『チェコ21世紀SF短編集』を読んだ

チェコ21世紀SF短編集 / ズデニェク・ランパス (編集), 平野清美 (翻訳) ドイツとソ連、二つの大国に翻弄された激動の歴史を背景に、政治への鋭い批判と奇抜な設定でチャペック以降、世界中の読者を魅了し続けるチェコSF(フアンタスチカ)。 国内でも圧倒的…

『スパイダー・ノワール』『グッド・オーメンズ シーズン3』など最近観た配信ドラマ

スパイダー・ノワール(Amazon Prime video)(監督:ハリー・ブラッドビアーほか 2026年アメリカ製作) 1930年代ニューヨーク。かつて街の唯一のスーパーヒーロー「ザ・スパイダー」として活躍したベン・ライリー(ニコラス・ケイジ)は、今や冴えない私立…

金髪ヘタレマッチョの異世界往還ファンタジーアドベンチャー映画『マスターズ・オブ・ユニバース』

マスターズ・オブ・ユニバース (監督:トラヴィス・ナイト 2026年アメリカ映画) 映画『マスターズ・オブ・ユニバース』は、1982年にマテル社が発売したアクションフィギュア玩具シリーズが原典となった、剣と魔法のファンタジーアドベンチャー作品だ。1987…

人類の命運を賭けて行われる魔人と人間との究極格闘大会/映画『モータルコンバット ネクストラウンド』

モータルコンバット ネクストラウンド (監督:サイモン・マッコイド 2026年アメリカ映画) 究極格闘大会モータルコンバット 人類の運命を賭けて行われる魔人と人間との究極格闘大会、モータルコンバットを描くアクション映画『モータルコンバット ネクスト…

砂漠の彼方に待つ審判の細い橋/映画『シラート』

シラート (監督:オリベル・ラシェ 2025年スペイン・フランス映画) 砂漠の彼方に消えた娘を探せ。2025年のカンヌ映画祭で注目を集め、2026年に日本公開されたオリベル・ラシェ監督の『シラート』は、失踪した娘を追ってサハラ砂漠のレイヴ・パーティに潜り…

スティーヴン・キングの『もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ』を読んだ

もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ/スティーヴン・キング (著), 白石 朗 (翻訳), 安野 玲 (翻訳) キングの”長編+中編”集『もし血が流れれば イフ・イット・ブリーズ』 邪悪なる存在と対決する女性探偵『もし血が流れれば』、山荘にこもった作家を襲…

SFアンソロジー『星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選 』を読んだ

星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選 / ジョナサン・ストラーン(編)、中原尚哉・他(訳) 20万年がかりの銀河周回の完了を祝うイベントで知らされる、驚愕の真実(ベラドンナの夜)、小惑星帯に隠れ住む巨大知的マシンのきょうだいはある日、謎…

『諸星大二郎短編集成 (4) 砂の巨人』を読んだ

諸星大二郎短編集成 (4) 砂の巨人 / 諸星大二郎 画業55周年記念デビュー以来の短編を集成 「異能の作家」として手塚治虫をはじめ多くの作家からリスペクトを集め続ける鬼才・諸星大二郎氏の画業55周年を機に、「諸星大二郎短編集成」全12巻を刊行いたします…

『BEM』/西部劇とSFでアメリカ神話をえぐる斎藤潤一郎の新境地

BEM/斎藤潤一郎 斎藤潤一郎の新作『BEM』は、これまでの作品世界を大きく広げた重要な一冊だ。『死都調布』で郊外の不条理と虚無を描き、『武蔵野』で静かな旅の終わりを綴った作者は、今回は舞台をアメリカ全土へと移した。キャッチコピーが示す通り、本作…

『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』はどのようにして生まれたのかを描くバンドデシネ作品『ルーカス・ウォーズ エピソードⅡ』

ルーカス・ウォーズ エピソードⅡ / ロラン・オプマン (著), ルノー・ロッシュ (イラスト), 原 正人 (翻訳), 河原 一久 (監修) 大傑作『帝国の逆襲』完成までの壮絶なドラマを描くフランス版コミック、待望の第2弾! シリーズ屈指の名作『スター・ウォーズ/…

