2026-01-01から1年間の記事一覧

映画『バックルームズ』――これは「世界のバグ」なのか? 不安が増殖する異空間ホラー

バックルームズ (監督:ケイン・パーソンズ 2026年アメリカ映画) どこまでも続く奇妙な部屋と通路 世界の裏側に、誰も知らない「余った空間」がある。そこへ落ちてしまったら、もう二度と戻れない――。 『バックルームズ』については、実は元になった「バッ…

アニャ・テイラー=ジョイ主演によるクライムスリラー・ドラマ『ラッキー』が最高に面白かった!

『ラッキー』(Apple TV+)(監督:ジョナサン・ヴァン・タレケンほか 2026年アメリカ作品) 逃げても逃げても追ってくる! 逃げろ、逃げろ、逃げろ。裏組織にも警察にも追われ、もう逃げ場なんてどこにもない。それでも、この女は最後の最後で必ず逃げ切る。…

歳月を重ねた二人が届ける「今」の音楽/ペット・ショップ・ボーイズ 『ドリームワールド』

Dreamworld / Pet Shop Boys シンプルになったステージ Pet Shop Boysの『Dreamworld』は、彼らの「グレイテスト・ヒッツ・ライヴ」を収録したCD&Blu-rayアルバムである。全24曲、108分。デビュー以来のファンとしては「あの曲が入っていない!」という思い…

『過ぎにし夏、マーズヒルで エリザベス・ハンド傑作選』を読んだ

過ぎにし夏、マーズヒルで エリザベス・ハンド傑作選 / エリザベス・ハンド (著), 市田 泉 (翻訳) 余命わずかな元博物館学芸員のために、幻の飛行機械の映像をもう一度この世に呼び戻そうとする友人たち。演劇一族に生まれた末娘と末息子が、屋敷の屋根裏で…

少女を守るためにステイサムが殺戮マシーンと化すサスペンス・アクション映画『シェルター』

シェルター (監督:リック・ローマン・ウォー 2026年イギリス・アメリカ映画) 「少女+タフな男」のステイサム映画 たった一人で孤島に住む謎の男が、少女を守るために殺戮マシーンと化す! ジェイスン・ステイサム主演の『シェルター』は、ステイサムお得…

検閲されたAIには、いったい何が起こるのか?

AI

中国製AIに「天安門事件」について質問したら? 最初のきっかけは、Web版「クーリエジャポン」に掲載された「ハラリ教授が懸念「AIに法人格があると認めたとき、人類は制御を失う」という記事だった。ユヴァル・ノア・ハラリは世界的なベストセラーとなった…

〈ワシントン・ポー〉シリーズ最新作『ブラッディ・ダイスの殺人』は相変わらずかっ飛びまくった傑作だった!

ブラッディ・ダイスの殺人(上)(下) /M・W・クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳) 英国全土で連続狙撃事件が発生。犠牲者は17人にのぼるも犯人の手がかりはなく、ポーとティリーは国家犯罪対策庁に呼び戻される。捜査の末、ポーは連続狙撃犯の正体と目的に…

独裁者の奪った10億ドルを取り返せ!/映画『グレイ・ミッション』

グレイ・ミッション (監督:ガイ・リッチー 2026年アメリカ・イギリス映画) 10億ドルを奪った独裁者から、すべてを奪い返せ!ガイ・リッチー監督の最新作『グレイ・ミッション』は、国際金融のグレーゾーンを舞台にしたバディ・アクションだ。 悪辣な資産…

あの不死身のツルハシジジイが帰ってきた!?/映画『SISU/シス 復讐の血闘』

SISU/シス 復讐の血闘 (監督:ヤルマリ・ヘランダー 2025年フィンランド映画) 今度はソ連兵を地獄送りだ! あの不死身のツルハシジジイが帰ってきた!? 前作『SISU/シス 不死身の男』でナチス・ドイツ軍をツルハシ一本で壊滅させた元フィンランド軍最凶…

