『グランツーリスモ』など最近ダラ観したDVDやら配信やら

グランツーリスモ

グランツーリスモ (監督:ニール・ブロムカンプ 2023年アメリカ映画)

プレイステーションのレーシングシミュレーションゲームグランツーリスモ』を映画化したものなのかと思ったら、なんとこのゲームの達人プレイヤーを本物のレーシングドライバーに鍛え上げ、数々の世界的レースに参戦させ、あまつさえ上位ドライバーに食いこませた、という実話を元にして制作されたのらしい。この実話だけでもスゴイ話である。

物語は単なるゲーマーだった青年が様々な困難を乗り越えレースを勝ち進んでゆく、といういわゆる「スポ根モノ」なのだが、臨場感あふれるレースシーンと光り輝くレースカーの美しい描写、時折挿入されるゲーム的なエフェクトなどが効果を上げ、とても素晴らしく十分楽しめる作品に仕上がっている。しかも監督があの『第9地区』『エリジウム』のニール・ブロムカンプだというから驚きは2倍である。これまでのグジャドロしたSF作品(嫌いじゃないが)よりも全然完成度が高いのだ。

とはいえここからは映画の完成度とは全く離れた個人的な好みの問題なのだが、オレはなにしろ車というのが全然好きじゃなくて、何もかもツルツルテカテカと「シズル感」しまくったレーシングカーやレース映像が限りなく人工的に感じて終始好きになれなかった。これが宇宙船だったら「最高だぜ!」とか言うんだろうけど。いや、映画は本当によくできてるんだけどね。

コンフィデンシャル:国際共助捜査 (監督:イ・ソックン 、 イ・ソクフン 2022年韓国映画

韓国の刑事と北朝鮮の特殊捜査員が協力し合い、凶悪事件の捜査をするという2017年の韓国映画『コンフィデンシャル:共助』の続編。 今作ではさらにFBI捜査官が仲間に加わり、恐るべきテロ事件を防ぐために活躍する。とはいえこの作品、前作以上にコメディ要素が強まり、「ドタバタ国際捜査」と呼びたいぐらいだがこれが悪くない。なにより韓国刑事カン・ジンテを演じるオッサン顔ユ・へジンが、北朝鮮アメリカのイケメン捜査官の狭間でジタバタする様子が可笑しくって仕方がない。ジンテの義妹ミニョン(「少女時代」のイム・ユナ)がイケメン二人に恋の怪気炎を上げるシーンなど爆笑の連続、観ていて段々犯罪捜査とかどうでもよくなってくるほどであった!

聖なる復讐者(監督:キム・ソンス 2022年韓国映画

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  • パク・ジニョン
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【ネタバレあり】「殺された弟の復讐の為に自ら罪を犯し犯人たちのいる少年院に入所した主人公!」という韓国映画なんだが、犯人たちは少年犯だし半年も経てば出所するんだからその時襲えば良くね?と思っちゃうと観る気が失せて辛かった。おまけにこの主人公というのが単なるノータリンで、入所した途端犯人グループに「お前らに復讐だあ!」と喚いて目をつけられ、やり難くなっちゃうというしょうもなさ。ここに主人公に好意的な教師が登場するんだが、ああこいつ怪しいな、と思ってたらまさにドンピシャだったというのも白ける。シナリオも安直で都合よすぎだったなあ。

ラブ・アゲイン (監督 グレン・フィカーラジョン・レクア 2011年アメリカ映画)

ティーブ・カレル/ライアン・ゴズリングジュリアン・ムーアエマ・ストーン主演による2011年公開のラブコメ映画。監督は『フィリップ、君を愛してる!』のグレン・フィカーラジョン・レクア。物語は登場人物たちの片思いの連鎖が延々続くというもので、このややこしく錯綜した人間関係が可笑し味を生む優れた作品だった。ところでこのプロットは17世紀フランスの戯曲家ラシーヌによるトロイア戦争を題にとった悲劇、『アンドロマック』の骨子を借用したものだろう。無駄にフランス文学読んでいたのでこれに気付いた時は「おおオレって教養あんじゃん!?」とちょっとだけ鼻が高くなったが、それ以外の教養はまるで低いです天狗になってどうもすいません。

コマンドーニンジャ (監督:ベンジャミン・コンブ 2018年フランス映画)

コマンドーニンジャ

コマンドーニンジャ

  • エリック・カルレシ
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クラウドファンディングで製作されたフランスのZ級大バカ映画。かつてコマンド―隊長として名を馳せた男に謎の忍者軍団が襲いかかる!?という物語なのだが、全編にこれでもかとばかりに80年代アクション映画を中心としたパロディが盛り込まれている。そのタイトルはと言うと『コマンド―』『プレデター』『ターミネーター』『ランボー』『マッドマックス』、しまいには『ジュラシック・パーク』や『2001年宇宙の旅』までぶち込まれてもう訳が分からない。お話はあってないようなもの、ひたすらユルく拙く支離滅裂でさらに退屈という酷い内容。それでも時折無意味に金の掛かったシーンがあり、そこがまた意味不明だったりする。とはいえこの作品、むしろ映画仲間で集まって鑑賞し、ワイワイとツッコミを入れまくって観るのが本来の楽しみ方のような気がする。