エストニアが舞台の映画を4作観た

エストニアという国 バルト三国の一つであるエストニアは、日本の九州ほどの面積に130万人余りが住む小さな国だ。小国ならではの運命なのか、その長い歴史においてデンマーク、スウェーデン、ロシアといった大国に支配され辛酸をなめてきたが、1991年のソ連…

ダグラス・アダムス のカルトSF長編『銀河ヒッチハイクガイド』を(今頃やっと)読んだ

銀河ヒッチハイクガイド / ダグラス・アダムス (著), 安原和見 (翻訳) 銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。どこをとっても平凡な英国人アーサー・デントは、最後の生き残りとなる。アーサーは、たまたま地球に居た宇宙人フォードと、宇宙でヒ…

「AirPods Pro 3」を買った。

へその曲がった購入経緯 以前購入したワイヤレスイヤホンが故障してしまい、次はどうしよう……と思っていたところに目に付いたのがAppleの「AirPods Pro 3」である。 いやね。AirPods Proシリーズの音質の良さ、iPhoneとの相性の良さは随分前から調べて知って…

『リターン・トゥ・サイレントヒル』『プリースト 悪魔を葬る者』など最近配信で観たホラー映画

リターン・トゥ・サイレントヒル(Prime Video)(監督:クリストフ・ガンズ 2026年フランス・ドイツ・セルビア映画) 亡くなったはずの妻メアリーから届いた手紙に導かれ、ジェイムスは霧に包まれたサイレントヒルへ。異形の怪物たちと対峙しながら、愛と罪…

「歩くか死か」を描いた陰惨な不条理劇:スティーヴン・キングの『ロング・ウォーク』を読んだ

ロング・ウォーク / スティーヴン・キング(リチャード・バックマン名義) (著), 沼尻 素子 (翻訳) 近未来のアメリカ。そこでは選抜された十四歳から十六歳までの少年百人を集めて〈ロングウォーク〉という競技が行われていた。それは、コース上をただひた…

SWスピンオフ新作『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が最高にいかしたスペースオペラだった

スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー (監督:ジョン・ファヴロー 2026年アメリカ映画) 全身アーマーのニヒルな賞金稼ぎとフォースを操るちっこいエイリアンが銀河を股にかけた冒険の旅に出る!映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・…

AIと人間のバディが織りなす、2020年代ミステリの新境地『瞬きすら許さない』

瞬きすら許さない / ジョー・キャラハン (著), 吉野 弘人 (翻訳) 警視正のキャット・フランクは昔気質の刑事だ。事件現場を歩き、容疑者の眼を見ることが捜査の核心だと信じている。新設の捜査チームを率いることになった彼女は、ロックという名の人工知能…

『諸星大二郎自選短篇集 幻』を読んだ

諸星大二郎自選短篇集 幻 / 諸星大二郎 土の中から現れた人びと、いにしえの中国の伝奇譚、謎の屋敷に囚われた少女、魔術で怪物を召喚する高校生たち、河童伝説を調査する妖怪ハンター、古書店に出現した奇態な本、エリック・サティへの幻想譜……古今東西の…

もふもふ羊探偵が推理小説のセオリーを駆使して事件を解決する!? / 映画『ひつじ探偵団』

ひつじ探偵団 (監督:カイル・バルダ 2026年アメリカ・イギリス映画) のどかなイギリスの牧草地で、一人の羊飼いが死体で発見された!しかし、町でただ一人の警察官はあまりに間抜けでまるで頼りにならない!そこで立ち上がったのは……なんと飼われていた羊…

拉致された少女はミイラの呪いをかけられていた / 映画『THE MUMMY /ザ・マミー 棺の中の少女』

THE MUMMY /ザ・マミー 棺の中の少女 (監督:リー・クローニン 2026年アイルランド・アメリカ映画) 8年前エジプトで失踪した少女が、3000年前の棺の中で変わり果てた姿で発見される。家族の元へ戻った彼女をきっかけに、次々と不穏な怪現象が襲う。エジプ…

