蟹顔のアイツが帰ってきた!?〜映画『プレデターズ』

プレデターズ (監督:ニムロッド・アーントル 2010年アメリカ映画)

■オレとプレデター

プレデター』の1作目って実はそんなに思い入れないんですよ。あれ、基本的にシュワルツェネッガー主役の映画じゃないですか。そこにマザーファッカーなほど醜い蟹顔したエイリアンが出てきて、ラストでシュワちゃんを食っちゃうんですね。いや、説明する必要ないと思いますけど、食べちゃうわけじゃなくて、シュワちゃんより目立っちゃった、ってことなんですけどね。SFな映画は好きですからエイリアンは大歓迎なんだけど、ゴジラの映画観てたら、最後はガメラで終わっちゃった、みたいな変なちぐはぐ感を感じたんですよ。だって、『エイリアン』の映画にシュワちゃんとかスタローンとか出てきたらなんか居心地悪くありません?なんかそんな感じだったんですよ。あと、ジャングルばっかりずっと続くから、ビジュアル的に飽きてくるんですよ。だから『プレデター』1作目は嫌いじゃないんだけど、怪獣映画として『エイリアン』と並び立つ作品って気がしないんですね。
しかし『プレデター2』、オレこれが大好きでね。どのくらい好きかというと、『1』はDVDさえ持ってないのに、『2』はDVDで所有している上に、さらにBDまで買っちゃった位なんですよ。やっぱねー、舞台がジャングルじゃなくてビルの建ち並ぶ大都会ロサンゼルス、プエルトリコ系やジャマイカ系ギャングが銃をバリバリ撃ちながら殺し合いしてる中に異形の殺し屋エイリアンがあらわれ、さらに状況を血腥くする、このシチュエーションが最高でしたね。この雑多な民族の坩堝と崩壊しまくった治安が実に近未来して格好よかったんですよ。一番好きなシーンはジャマイカン・マフィアの乗る車がガンジャの煙でもうもうとなっていた所ですけどね。あとラストの"エイリアンの頭"のお遊びね。まあこの『2』が決定打となって"蟹頭"プレデターは晴れてオレのお気に入りモンスターとなったわけです。あと『エイリアンVSプレデター』とかその『2』とかは決して嫌いじゃないんですがあんまり記憶に残んない映画だったのも確かですね。

プレデターは果たして強いのか?

で、この『プレデターズ』なんですが。謎の惑星に犯罪者や殺しのプロが集められて、蟹頭の狩りの材料にされるっていうストーリーなんですが、この粗筋だけでも十分面白そうですよね。謎の惑星は蟹頭の狩場で、蟹頭はここに腕の立ちそうな地球人やら異星人を集めて、彼らと戦うことで狩りのスリルを楽しんでいるんですね。蟹頭にとっちゃ週末のゲームみたいなもんなんでしょうね。だから意外とここに出てくる蟹頭の皆さんって、蟹頭惑星じゃ普通の一般人で、地元のハンティング斡旋会社にお金払って、週末この惑星に来ちゃあ狩りを楽しんでまた自分ちに帰ってるのかもしれませんね。もちろん獲物の頭をお土産にね!
しかし前から思ってたんですが、蟹頭の皆さんってホントはそんなに強くない気がするんですよ。そりゃまあ顔はその辺のヤクザなんかよりも全然怖いし、ガタイもプロレスラー並ですから、弱いってことはないんでしょうけど、「銀河を股に掛ける血に飢えた狩猟民族」っていう割には、随分とテクノロジーに頼りすぎだと思いません?なによりあの光学迷彩がそもそも卑怯ですよね?ハイテクノロジーな武器とか、様々な電磁波を可視化できる装置とかフル装備なんですよね。これじゃあ棍棒振り回している原始人をモビルスーツで蹴散らして「俺らって強いよね」とか言ってるみたいで、命を掛けたハンティング野郎って気がしないんですよね。おまけにあんだけ装備あっても返り討ちに遭っちゃったりするし、負けそうになったら原爆爆発させたりとか、負けず嫌いなところも大人気ないですよね?

■トレホ様vsプレデター

映画としてはやっぱりジャングルのシーンが多いので途中はちょっと飽きてしまいました。ホントにオレジャングル嫌いみたいです。『プレデター』1作目へのオマージュ的なシークエンスもあったけどこれいらなかったかな。ラストは好きでしたね。
配役では『戦場のピアニスト』でナチスに散々虐げられるピアニストだったエイドリアン・ブロディが腕利きの傭兵役で主役張ってるんですが、マッチョな兵隊じゃないって所が逆に面白かったですね。紅一点である女性スナイパー役のアリシー・ブラガがいつも濡れた髪振り乱しててこれもGOOD。『マトリックス』のローレンス・フィッシュバーンが狩場惑星で10年間生き残っていた男の役で出ますが、サバイバルしている割りにはかなーりデブ過ぎねーか!?説得力ねーんだよ!とちょっとこれはオレご機嫌斜めになってしまいました。あと日本人ヤクザ役でルイ・オザワっていう人も出てるんですが、この人ダウンタウンの松本さんそっくりなんっすよ!だから途中から松ちゃんが真面目な顔して戦ってる!としか思えなくなって、可笑しくなって堪りませんでした!スイマセン!

それとオレの大好きなダニー・トレホ様も堂々出演なさっておりましたが、マシンガンなんかじゃなくてマチューテで蟹頭と戦って欲しかった、というのはオレでなくとも皆さん思っておられたことでしょう!オレ的には最後にトレホ様が生き残り、蟹頭の屍累々となった戦場で、片手に半裸のヒロインをかき抱き、もう片手に蟹頭の生首掲げて、ガッハッハッ!とか大笑いして幕、とかだったら拍手喝采だったのになあ!惜しい!是非次作では『マチューテvsプレデター』で復活していただきたい!

プレデターズ 予告編