死のピタゴラ装置がやってきた!〜映画『ファイナル・デッドサーキット』

■ファイナル・デッドサーキット (監督:デヴィッド・R・エリス 2009年アメリカ映画)


自分が今いる場所で大事故が起こり自分を含む多数の死者が出るという白日夢を見てしまい、気色悪くなって逃げ出したら本当に大事故発生!命が助かって運がいいね♪と安心していたら一緒に逃げ出し命の助かった連中が順番に死んでゆく!イヤ〜ン、これって決められた死の運命なの!?という『ファイナル』シリーズ最新作である。ファイナル・シリーズと言っても勿論あの大作ゲーム、ファイナル・ファンタジーとは露ほども関係無いので要注意である。

これまで『ファイナル・デスティネーション』『デッドコースター』『ファイナル・デッドコースター』と作られ、今作で4作目になるこの映画、劇場上映では3Dだったのらしい。生首やはらわたや血飛沫がボコボコボコボコ目の前に飛んでくるさぞや楽しい3D上映だったのであろうがとりあえずオレはレンタルDVDで鑑賞である。セルDVDでは立体メガネ付きの3Dバージョンも発売されているので気になる方はそちらをどうぞ。それと劇場公開時、吹き替え版のみの上映だったらしいが、この吹き替えが相当酷いものであったらしく、巡回先の映画ブログの皆さんの記事を読むとその惨状がありありと伝わってくるのだが、そういう別の意味での怖いもの観たさがある方もチャレンジしてみるといいかも(?)。ちなみにオレは字幕で観ましたが!

で、サーキット場事故が発端となる今回の『ファイナル・デッドサーキット』、製作者側もダレてきたのかいささか緊張感が足りなかったし、展開もこれまでとたいして変わり映えが無く、CG扱いの粗さも目立ったとはいえ、これはこれでそれほど退屈せず観ることが出来た。ホラー・シリーズによくある偉大なるマンネリズムとでもいうやつか。なにしろこの『ファイナル』シリーズのウリは"風が吹けば桶屋が儲かる"そのままに、日常に溢れるありとあらゆるありふれたものが次々と連鎖反応を起こし、最終的に登場人物を惨たらしい死に至らしめるという、《死を呼ぶピタゴラ装置》状態を描く部分が実に楽しいのだ(こういうのを「ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」というのらしい)。

この死のからくりが動き出した時に、どれがどれと繋がるかを眺めている時のワクワク感はこの作品ならではと言っていい。死のからくりが見事最後まで到達し、哀れな犠牲者が血飛沫を上げて絶命するシーンでは思わず「ひゃっほうっ!」と喝采したくなるほどである。ありえない連鎖で死が起こる、その”ありえない”はずである死の滑稽さと非現実感がとても愉快なのだ。だがしかし、現実の事故や死も、意外とこういう"ありえない"ことで起こってしまっていたりもするわけで、そういった死の理不尽さ、馬鹿馬鹿しさを描いているといった点で、ユニークなシリーズであると言うこともできる。なんで白日夢で事故を予知しちゃうのかはいつまでたってもわからないのだが。