
一昨年の暮れにジャズにはまってしまい、様々なアーチストによる結構な数のアルバムを聴いていたが、一番熱狂的に聴いたのはやはりマイルス・デイヴィスだった。ある意味、ジャズを聴いていたというよりもマイルスを徹底的に聴いていたというのが正しいかもしれない。
そんなわけでマイルス・アルバムをゴリゴリと収集していたのだが、いわゆるオフィシャル・アルバムの中でも、最もボリュームが多く、相当数のシリーズ作としてリリース(現在Vol.8まで出ている)されているのが『The Bootleg Series』だった。基本的にライブやセッション音源を収録したシリーズなのだが、どのアルバムもCD3~6枚というボリュームで、アルバムによってはライブ映像DVDも同梱されていた。
とはいえこの『The Bootleg Series』、マイルスの他のアルバムと比べるとどうも情報が少なく、扱っているブログもあまりなく、おまけに現在入手困難なシリーズ作まであって、内容こそ素晴らしいのだが正確な概要を把握しにくいシリーズではあった。
というわけで今回は、『The Bootleg Series』の全容をあくまで個人的に知るために、それぞれのアルバムの概要をLLMの力を借りてまとめてみることにした。使用したLLMはGemini。LLMでブログ記事を一本書いてしまうのは少々アレではあるが、なにしろ個人的なメモとして残しておきたい部分と、オレと同じようにこのシリーズの概要が知りたい方の参考になればと思い、ここに書き記しておくことにする。
Live in Europe 1967: The Bootleg Series Vol. 1

『Live in Europe 1967: The Bootleg Series Vol. 1』は、マイルス・デイヴィス・クインテットが1967年に行ったヨーロッパ・ツアーから、未発表のライブ音源をまとめたアルバムです。この作品は、公式ブートレグ・シリーズの第1弾として、2011年にリリースされました。
以下に、この作品の主な特徴をまとめます。
1. 収録内容
3会場のライブ音源: ベルギー、デンマーク、フランスの3つの国営放送局が所有していた音源を収録。具体的には、アントワープ(ベルギー)、コペンハーゲン(デンマーク)、パリ(フランス)での公演です。
CD3枚+DVD1枚: 一般的なフォーマットとして、CD3枚組とライブ映像を収録したDVD1枚の豪華ボックスセットでリリースされました。
未発表音源: これまでブート盤にも未収録だった貴重な音源が多く含まれており、マイルスのファンにとっては歴史的な作品となっています。
演奏曲: 「Agitation」「Footprints」「'Round Midnight」「No Blues」「Masqualero」といったレパートリーが繰り返し演奏されており、同じ曲でも公演ごとに異なる演奏の聴き比べができるのが魅力です。また、「On Green Dolphin Street」は、このツアーでアコースティック・マイルスとして最後に演奏された曲の一つとしても知られています。
2. 演奏メンバー
この時期のマイルス・クインテットは、以下のメンバーで構成されていました。
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ウェイン・ショーター (テナーサックス)
ハービー・ハンコック (ピアノ)
ロン・カーター (ベース)
トニー・ウィリアムス (ドラムス)
この「第二期黄金クインテット」は、ジャズ史の中でも特に重要なグループとして知られており、彼らがこの時期に残した演奏は、アコースティック・ジャズの極北とも言えるものです。
3. 作品の評価
歴史的価値: 1967年という時期は、マイルスがエレクトリック・ジャズへと移行していく直前であり、このアルバムはアコースティック・マイルスとしての最終形を記録した貴重な資料として評価されています。
演奏の質: 各メンバーの演奏は非常に高いレベルにあり、特にトニー・ウィリアムスのドラムは圧倒的なスピード感とパワーで多くのリスナーを驚かせています。
音質: 録音された会場によって音質にはばらつきがあるものの、全体的には当時のライブの臨場感をよく伝えています。特に、ベルギーやデンマークでの音源は、楽器の一つ一つの音が鮮明に聴こえると評価されています。
このアルバムは、その歴史的な重要性と、メンバー全員の驚くべき演奏の質から、2012年のダウンビート誌批評家投票でベスト・ヒストリカル・アルバムを受賞するなど、高い評価を受けています。マイルス・デイヴィスのファンはもちろん、モダン・ジャズのファンにとっても必聴の作品と言えるでしょう。
Live in Europe 1969: The Bootleg Series Vol. 2

『Live in Europe 1969: The Bootleg Series Vol. 2』は、マイルス・デイヴィスが1969年に行ったヨーロッパ・ツアーのライブ音源を収録した作品で、公式ブートレグ・シリーズの第2弾として2013年にリリースされました。このアルバムは、マイルスのキャリアにおける重要な過渡期を捉えた貴重な記録として、特に高い評価を受けています。