「交換殺人」を描くサスペンス小説『キル・フォー・ミー キル・フォー・ユー』を読んだ

キル・フォー・ミー キル・フォー・ユー /スティーヴ・キャヴァナー (著), 吉野弘人 (翻訳) アマンダは、愛する娘の命を奪いながら法の裁きを免れている男に復讐への執念を燃やしていた。グループセラピーで同じ境遇のナオミに出会った彼女は、ある夜、交換…

トマス・リゴッティのホラー短編集『悪夢工場』を読んだ

悪夢工場 / トマス・リゴッティ (著), 若島正 (編集), 宮脇孝雄 (翻訳), 白石朗 (翻訳) 独自のペシミズム、ニヒリズム、人間存在そのものに対する根源的な疑義から生み出される陰鬱な恐怖、深遠な闇、救いがたい世界。祈りとも、呪いともとることのできない…

謎の力により家の中に閉じ込められた家族を描くSFサバイバル映画『ザ・ラスト・ハウス』

ザ・ラスト・ハウス(Netflix映画)(監督:ルイ・レテリエ 2026年アメリカ映画) ある日突然、シアトル郊外の一軒家の扉や窓が謎の力によって一切開かなくなり、4人家族が閉じ込められる。近隣の家も同じ状況だ。食料や水が限られる中、家族は必死のサバイ…

タイムスリップSFアドベンチャー映画『オークストリートの異変』はファミリームービー版『ザ・ミスト』だった

オークストリートの異変 (監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル 2026年アメリカ映画 ) 日常が完全に崩壊した世界 平和な郊外の住宅街に暮らす、ごく普通の家族が、ある日突然街ごと異世界へ飛ばされ、絶滅したはずの恐竜に襲われる。日常が完全に崩壊し…

デヴィッド・バーン最新ツアー「Who Is The Sky?」(at 東京 SGC HALL ARIAKE)に行ってきた

先日の8月13日は友人と一緒に東京 SGC HALL ARIAKEで開催されたデヴィッド・バーン最新ツアー「Who Is The Sky?」を観に行ってきました。台風接近に伴い雨やら雷やらで難儀な天候でしたが、コンサートのほうはそんなうっとうしさを吹き飛ばすような素晴らし…

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン3を観た

ハウス・オブ・ザ・ドラゴン シーズン3 (製作総指揮:ライアン・コンダル、ジョージ・R・R・マーティン 2026年アメリカ製作) 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』はジョージ・R・R・マーティンの『炎と血』を原作とする、『ゲーム・オブ・スローンズ』の約200…

『チーム・ハズバンド』『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』など最近配信で観た韓国コメディ

チーム・ハズバンド(Netflix映画)(監督:パク・ギュテ 2026年韓国映画) 犯罪組織に拉致された妻と娘を救うため、元夫で短気な麻薬捜査班刑事・チュンシク(チン・ソンギュ)と、現夫でおだやかな獣医師・ミンソク(コンミョン)が、しぶしぶ手を組むコメ…

不気味な地下鉄駅を舞台にした韓国オムニバスホラー映画『怪速急行■■行き』

怪速急行■■行き (監督:タク・セウン 2025年韓国映画) 駅で人が消えていく——日常が突然、恐怖に変わる。韓国映画『怪速急行■■行き』は不気味な都市伝説が語られる地下鉄駅を舞台にしたホラー作品だ。ちょっと変わった邦題だが、タイトル内にある「■■」は「…

6月と7月の反省(ほぼ食いもの)

6月 某日 相方と友人と3人でメキシコ料理店でコロナビールを飲みつつタコス三昧。 食事のあとファミレスでお茶にしたが、食い足りないオレがさらにカレーを注文して二人に呆れられる。 某日 相方の誕生日だったので、フランス料理店を予約してシャンペンを飲…

『諸星大二郎短編集成(5) 流砂』を読んだ

諸星大二郎短編集成(5) 流砂 / 諸星大二郎 画業55周年記念デビュー以来の短編を集成 「異能の作家」として手塚治虫をはじめ多くの作家からリスペクトを集め続ける鬼才・諸星大二郎氏の画業55周年を機に、「諸星大二郎短編集成」全12巻を刊行いたします。そ…

