ハウスメイド2 死を招く秘密 / フリーダ・マクファデン (著), 高橋 知子 (翻訳)
ギャリック家のハウスメイドとして雇われたミリー。この家で働くには、守らなければならないルールがあると雇い主のダグラスから告げられる。何があってもゲストルームには入らないこと。そこでは病気の妻ウェンディが静養をしているという。ある日、ミリーは異様な量の血にまみれたガウンを見つけ……。閉ざされた部屋の中の秘密が明かされたとき、これまでにないほどの恐怖がミリーを襲う。
ワケアリな女性が上流家庭のハウスメイドとなり、蟻地獄のような危険に巻き込まれる――。大どんでん返しで人気を博し、映画化もされたサスペンス長編『ハウスメイド』に続編が登場した。前作はミニマルな環境と限られた登場人物が生み出す緊迫感が秀逸だったが、今作はどうだろうか。
物語は前作から数年後。相変わらず困窮している主人公ミリーが、IT系の大富豪宅に雇われるところから始まる。優しげな主人は、部屋に引きこもる妻との接触をミリーに禁じるが、ある日彼女は、顔中痣だらけの夫人と血塗れのガウンを目撃してしまう。ここから物語は一気に加速する。
気になったのは、今作でのミリーの設定だ。イケメンで富裕な弁護士の恋人がいながら、自身の過去(20代での服役経験)を隠している負い目から、彼女はこの交際に消極的だ。物語はこの逡巡を執拗に描くのだが、正直、読んでいてじれったい。自身の境遇を考えれば「ハイスペックな彼氏が重い」とこぼす彼女の心境には、なかなか共感しがたいものがある。
さらに「チョイ悪な元カレ」への未練も描かれるなど、特定の読者層を意識したような恋愛要素が鼻につき、個人的にはノイズに感じられた。
また、今作のミリーは正義感から不用意に他人の家庭事情へ介入し、自ら危機を招いてしまう。前作のような「追い詰められた末の選択」という切実さが薄く、後先考えない軽率さが目立ってしまったのは残念だ。
とはいえ、前作の肝であった「大どんでん返し」の妙は今作でも健在だ。細かな瑕疵(かし)はあるものの、エンターテインメント作品としてのサービス精神は旺盛で、最後まで飽きさせない。前作を超える衝撃とまではいかないが、軽快なサスペンスとして楽しむには十分な一冊と言えるだろう。

