Diamonds and Pearls (Super Deluxe Edition) / Prince & The New Power Generation
怒涛のように続くプリンスのリマスター＆未発表曲収録アルバム・リリースだが、今度は1991年にリリースされたPrince & The New Power Generation名義によるアルバム『Diamonds and Pearls』である。アルバムの位置的には『Graffiti Bridge』(1990)の後、『Love Symbol Album』(1992)の前。『Graffiti Bridge』で立ち上げられたバックバンドThe New Power Generationの音がイイ具合にこなれてきた時期のサウンドで、今聴くとポップではあるが非常にヘヴィーなファンク・サウンドを展開しており、リマスターでクリアーになったサウンドの恩恵もあり、非常に聴き応えのあるアルバムだった事を再確認した。
とはいえ、実はリリース当時はあまり好みのアルバムではなく、殆ど聴いていなかったことをここに白状しておこう。どうもオレにとってプリンスは『Purple Rain』から始まり『Sign o' the Times』へと連なる、変態ファンクからどんどん音楽的に先鋭化してゆく過程（変態から超変態へ）が面白かったというのがあって、この『Diamonds and Pearls』における安定したファンキーさが平凡に聴こえてしまったのだ(今聴くと全く平凡なサウンドではないことは全力で理解できる）。
という訳で充実の『Diamonds and Pearls』リマスターであるが、これが様々なバージョンでリリースされているというのが実に悩ましかったのだ。真打となるのは7CD+Blu-rayの〈スーパーデラックスバージョン〉なのだが、これが結構なお値段がする(輸入盤2万6千円〜国内盤4万円)。それに7CD分の音源は実はSpotifyで聴けるのだ。それなので最初、〈スーパーデラックスバージョン〉は諦め、お安い〈デラックス2CD盤〉を購入してお茶を濁した。だがSpotifyで2CD盤には収録されていない未発表曲を聴いていたら、これがもう、最高に素晴らしいのである。という訳で結局ダブりになるのだが〈スーパーデラックスバージョン〉を「えいやあ！」とばかりに購入してしまったのである。ああ、ホント無駄の多い人生だなオレ……。しかしCDはどうしたってサブスク音源より音質が良くて、購入した甲斐があった。
そんな紆余曲折を経て今オレの前には『Diamonds and Pearls (Super Deluxe Edition)』がある。たっぷりのCD、どっしりのブックレット、殿下尽くしの音楽と映像と写真の数々。正直大満足である。全く、最初から買っておけばよかった。詳しい収録内容は下にまとめたが、Disc1にリマスター、Disc2に別ミックス、そしてDisc3~5のCD3枚に渡ってプリンス未発表曲33曲を聴けるのがなにより目玉だろう。もともとプリンスの未発表曲は曲数が膨大過ぎてアルバムに収まり切れなかっただけのものばかりで、クオリティはどれも最高水準だ。だからある意味「プリンスの完全新作をアルバム3枚分入手した」ような大変有り難い感覚で楽しめるのだ。
残りDisc6~7はライヴ音源、Blu-rayにはライヴ映像とアルバムのビデオ・コレクション。まあなにしろ盛り沢山だ。お陰でいい年が越せそうである。
＜収録内容＞
・12インチ・ボックス仕様
・120ページに及ぶハードカバー・ブックレット
・両面ポスター
【収録音源・映像】
Disc 1：初めてリマスターされたオリジナル・アルバム
Disc 2：新たにリマスターされたシングル曲の別ミックス、エディット・ヴァージョンを15曲収録
Disc 3～5：プリンスの伝説的ヴォルト（保管庫）からの秘蔵音源（Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ）（未発表音源）
Disc 6～7：ライヴ・アット・グラム・スラム（1992年1月11日収録）（未発表音源）
・ライヴ・アット・グラム・スラム（1992年1月11日収録）（未発表映像）
・スペシャル・オリンピックスでのサウンドチェック（1991年7月19日収録）（未発表映像）
・スペシャル・オリンピックスでのパフォーマンス（1991年7月20日収録）（初商品化）
・『ダイアモンズ・アンド・パールズ・ビデオ・コレクション』（1992年作品のリストア版）