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を観たけど最高によかった

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ (監督:デスティン・ダニエル・クレットン 2026年アメリカ映画) MCUスパイダーマン第4作 MCUスパイダーマン第4作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を観てきました。前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ…

『クエンティン・タランティーノ おれの映画人生』を読んだ

クエンティン・タランティーノ おれの映画人生/クエンティン・タランティーノ (著), 鈴木 恵 (翻訳) 1963年生まれのタランティーノは、いかにして恐るべき映画マニアとなったのか?母親とともに大人向けの映画を見まくり、『明日に向かって撃て!』のラスト…

『エミリア・ペレス』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』など最近配信で観た映画

エミリア・ペレス (監督:ジャック・オーディアール 2024年フランス映画) 犯罪ドラマとLGBTQ問題をミュージカルで描写した異色作。メキシコで活動する弁護士リタは、麻薬カルテルのボス、マニタスから拉致同然に呼び出される。彼は女性として生きたいという…

古典フーダニット『イーストレップス連続殺人』を読んだ

イーストレップス連続殺人 /フランシス・ビーディング (著), 小林 晋 (翻訳) 風光明媚なノーフォーク海岸沿いの保養地イーストレップスで、老婦人が友人宅を訪れた帰りにこめかみを刺されて殺害される。続けて第二、第三の殺人が同様の手口で繰り返され、街…

『マイク&ニック&ニック&アリス』『イーニー・ミーニー』など最近観た配信映画

マイク&ニック&ニック&アリス (Disney+)(監督:ベンデヴィッド・グラヴィンスキー 2026年アメリカ映画) ギャングのボス、ソーサの組織に属するマイク(ジェームズ・マースデン)は、仲間のニック(ヴィンス・ヴォーン)から「ある男をクロロホルムで眠…

小説『反世界【アンチモンド】』/「Z世代のウエルベック」という触れ込みだが実際は?

反世界【アンチモンド】 ナタン・ドゥヴェール (著), 山﨑 美穂 (翻訳) フランスで画期的な仮想世界〈反世界(アンチモンド)〉が生まれる。現実と瓜二つながら、法の秩序なき自由の世界で、詩人ヴァンジェルは日夜人々を熱狂させていた。だがその正体が鬱屈…

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』:エネルギッシュな混沌に魅了されつつ、複雑な思いを抱いた一作

マーティ・シュプリーム 世界をつかめ (監督:ジョシュ・サフディ 2025年アメリカ映画) ティモシー・シャラメ主演の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を観た。予想以上に濃密で、観終わった後もさまざまな思いが残る作品だった。 1950年代のニュー…

横浜スカイウォークに行ってみた

一昨日の祝日に相方さんと二人で横浜スカイウォーク(横浜ベイブリッジスカイウォーク)に行ってみました。これ、横浜ベイブリッジの下層部にあつらえられた無料の展望歩道施設なんですね。橋の構造を間近に見ながら、海面から約50メートルの「スカイラウン…

ホラー映画『オブセッション 災愛』は精神科案件だった

オブセッション 災愛 (監督:カリー・バーカー 2025年アメリカ映画) 「最愛」のあの子におまじないをかけたら、「災愛」な女になっちゃったよ!?というホラー映画『オブセッション 災愛』を観た。海外でも高評価の低予算インディーズホラーで、製作費100…

創造すること、愛すること。/小説『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』

トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー / ガブリエル・ゼヴィン (著), 池田 真紀子 (翻訳) ゲーム制作を学ぶMITの学生、セイディは才能はあるが周囲に理解されず孤立していた。彼女はある寒い冬のボストンで、幼馴染のハーバード学生サムと再…

『BETTER MAN/ベター・マン』『超時空英雄伝エイリアノイド PART2:終局決戦』など最近配信で観た映画

BETTER MAN/ベター・マン(監督:マイケル・グレイシー 2024年オーストラリア・アメリカ映画) イギリス音楽史上最多のブリット・アワード受賞(18冠)やギネス記録を持つほどの国民的ポップスター、ロビー・ウィリアムズの半生をミュージカル仕立てで描い…