1. 演奏メンバー:「ロスト・クインテット」
この時期のバンドは、ジャズファンの間では「ロスト・クインテット」として知られています。
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ウェイン・ショーター (テナー/ソプラノ・サックス)
デイヴ・ホランド (ベース)
ジャック・ディジョネット (ドラムス)
このグループは、伝説的な「第二期黄金クインテット」からドラムスのトニー・ウィリアムスが脱退し、代わってジャック・ディジョネットが加入した直後の編成です。ハービー・ハンコックの代わりにチック・コリアが、ロン・カーターの代わりにデイヴ・ホランドが加わった、エレクトリック・サウンドへの移行期にあたる非常に重要なメンバー構成でした。しかし、このメンバーでのスタジオ録音はほとんどなく、そのため「ロスト(失われた)・クインテット」と呼ばれています。
2. 収録内容
3会場のライブ音源: フランス(アンティーブ)、ベルギー(モンス)、スウェーデン(ストックホルム)での公演が収録されています。
CD3枚+DVD1枚: シリーズ第1弾と同様、CD3枚とライブ映像を収録したDVD1枚のボックスセットでリリースされました。
過激でアグレッシブな演奏: 演奏は、前作の『Live in Europe 1967』とは大きく異なり、エレクトリック・ピアノやドラムが前面に出て、非常に過激でアグレッシブなサウンドを展開しています。
エレクトリックへの移行期: このツアーは、マイルスの大傑作『Bitches Brew』が録音された直後のもので、その作品で示されたアグレッシブなエレクトリック・サウンドが、ライブでどのように表現されていたかを知る上で非常に重要な資料です。
3. 作品の評価
ジャズ史的価値: 「ロスト・クインテット」のライブ音源は、公式にはほとんど残されていないため、この作品はジャズ史における空白を埋める上で極めて重要な価値を持っています。
メンバーの演奏: チック・コリアのエレクトリック・ピアノによる攻撃的な演奏、ジャック・ディジョネットの圧倒的なドラミング、そしてマイルスのエレクトリック・サウンドに順応していくトランペットの姿は、聴きどころ満載です。
「第二期黄金クインテット」との比較: 前作『Vol. 1』との聴き比べをすることで、わずか2年の間にマイルスのサウンドが劇的に変化した様子を肌で感じることができます。アコースティック・ジャズの極北から、混沌としたエレクトリック・サウンドへの移行期を記録した作品として、両作はマイルス・ファンにとって欠かせないものとなっています。
このアルバムは、マイルスが新たな音楽の方向性を模索し、アコースティック・ジャズからエレクトリック・ジャズへとシフトしていく、その真っ只中を捉えた貴重なドキュメントと言えるでしょう。
Miles at the Fillmore – Miles Davis 1970: The Bootleg Series Vol. 3

『Miles at the Fillmore – Miles Davis 1970: The Bootleg Series Vol. 3』は、マイルス・デイヴィスが1970年にニューヨークのフィルモア・イーストで行った伝説的なライブを収録した、公式ブートレグ・シリーズの第3弾です。この作品は、マイルスの「電化マイルス」時代を象徴する重要なライブ音源として、多くのファンに知られています。
1. 収録内容
フィルモア・イーストでの4夜連続公演を完全収録: 1970年6月17日から20日にかけて、フィルモア・イーストで行われた4日間の公演を、これまでは一部しか聴けなかったものが、初めてフルで収録されました。各日の演奏がCD1枚ずつに収められており、その日の流れを追体験できる構成になっています。
ボーナストラック: ニューヨークのフィルモア・イーストでの音源に加え、ボーナストラックとして、同年4月にサンフランシスコのフィルモア・ウェストで行われたライブ音源も収録されています。この4月のライブは、マイルスがグレイトフル・デッドのオープニングを務めたことでも知られています。
楽曲: 演奏は、当時リリースされたばかりの大作『Bitches Brew』を中心とした構成で、「Directions」「The Mask」「It's About That Time」「Bitches Brew」といった曲が、日を追うごとに変化していく様子が楽しめます。
2. 演奏メンバー
このライブでのメンバーは、以下のような豪華な顔ぶれでした。
マイルス・デイヴィス (トランペット)
キース・ジャレット (オルガン)
デイヴ・ホランド (エレクトリック・ベース)
ジャック・ディジョネット (ドラムス)
アイアート・モレイラ (パーカッション)
この時期のバンドの特徴は、ダブル・キーボード体制です。チック・コリアがエレクトリック・ピアノを、キース・ジャレットがオルガンを担当し、強烈なエレクトリック・サウンドを生み出しています。また、アイアート・モレイラのパーカッションが加わることで、さらにポリリズミックで混沌としたグルーヴが形成されています。
