日記1000回特別企画・ ”スタンド・バイ・ミー”(前編)

スタンド・バイ・ミー」という映画がある。
ロブ・ライナー監督のこの作品は、ある夏の日、4人の少年がとあることから死体探しの冒険に出掛けるという青春ドラマ。ベン・E・キングの甘く切ない歌声のテーマソングのせいもあってか、日本でも大ヒットしたから、観られた方も多いかと思う。
この作品、ホラー小説の帝王・スティーブン・キングの原作なのだが、原題はそのものずばり「THE BODY(死体)」というものだった。この原作は中編集「A Different Season(恐怖の四季)」に収められている四編の中の一作であり、日本では二分冊で刊行されたが、この他にも映画化作品として『ショーシャンクの空に(原作邦題:刑務所のリタ・ヘイワース)』、『ゴールデン・ボーイ』の原作が収められ、キングの人気の程が伺えるというものだ。

実はオレにもこの『スタンド・バイ・ミー』と同じような体験があった。少年の頃、夏のある日、オレは仲間達と一緒に、あるものを探す為に冒険旅行に出たことがあるのだ。そしてあの映画と同じように、深い友情といっしょに苦い幻滅も体験し、そうして一つ、オトナへのきざはしを上ることになったのだ。

あの日。
いつものように友達同士で集まって遊んでいた時だ。なにか下らないことでぎゃあぎゃあ騒いだ後、友達の一人が急にこんなことを語りだした。
「あのさ。この間、お父さんの車に乗って○○町の親戚の家に行ったんだよ。」
突然神妙な顔で切り出した友人にいつもと違う雰囲気を覚え、オレ達は口を閉じた。
オレの育った町というのは北海道のド田舎で、市内を離れ○○町に行くには、雑草しか生えていない原野の中にひたすら真っ直ぐ敷かれた国道をどこまでも走らなければならない。それはどこか映画『未知との遭遇』のポスターのような光景だ。友人はそんな殺風景な景色の中、走る車の外を退屈しながらぼんやりと眺めていたのだという。

ところが。
「そしたらさ。見つけたんだよ。草むらの中に。」
(続く)