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去年は韓国映画開眼の年だった!
去年はオレにとって「韓国映画開眼の年」で、劇場のみならずレンタルやサブスクで山の様に韓国映画を観ていた。なぜ今韓国映画?というと、実はそれまで韓国映画を敬遠していてまるで観ていなかったからである。別に製作国に関係無く、面白ければどんな映画でも観ていたし、当然韓国映画もその中に含まれていたが、韓国映画をポツポツ観ていくようになると、段々とその過剰過ぎる陰惨さに辟易してきたのだ。
そんなオレがまた韓国映画を観るようになったのは、おそろしくエンタメ寄りの作品『神と共に』を劇場で観てとても楽しめたからだったと思う。その後に観た歴史ゾンビ映画『王宮の夜鬼』も面白かった。なんだ、韓国映画、陰惨じゃない、普通に楽しめる作品もあるじゃないか。そして、きちんと観るとやはり韓国映画のクオリティの高さがひしひしと伝わってくる。さらにこの後、マ・ドンソクを発見、うわ!韓国映画の俳優楽しい!となってきたのだ。
そんな訳で、永らく観ていなかったブランクを取り戻すべく、ネットに数多ある「お勧め韓国映画」のサイトを調べ、ファンから良作・傑作とされている作品を手当たり次第に観ることにした。もともと韓国映画には根強いファンが多いため、韓国映画に関するサイトの検索は容易極まりなく、ソフトにしろサブスクにしろ充実しており、作品の評価も定まっていて、作品を探すのはまるで苦にならなかった。以前インド映画にハマっていた時とは雲泥の差である。
韓国映画の面白さ
韓国映画の面白さ、完成度の高さは、やはり人間というものをとことん突き詰めて描く部分にあるのではないかと思う。韓国映画の基本にあるのはリアリズムだ。リアルであるからこそ苛烈にもなるし醜くもなる。そこが観る者の心をえぐる。逆にリアリズムに拘泥するばかりに華が無いのもまた韓国映画だ。同時に韓国映画には庶民的で人懐こく感じる部分、ほっとする部分も存在する。そこもまた飾り立てるのを嫌う韓国映画らしい部分だ。それと、同じアジア圏の人間として、他の国の映画よりも一番親近感を湧き易いのが韓国映画なのではないとも思う。というか、韓国も日本もたいした変わりないじゃないか、というのは映画を観ていてよく思う(もちろん、全然違う部分だってあるが)。
こうして去年から今年にかけて、100本近くの韓国映画を観る事になった。オレは一回気になると徹底的にやってしまうタチなのだが、なにしろとても充実した映画体験であった。だいたいの話題作は観たつもりだが、琴線に引っ掛かからず観なかった作品もあるので、網羅的というわけではない(例えばキム・ギドク作品はまるで観る気が起きなかった)。イヤイヤ観てもつまらないしね。
そしてここで韓国映画探訪の旅はとりあえず休止することにした。いや、他にも観たい映画が溜まってきたので。で、締めくくりとして、オレがこれまで観た中で気に入った韓国映画を幾つか挙げておこうと思う。ジャンルごとに5作前後、1位2位といったランク付けはせず挙げておく。セレクトはオレらしく非常に偏っていることをここにお断りしておく。「あの作品が入ってないぞ!?」と思われるかもしれないが、まあ、そういう観方をする人間だと思っていただきたい。また、ジャンルについてはオレが勝手に特定したものなので、異論のある方もいらっしゃるかと思うがご容赦願いたい。なお、恋愛モノは興味が無く観ていないので、ここにはセレクトされていません!
オレ的韓国映画ベスト作品!
コメディ
韓国映画もあれこれ観たが、結局オレの好きなジャンルはノワールでもアクションでもなくコメディだった。韓国コメディは良作が多いのに、ノワールに押されて目立たないのが残念に感じる。
怪しい彼女 (監督:ファン・ドンヒョク 2014年韓国映画)
LUCK-KEY ラッキー (監督:イ・ゲビョク 2016年韓国映画)
エクストリーム・ジョブ (監督:イ・ビョンホン 2019年韓国映画)
プランマン 恋のアラームが止まらない! (監督 ソン・シフプ 2014年韓国映画)
がんばれ!チョルス (監督:イ・ゲビョク 2019年韓国映画)
アクション
いやー、本当は『アジョシ』が入るべきなんだが、随分前に観てお話すっかり忘れちゃってるんだよな。ファンの方、許して下され。
泣く男 (監督:イ・ジョンボム 2014年韓国映画)
The Witch/魔女 (監督:パク・フンジョン 2018年韓国映画)
EXIT イグジット (監督:イ・サングン 2019年韓国映画)
鬼手(きしゅ)(監督:リ・ゴン 2019年韓国映画)
サスペクト 哀しき容疑者 (監督:ウォン・シニョン 2013年韓国映画)
人間ドラマ
何をもって「人間ドラマ」とするか?というのは悩ましい所なのだが、人間存在の本質やその生活に迫った作品ということになるかな。
バーニング 劇場版 (監督:イ・チャンドン 2018年韓国映画)
ほえる犬は噛まない (監督:ポン・ジュノ 2000年韓国映画)
サイボーグでも大丈夫 (監督:パク・チャヌク 2006年韓国映画)
国際市場で逢いましょう (監督:ユン・ジェギュン 2014年韓国映画)
ノワール
韓国映画といえば兎角ノワールが取り沙汰されるし、確かに良作も多い。ただノワールばかりクローズアップするのは偏っていると思う。オレはただ陰鬱なだけの作品は嫌いなんだ。
毒戦 BELIEVER (監督:イ・ヘヨン 2018年韓国映画)
オールド・ボーイ (監督:パク・チャヌク 2003年韓国映画)
アシュラ (監督:キム・ソンス 2016年韓国映画)
悪人伝 (監督:イ・ウォンテ 2019年韓国映画)
戦争
「戦争」「政治」「歴史」からはそれぞれ3作づつセレクトした。
シルミド SILMIDO(監督:カン・ウソク 2003年韓国映画)
トンマッコルへようこそ (監督:パク・クァンヒョン 2005年韓国映画)
政治
『タクシー運転手』は人間ドラマのカテゴリーともとれるが、光州事件を背景にしていることから政治ジャンルに入れてみた。
1987、ある闘いの真実 (監督:チャン・ジュナン 2017年韓国映画)
国家が破産する日 (監督:チェ・グクヒ 2018年韓国映画)
タクシー運転手 約束は海を越えて (監督:チャン・フン 2017年韓国映画)
歴史
韓国の歴史映画は「王」が好きなんだなあ、となんとなく思った。
王になった男 (監督:チュ・チャンミン 2012年韓国映画)
王の男 (監督:イ・ジュンイク 2005年韓国映画)
王と道化師たち (監督:キム・ジュホ 2019年韓国映画)