続 テルマエ・ロマエ (1) / ヤマザキマリ
紀元158年、ローマ帝国はアントニヌス・ピウス帝の統治下20年目、ローマの浴場設計技師ルシウスは還暦を控えて腰痛持ち、妻さつきは謎の失踪、息子マリウスとは親子不和、さらに彼を悩ませるのはローマの風呂の仕事であったが…。解決のカギは日本の温泉にあった…!?
あの『テルマエ・ロマエ』の続編と聞いて、こりゃあ読まなきゃ!とは思ったが、あの作品にまだ描くことがあるのか?とか安易な続編じゃないといいがなあ、といった不安はあるといえばあったんだけどね。しかし実際読んでみたら単なる杞憂だった。まずとにかく面白い、そしてただ面白いんじゃなくて、前作からパワーアップしてるんじゃないのか!?と思わせる面白さなんだよな。
実はヤマザキマリのコミックは『テルマエ・ロマエ』の後、とりみきとの合作『プリニウス』しか読んでなくて、『スティーブ・ジョブズ』や『オリンピア・キュクロス』あたりはテーマに興味が湧かなくて読んでなかった。で、『プリニウス』も、悪くはなかったけどちょっと窮屈だったかな、という感想があった。
その後に久々にこの『続・テルマエ・ロマエ』を読んでみたら、なんだかヤマザキマリがノリノリかつ伸び伸びと描いているのが手に取るように伝わってきて、それはヤマザキマリお得意のローマが題材という点よりも、その独特のギャクセンスが、とてもいい具合にハッチャケていて、あーこれだよ、こういうのが読みたかったんだよ!と思わせてくれたのだよ。
物語は前作から20年が経ったことになっていて、当然主人公ルシウスは20年歳をとっており、今やすっかりお年寄り、温泉でも治せない腰の痛みに悩まされていたりする。そういえば前作ラストで結ばれた日本人女性さつきはどうなったの?と思ったらなんと謎の失踪をしていて、その代わり二人の息子マリウスが登場する。
20年の間にローマの治世も変わり、現在の皇帝はアントニウス・ピウス帝。平和な時代だったようだが、それでも問題はないことはない。こういった点で、前作とはいろいろ様変わりしてる部分があり、その中でどうルシウスが老体を鞭打ち奮闘してくれるのか、という楽しさがある。あと温泉オタクの日本人キャラが新登場するんだが、面白いからこれからも登場させて欲しい。というわけでも今後も楽しみです。