望月ミネタロウ作品その他最近読んだコミックあれこれ

没有漫画 没有人生(ノーコミック ノーライフ)(2) / 望月ミネタロウ

望月ミネタロウの”空想エッセイ漫画”『没有漫画 没有人生』第2巻。内容は作者と思しき漫画家「峯月モチタロウ」が家族と共に淡々と過ごす日々と、モチタロウ先生の脳内で現れては消えてゆく妄念や人生のこだわり、子供の頃の思い出などがユーモアたっぷりに描かれてゆくものだ。これが作者の端正なグラフィックで描写される様などはどこかバンドデシネに通じるものがある。主人公も実際の望月ミネタロウ氏も横浜がお住まいなのだそうだが、東京住まいのオレも近所と言えば近所なので、ちょっとした親近感も感じた。なんでもこの2巻で完結らしく、非常に楽しめる内容だったからまだまだ続けて欲しかったが、次々と新機軸に挑戦してゆく望月ミネタロウ氏にとっては、(妄想)エッセイ漫画で落ち着いたところを見せたくなんかない、といったこともあるのだろうと思えた。

総特集 望月ミネタロウ ― 創造と破壊と革新と。 ―(文藝別冊)

その望月ミネタロウ氏を総特集したムック本。内容はロングインタビュー、描き下ろしマンガ、レア作品採録、対談、特別寄稿、エッセイ、カラーイラストギャラリー、作品解説など盛り沢山。望月氏のこれまでのほとんどすべての仕事が俯瞰できる非常に充実した内容で、一気に読み終えてしまった。特に大友克洋氏との対談では、大友氏からの多大なるリスペクトがうかがえ、実に読み応えがあった。イラストギャラリーもこれまで見たことのないイラストばかりで、これも貴重だなあ。

こうして読みながら、オレがいかに望月氏の漫画のファンだったのかを再確認してしまった。オレは望月氏の漫画は殆ど読んでいると思うが、実は非常に好きな作品と???な作品が半々で、決して大ファンと言えるほど作品を理解していないと思っていたからだ。それでもこのムックを読みながら大いに頷き、様々な事を発見し、これまで以上に望月漫画への愛が深まったように感じたのだ。

月氏の漫画には謎回路による直線的な因果律が存在していて、いい意味でお馬鹿とも言えるし別の言い方をすれば直截的な明晰さが見て取れて、決してそれが唯一無二の正しい結論ではないにせよ、結果的に望月氏にしか醸し出せない答えを鮮やかに見せてくるところが好きなんだろうな。要するにゴチャゴチャせずスッキリしている(そのスッキリも様々なこだわりの果てにあるのだろうが)、そういった部分が好きなのだろうと思う。

ベアゲルダ―(7) / 沙村広明

暴力団「噪天会」によって売春島と化した石婚島で、一癖も二癖もある女たちが巨大製薬企業ヒルマイナ社の暴虐に血みどろの戦いを挑む沙村広明作品第7巻。妖艶な美女たちと奇ッ怪な相貌の殺し屋どもが沙村作品お馴染みの陰惨極まりない殺し合いを続けてゆくといういつもの展開。物語自体は一応進展しているみたいなのでとりあえず最後まで読み切るつもりであります。

あたしゃ川尻こだまだよ(3) / 川尻こだま

怠惰極まりない毎日の中で明日をも知れぬ鯨飲馬食を続けてゆく川尻センセのエッセイコミック第3弾。とはいえこの3巻ではいつもの鯨飲馬食展開は後退し、川尻センセの人間観察コミックと様変わりしている。鯨飲馬食ネタもそろそろ飽きてきたので新展開という事なのだろうが、これはこれで悪くないし、意外とここからが川尻センセの腕の見せ所となるかもしれない。