■毒戦 BELIEVER (監督:イ・ヘヨン 2018年韓国映画)
謎の麻薬王を追う刑事と組織に見捨てられた青年とが協力し、 闇の世界へと分け入るという映画『毒戦 BELIEVER』、もうなにしろ冒頭から圧倒されっぱなしの大傑作だった!非情なる描写が得意の韓国ノワールの中でも群を抜いて非情な世界が横たわっており、延々と続く苛烈かつ冷徹な描写を通じて「善悪の彼岸」に肉薄してゆく様は、これは韓国映画版の『ダークナイト』ではないかとすら思わせた。映像的にもリドリー・スコットの影響を感じさせ、禍々しくもまた甘美なシーンがあちこちで炸裂し、非常に芸術性の高い映像と撮影からは製作者の並々ならぬ才気を感じさせた。この禍々しさと甘美さとの拮抗は物語にも反映され、ドロドロと狂ってゆく世界とそこで鮮烈に迸る登場人物たちの生きざまとに大いに魅せられてしまった。これはもう一筋縄ではいかない完成度を誇っていると思う。ちなみにジョニー・トー監督による香港・中国合作映画『ドラッグ・ウォー 毒戦』のリメイク作品だとか。
■悪のクロニクル (監督:ペク・ウナク 2015年韓国映画)
昇進間近の刑事が襲ってきた暴漢を殺してしまい隠蔽するも、その後次々と不可解な出来事が起こり、何かの陰謀が動いていることを知る、というサスペンス。正当防衛を隠蔽するというのが今一つ説得力がないのだが、その「何かの陰謀」の真相が次第に明らかになってゆく過程が非常に面白く、その思いもよらない展開に興奮させられ、さらに心掻きむしり、よくもまあこんなシナリオを考え付くな、と思わせた。これも傑作でいいのではないかと。
■スゥインダラーズ (監督:チャン・チャンウォン 2017年韓国映画)
謎の大物詐欺師を追う検事と、逮捕作戦に協力させられる羽目となった詐欺師チームとの息詰まる捜査を描くクライム・ドラマ。検事も詐欺師チームも一筋縄ではいかない連中で、騙し騙されの虚々実々の駆け引きが展開し、誰が仲間で誰が敵なのかが錯綜し、その先行きの見え無さが面白いドラマを形作っていた。
■PMC:ザ・バンカー (監督:キム・ビョンウ 2018年韓国映画)
近未来を舞台に朝鮮軍事境界線地下施設で北朝鮮要人誘拐作戦に駆り出された傭兵達が出遭う地獄の戦闘を描いた韓国ミリタリー映画『PMC ザ・バンカー』がとんでもなく凄まじかった!米・中・北鮮・韓国の4つ巴の思惑が交差する冷徹な戦場で仲間を守り抜こうとする主人公の戦いはまるでMGSを彷彿させた!
■王の男 (監督:イ・ジュンイク 2005年韓国映画)
王を風刺した寸劇が切っ掛けで宮廷に招かれた大道芸人たちと気まぐれな王との愛憎を描く韓国の歴史映画『王の男』を観た。幼少時のトラウマに苦しむ残酷な王と命懸けで風刺劇を演じる芸人たちの間には常に複雑な感情が渦巻き、先が読めず重厚で文学性の高い素晴らしいドラマに仕上がっていた。傑作。
■新しき世界 (監督:パク・フンジョン 2013年韓国映画)
犯罪組織に潜入捜査中の刑事の葛藤を描くドラマ。犯罪組織もクソだが警察組織もクソで、板挟みどころか「もうなにもかもうんざりだ」といった風情の潜入捜査官の絶望感が何より重く、さらに潜入捜査官の炙り出しにかかった犯罪組織の追及にキリキリと胃が痛む思い。こうして訪れる驚嘆のラストはまさに「新しき世界」だった。
■無垢なる証人 (監督:イ・ハン 2019年韓国映画)
殺人事件の目撃者は自閉症の少女だった、という韓国映画『無垢なる証人』を観た!少女役キム・ヒャンギの演技力に魅せられ正義と良心というテーマに感銘しクライマックスの裁判シーンに鳥肌が立った!でも主人公弁護士の最後のアレは掟破り過ぎて物語の立脚点壊してないかなあと思った。
ダメダメサラリーマンが一念発起しプロレスジムに入門するが館長に悪役レスラーで試合に出ろと言われ?!韓国映画『反則王』はクソみたいな現実を打破する為もがき苦しむ一人の男の生き様を描く熱くそしてちょっと可笑しい異色のプロレス映画だ!壮絶なラストファイトに誰もが驚き涙するはず!