最近読んだコミックなどなど/『ドリフターズ (7)』が面白かったぞ

ドリフターズ (7)/平野 耕太

平野耕太の『ドリフターズ』7巻が出たんですけどね。「いやちょっと待て出たのは嬉しいけど前巻からいったい何年空いたんだ?」と思って調べたら6巻目の刊行は2018年、要するに5年ほどのブランクがあったんですよね。いったいこの5年間作者何やってたんだ?とプンプンしながらもう一度調べたら、なんと体調を崩して入院されていたのだとか。いやー何も知らずに憤慨したりして本当に申し訳なかった。とはいえこうして7巻が発売されたという事は多少は持ち直したんでしょうか、お大事にされてほしい。

という訳でこの7巻なのだがなにしろ前巻と5年のブランクなので筋も殆ど忘れてしまい、この7巻だけ読んでも訳が分からんだろうなあという事で1巻目からもう一度読み直すことにした。もともと平野ならでは切れまくった筆致と台詞の楽しい作品だが、改めて読み直すと「楽しい作品」どころか非常に計算された素晴らしい作品だという事がひしひしと伝わって驚愕した。計算というか予め明確なビジョンに基づいて作成された物語だという事にやっと気付いたのだ(改めてスマン)。

戦闘に長けた歴史上のあらゆる有名人物が異世界に一堂に会し、敵味方に分かれてぶつかり合うというこの物語、登場する歴史上の人物たちのキャラも楽しいが戦闘においてそれぞれに特化した能力を持ち、そのそれぞれが噛み合いながらしのぎを削り合う、ある意味格闘ゲームシミュレーションゲームのような面持ちがあり、それらが『指輪物語』的なファンタジー世界で善悪に分かれて衝突するというのもまた心躍らせる。また、そのような戦いを可能にする作者の歴史知識にも感心させられる。

そういった結構きちんとした構成を持ちながら、それでも登場人物たちの狂いっぷりが最も目立つというのがまた平野作品らしく、そしてまた平野作品を読む醍醐味だろう。この巻では前巻から続く大戦争からまた新たな展開を迎えており、ここでも平野のストーリーテラーとしての抜け目のなさを感じさせ、続きが大いに気になるものとなっている。平野先生、健康には十分気を付けて、やんわりと続きを書き続けてください。

デビルマン外伝‐人間戦記‐/永井豪(原作)、細野不二彦(作画)

細野不二彦による『デビルマン』のスピンオフ作品という事で読んでみた。物語は不動明を助ける「ドス六」を中心とした不良メンバーが、オリジナルストーリーの陰でどのような行動をしていたか?を描くもの。で、これが全然ダメ。お話以前に漫画の「絵」としてなっていなくて、絵に勢いが無いしキャラに魅力が無いし『デビルマン』としてのダークさも無い。絵もそうだがアングルやコマ割りなど漫画として重要な部分がまるでいただけない。細野先生ってこんなだったんだっけ?同時に物語としてもデビルマンにあってもなくてもいいようなお話で、なんだか読んで損した感じさえした。

戦車椅子-TANK CHAIR‐(4)/やしろ学

肉体改造と超能力を駆使した超絶的な身体能力を持つ殺し屋学生たちが潰し合いを展開する『戦車椅子』の第4巻は話を過去に戻し殺し屋学園で勃発したある事件を描いているわけですな。キャラもいいし肉体破壊込みの血塗れ戦闘も楽しいし、この物語から現在の新たな展開へと持ち込まれるみたいなのでなかなか楽しめました。これが面白かったら『チェンソーマン』とかもっと楽しく読めるのでしょうが、既に巻数が多いので手は出しません。

還暦子育て日記7お話しましょうサトルさんの巻/渡辺電機(株) 

いつも通り子育てに奮闘する渡辺電機㈱のTwitter連載絵日記まとめ編です。それにしても子供の成長は早いもんですなあ。

川尻こだまのただれた生活 第11集: 「未来の作画の話」他/川尻こだま

川尻こだまのただれた生活 第12集: 引越し先で閃光玉喰らった話 他/川尻こだま (著)  

真四角異世界暮らし: 描き下ろし:エンダードラゴンしばく話 ゲーム漫画まとめ/川尻こだま

いつも通りただれた生活を送る川尻こだま先生の無気力脱力漫画です。でも食う事と酒飲むことには気力満タンです。そしてどうやら川尻先生がゲーム関連の仕事をしているらしいことがようやく描かれます。ホントかどうか分からんが。

もう一つは川尻先生がハマりまくっているゲーム『マインクラフト』のプレイ漫画、書下ろしあり。これがまた最高に面白い。変な実況とか見るより『マイクラ』の楽しさを凝縮し尽くしているんじゃないでしょうか。笑ったしラストはなんだか感動までしてしまった。しかしこれ読んで『マイクラ』やるかというと膨大に時間を溶かしそうなんで絶対やりません。