最近読んだコミックなどなど(その2)

小犬のこいぬ(3)/うかうか

こいぬを描かせたら今現在限定宇宙一(当社比)のうかうか氏によるこいぬ漫画『小犬のこいぬ』第3巻である。ちなみに「こいぬ」は漫画に出てくる小犬の名前である。小犬だからこいぬなのである。なにか説明したようで何も説明していないような気がするがそれは特に重大な問題ではないのである。

さてこの『小犬のこいぬ』、小心者であわてん坊で食いしん坊のこいぬが主人公だ。可愛いか……と言われると、まあ可愛くないとは言えないが、「可愛い♡」とばかりにハートをキュンキュン飛ばしたくなるような可愛さでは微妙に無い気がする。何故なら「愛くるしい」よりも「ドンクサイ」のほうが含有成分率が非常に高い気がするからである。

で、まあ、そんなこいぬが己のシンプルな直情に身を任せたばかりによく分からない目に遭うが、なんだか分からないがだいたいうまく収まる、という物語になっている。それぞれ1ページ完結の体裁の物語だが、起承転結めいた展開はあまりない。なんだか変だなあ、でも可笑しいなあというフィーリングが面白いのだ。そしてちょっぴりシュールであり、ファンタジックでもある。そしていつもわあわあわあわあ言っている。そこがいい。

貼りまわれ!こいぬ(3)/うかうか

そのうかうか氏によるもう一つの「こいぬ」コミック、『貼りまわれ!こいぬ』の第3巻である。もうどんだけこいぬ推しなのか、と思うのだが、ある意味この強固な一貫性は悪くない。ちなみに現在『こいぬと柴犬』というWeb連載もしているらしい。もうこいぬだらけである。さてこのコミックは「街中に犬のシールを貼る」という謎の業務形態を持つ会社に就職したこいぬが特に疑問も持つことなく街中に犬シールを貼り回り続けるという謎マンガである。しかし犬シールの貼られた場所ではなぜか犬たちにささやかな幸福が訪れるのである。謎である。そもそも作者であるうかうか氏のマンガ自体オチや展開ではなく「なんだかほわっとした雰囲気」で読ませるマンガなのでこれでいいのである。ただ3巻目ともなると「会社」にこだわりすぎて寓意が単純化してきたのでここらで新展開が必要かと思いました。

きりもやびより(2)/みずしな孝之

いとしのムーコ』完結後にみずしな孝之が連載を続けているコミック第2巻。主人公・鹿角ひよりは絵本作家でいつも締め切りに追われているが、その修羅場を飼っている犬猫・モヤくんとキリちゃんが邪魔しまくる!?というドタバタを描く。しかしそのドタバタで毎回新作のヒントを得、あまつさえその新作絵本も作中に描かれる、という構成になっている。ドタバタがどうヒントになり、そのような物語が生まれるのか、という部分が作品のポイントとなるが、基本的に部屋にこもりっきりの主人公の世界が狭く思えて、ここでもう少し登場人物を増やし人間関係を描くべきかなと思うのだが。

ヴィンランド・サガ(26)/幸村誠

単行本20数巻を費やしてようやく!ようやく”約束の地”ヴィンランド=北アメリカに辿り着いた主人公様御一行である。長かった。あまりに長かった。そしてこれで終わりではないにしてはペース配分的にちょっと長すぎゃしねえか?とうんざりしつつ迎えた第26巻であるが、ここで予想通り先住民様御一行(=ネイティヴアメリカンの皆様)と出会い、なんとなく友好的に見えつつ微妙にキナ臭い臭いを醸し出しているのである。なんかそんなこたぁ分かってんだろ!?予定調和過ぎだろ!?ここで不戦を誓った主人公が(人生いろいろあり過ぎて戦いがイヤになり過ぎた)どう対処し葛藤を見せるのかが今後の展開なのだろうが、なんとなく「平和ボケ戦後日本」を見せられているようで少々イラっと来るのは否めない。まあいい。どうせ戦うんだろ?屍累々なんだろ?やれや!やったれや!(←鬼畜)