日中韓の作家たちによる「東アジアの古い伝説」を基にしたSFファンタジー短篇集『七月七日』

七月七日 / ケン・リュウ、藤井太洋 他(著)、小西直子、古沢嘉通(訳) 東アジアに伝わる七夕伝説、 不老不死の薬を求める徐福伝説、 済州島に伝わる巨人伝説―― 伝説や神話からインスピレーションを得て 日中韓三ヵ国の作家が紡ぐ、十の幻想譚。 七夕の夜…

『HELP / 復讐島』『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』など最近配信で観た映画

HELP / 復讐島 (監督:サム・ライミ 2026年アメリカ映画) パワハラ気味の上司ブラッドリーと、周囲から浮いた変わり者の会社員リンダ。出張中の飛行機が墜落し、生き残った二人は無人島に辿り着く。サバイバルを進めるうちに力関係が逆転し、リンダの溜ま…

『宇宙墓碑 現代中国SFアンソロジー』を読んだ

宇宙墓碑 現代中国SFアンソロジー / 倪 雪婷 (編), 立原 透耶・他 (翻訳) 幼い頃、私は火星の北極冠で、黒く光る四角い石碑の数々を見た。それは宇宙で死んだ飛行士たちの墓碑だった――星ぼしに建つ墓碑に魅せられた男を描く韓松による表題作、火星からの帰…

炎の如き赤髪の女戦士が戦いを繰り広げるソード&ファンタジー映画『レッド・ソニア/反逆の剣』

レッド・ソニア/反逆の剣 (監督:M・J・バセット 2025年アメリカ映画) 炎の如き赤髪の女戦士が、血と剣で運命を切り裂く。映画『レッド・ソニア/反逆の剣』は、ロバート・E・ハワード原作の伝説的キャラクター「レッド・ソニア」を基に新たに映画化した剣…

悪魔崇拝者どもを血祭りに上げろ!/映画『ゼイ・ウイル・キル・ユー』

ゼイ・ウイル・キル・ユー (監督:キリル・ソコロフ 2026年アメリカ映画) 生け贄のはずが、最狂の狩人になる。映画『ゼイ・ウイル・キル・ユー』は、妹を救うために悪魔崇拝者のマンションに乗り込んだメイドが、悪鬼どもと血塗れの戦いを繰り広げるホラー…

自らの執着に狂わされた男の悪夢の物語/映画『地獄のサーファー』

地獄のサーファー (監督:ロルカン・フィネガン 2024年オーストラリア・アメリカ映画) 怪人、狂人、ブチ切れ演技がメシの種となっているニコラス・ケイジの新たなる心神喪失映画、それがこの『地獄のサーファー』である。今作は、ガラの悪いジモティーが海…

【水曜どうでしょう第36弾「懐かしの西表島」】Blu-rayを観た 

DVD

【水曜どうでしょう第36弾「懐かしの西表島」】のBlu-rayが発売されたのでばっちり予約購入、この連休に一気見しました。2023年に放送された最新エピソードの映像に特典映像や副音声を収録したもので、6夜分・全255分+特典映像1時間以上とたっぷりした内容…

世界の終わりに届いた、人生への「ありがとう」/ 映画『サンキュー、チャック』

サンキュー、チャック (監督:マイク・フラナガン 2025年アメリカ映画) チャックとは誰か、世界はなぜ終わるのか 世界の終わりが迫る中、街を埋め尽くす謎の感謝広告——「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック。」…

鬼編集長と元アシスタントの20年ぶりの再会/映画『プラダを着た悪魔2』を観た

プラダを着た悪魔2 (監督:デビッド・フランケル 2026年アメリカ映画) ファッション誌「ランウェイ」の鬼編集長と元アシスタントが、ファッション帝国の存続を賭けて20年ぶりに再会する!という映画『プラダを着た悪魔2』を観てきました。 前作『プラダを…

映画『サンキュー、チャック』の原作・スティーヴン・キング『チャックの数奇な人生』を読んだ

チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ / スティーヴン・キング (著), 安野 玲 (翻訳), 高山 真由美 (翻訳) スティーヴン・キングの中編集『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』 世界の終わりが近づく中、突如現れた「ありがとう、チャッ…