケット仕様)

明日に向かって撃て! オリジナル・サウンドトラック(紙ジャケット仕様)

ダウン・タウン物語 (紙ジャケット仕様)

ダウン・タウン物語 (紙ジャケット仕様)

トミー

トミー

■映画研究会

高校に入ってから入部したクラブは勿論《映画研究会》でした。でも特に何か活動するといったこともなくて、1.2年生の頃は詰まんなかったなあ。それで3年になってからは自分で会長に立候補して、会誌を作る事にしたんですよ。原稿は会員から募りましたが、文章書くのが好きなヤツは誰もいなかったので、殆どオレ一人で書いてましたね。あの頃から長ーい文章書くのが好きだったんですねえ。原稿を組んでコピーしてホチキスで止めたような安っぽい作りでしたが、表紙やイラストなどはどこかからコピーしたものを切り合せて作り、割とビジュアルには凝った作りにしたつもりでした。
ただ、実はたったひとつだけ映画研究会には大きな役割があって、年1回の学校祭の時に、会でセレクトした映画を上映する、ということをやっていたんですよ。当時はビデオもDVDも当然ありませんでしたから、実際に映画のフィルムを借りてきて、どこかの教室を借りて上映するんですね。映画のフィルムを貸し出している会社というのがあって、ここからレンタルするわけですが、料金はピンキリでしたが確か10万円前後でしたね。この予算は会員から月々100円づつ集めた会費と、あと学校から出る補助金で賄いました。最近公開されたような話題作だとやっぱり高いので、ちょっと古くて地味な映画になっちゃいましたね。オレの時は『ジョニーは戦場へ行った』を上映したけど、オレなんで学校祭だって言うのにあんな悲惨で暗い映画選んじゃったんだろ。
(続く)

ジョニーは戦場へ行った [DVD]

ジョニーは戦場へ行った [DVD]