ファイナル・デッドブラッド (監督:ザック・リポフスキー、アダム・スタイン 2025年アメリカ映画)

死すべき運命を逃れた者たちが、その運命により再び一人また一人と命を落としてゆく様を描くホラー・サスペンス映画『ファイナル・デスティネーション』シリーズの第6作。今作では50年前に巻き起こった展望タワーの大惨事をきっかけに、それを逃れた家族とその子孫が次々と理不尽な死に見舞われてゆく。
このシリーズの面白さは「不可思議な偶然が有り得ない形で次々と積み重なり、最後に残酷でおぞましい死となって対象者を襲う」という、「死のピタゴラスイッチ」の凝りに凝った仕組みにあるだろう。徹底的に「死のスイッチ」の伏線をばら撒きまくり、それがどう繋がって最終的な死に結びつくのか、という見せ方が面白いのだ。観客はそれを「くるぞ、くるぞ」とわくわくしながら見守るというのがこのシリーズの見方である。
それに加えて「死の対象者」「死のスイッチ」のフェイント芸まで散りばめられ、「こいつが死ぬ」と思わせて別の人間が死んでみたり、「これがスイッチの最初の1個」と思わせて別のものが発動していたりと、くすぐり方も半端ない。今作はこれまでよりも小振りな印象を受けたし、主人公俳優も今一つ魅力に欠けていたが、ホラーの構造としては十分面白いので今後のシリーズも期待したい。
アンティル・ドーン (監督:デビッド・F・サンドバーグ 2025年アメリカ映画)

呪われた山荘で何度も殺される、というタイムループに囚われてしまった若者たちを描くホラー映画。時間が遡るたびにシチュエーションが変わり、より残酷な殺され方をしてゆく彼らに脱出の方法はあるのか?という部分で強烈なサスペンスを生んでゆく作品だ。原作は同タイトルのゲーム作品。
呪われた山荘、タイムループ、殺人鬼、ゾンビ、魔女、廃坑、廃墟と化した町、不気味な予告、謎の精神科医、手を変え品を変えてのおぞましい死に方と、これでもかとばかりにてんこ盛りな内容のホラー作品だ。ひとつひとつをとってみるなら既視感たっぷりであり、既存ホラー映画やホラーゲーム作品を容易く並べて見せることもできるだろう。
しかしこのなんでもありなごった煮感が、ジェットコースターでお化け屋敷を突っ走っているようなスピードと爽快さを生み出し、「怖い」よりも「楽しい」とすら思わせるホラー映画だった。この辺りの構成は、もともとがゲーム作品であったことの見せ方の違いなのだろう。物語的な整合感は乏しいが、一瞬一瞬のシーンに驚きを与えてゆく演出が巧みなのだ。また、死ぬたびに謎に近づいてゆき、脱出方法を探ってゆくタイムループ作品の醍醐味もきちんと盛り込まれていた。

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