3. 作品の評価
「電化マイルス」の金字塔: 『Bitches Brew』後のマイルスの音楽は、ジャズの枠を超えて、ファンクやロックの要素を大胆に取り込んでいました。このライブは、その過激でパワフルな演奏を記録した「電化マイルス」時代の金字塔として評価されています。
圧倒的な演奏: メンバー全員が非常に高いテンションで演奏しており、特にチック・コリアのエレクトリック・ピアノや、キース・ジャレットのオルガンが織りなす激しいサウンド、そしてジャック・ディジョネットの破壊的なドラムは、聴く者を圧倒します。
ロックファンへのアピール: ロックの殿堂であるフィルモアで、ロックファンを前にしたマイルスの演奏は、ジャズというジャンルを飛び越え、新しい音楽の可能性を提示した歴史的な出来事でした。このアルバムは、その熱狂と興奮をそのままに伝える貴重なドキュメントと言えます。
このアルバムは、マイルスの「電化マイルス」時代に興味を持つ人、そして当時のライブの熱狂を追体験したい人にとって、必聴の作品です。
Miles Davis at Newport 1955–1975: The Bootleg Series Vol. 4

『Miles Davis at Newport 1955–1975: The Bootleg Series Vol. 4』は、マイルス・デイヴィスがニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演した20年間のライブ音源をまとめた、公式ブートレグ・シリーズの第4弾です。2015年にリリースされたこの作品は、彼の音楽的変遷を時系列で追体験できる、まさにジャズ史の教科書のような内容となっています。
1. 収録内容:20年間の音楽的進化
この作品は、1955年から1975年にかけてのニューポート・ジャズ・フェスティバルおよび関連イベントでのライブ音源を、CD4枚組で収録しています。
1955年:マイルスがコロンビア・レコードと契約するきっかけとなった伝説的な初登場。セロニアス・モンクやジェリー・マリガンらとのオールスター・ジャム・セッションが収録されています。特に「'Round Midnight」の演奏は、彼のキャリアにおける重要な転機となりました。
1958年:『Kind of Blue』のメンバー(ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エヴァンスら)が結成された直後の貴重なライブ。このグループの完成度の高さを感じることができます。
1966年&1967年:第二期黄金クインテット(ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムス)による、アコースティック・ジャズの極致ともいえる演奏。特に1966年のライブは、この時期のバンドの圧倒的なエネルギーを伝えています。
1969年:『Bitches Brew』が録音された直後の「ロスト・クインテット」によるライブ。エレクトリック・サウンドへの移行期を象徴する、過激でアグレッシブな演奏です。
1971年、1973年、1975年:よりファンクやロック色が強くなった「電化マイルス」時代の演奏。キース・ジャレット、デイヴ・リーヴマン、ピート・コージー、レジー・ルーカスらが参加し、混沌としながらも圧倒的なグルーヴを生み出しています。
2. 注目すべきポイント
豪華なメンバー: ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、チック・コリア、キース・ジャレット、ジャック・ディジョネットなど、マイルスのキャリアを彩った錚々たるミュージシャンたちの共演を一度に楽しむことができます。
音楽性の変遷: クール・ジャズ、ハード・バップ、モード・ジャズ、そしてエレクトリック・ジャズと、マイルスが20年間にわたってジャズの歴史を塗り替えてきた軌跡を、ライブ音源を通じてたどれるのが最大の魅力です。
未発表音源: 収録時間の約4時間分が、これまで未発表だった貴重な音源です。それぞれの年代の演奏が、より詳細な形で明らかになりました。
歴史的ドキュメント: この作品は、単なるライブアルバムではなく、マイルスがジャズの最前線でどのように音楽を変化させていったかを示す、極めて重要な歴史的ドキュメントとして評価されています。
『Miles Davis at Newport 1955–1975』は、マイルス・デイヴィスの音楽的キャリアの縮図であり、彼のファンはもちろん、ジャズの歴史を深く知りたいと考えるすべての人にとって、必携の作品と言えるでしょう。
Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5

『Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5』は、マイルス・デイヴィスが1966年から1968年にかけてスタジオ録音した未発表音源をまとめた、公式ブートレグ・シリーズの第5弾です。2016年にリリースされました。これまでのライブ音源中心のシリーズとは異なり、スタジオでのレコーディング風景を克明に記録した点が大きな特徴です。
1. 収録内容:スタジオ・セッションの全貌
『マイルス・スマイルズ』から『マイルス・イン・ザ・スカイ』までの制作過程: この作品は、1966年の『マイルス・スマイルズ』から、1967年の『ソーサラー』『ネフェルティティ』、そして1968年の『ウォーター・ベイビーズ』『マイルス・イン・ザ・スカイ』に至るまでの、スタジオ・セッションの様子を収録しています。
セッション・リール音源: 各曲のマスター・テイク(最終的にアルバムに収録されたテイク)に至るまでの、試行錯誤の過程が記録された「セッション・リール」を多数収録。これにより、ミュージシャンたちがどのようにアイデアを出し合い、曲を完成させていったのかを詳細に知ることができます。
未発表テイクや別テイク: 「Masqualero」のオルタネイト・テイク(別テイク)や、リズム・セクションのリハーサル音源など、これまで世に出ていなかった貴重な音源が多数含まれています。
2. 演奏メンバー:「第二期黄金クインテット」
この作品に収録されている演奏は、マイルスのキャリアの中でも特に評価の高い「第二期黄金クインテット」によるものです。
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ウェイン・ショーター (テナー・サックス)
ハービー・ハンコック (ピアノ)
ロン・カーター (ベース)
トニー・ウィリアムス (ドラムス)
この5人のメンバーが、どのようにして曲を構築し、インプロヴィゼーションを繰り広げていたのかを、スタジオの生々しい雰囲気とともに体験できます。
3. 作品の評価
ジャズの作曲・編曲プロセスを解明: この作品は、ジャズという音楽がいかに即興性と構造性を両立させていたか、また、マイルスのバンドがいかに斬新なアイデアを生み出していたかを解き明かす、非常に学術的価値の高いドキュメントとして評価されています。
「第二期黄金クインテット」の真髄: これまでのライブ音源シリーズでは聴けなかった、スタジオという密閉された空間で、彼らがどれほど創造性を爆発させていたかを知ることができます。
マイルスの音楽的転換期: 『マイルス・イン・ザ・スカイ』では、エレクトリック・ピアノやベースが導入され始め、マイルスがエレクトリック・ジャズへと向かう転換期の様子も記録されており、その変化の過程を追うことができます。
『Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5』は、マイルス・デイヴィスのファンだけでなく、ジャズの創作プロセスや理論に興味を持つすべての人にとって、極めて貴重な資料と言えるでしょう。
The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6

『The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6』は、マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンが共演した最後のツアーを記録した、公式ブートレグ・シリーズの第6弾です。2018年にリリースされました。この作品は、ジャズ史上最も重要なユニットの一つである「第一期黄金クインテット」の終焉を捉えた、歴史的にも非常に価値の高いライブ音源となっています。
1. 収録内容:1960年ヨーロッパ・ツアーの全貌
1960年3月のライブ音源: 『Kind of Blue』のリリース後、マイルスがジョン・コルトレーンを擁して行った最後のヨーロッパ・ツアーのライブ音源を収録しています。
5つのコンサートからなるライブ音源: パリ、コペンハーゲン、ストックホルムの3都市で行われた、合計5つのコンサートからなる音源を、新たにマスタリングして収録。ラジオ局のアナログ・マスターから高音質でデジタル化されており、長年ブート盤でしか聴けなかった貴重な演奏を、最高の音質で楽しむことができます。
コルトレーンのインタビュー: 最終CDには、ツアー中に収録されたジョン・コルトレーンのインタビューもボーナストラックとして収められています。
2. 演奏メンバー:「第一期黄金クインテット」
この時期のバンドは、伝説的な『Kind of Blue』のメンバーで構成されていました。
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ジョン・コルトレーン (テナー・サックス)
ウィントン・ケリー (ピアノ)
ポール・チェンバース (ベース)
ジミー・コブ (ドラムス)
このメンバーでの演奏は、コルトレーンが自身のグループ結成のためにマイルスのもとを離れる直前のもので、両者の音楽的な緊張感と、お互いのパフォーマンスが最高潮に達している様子が、生々しく記録されています。
3. 作品の評価
ジャズの歴史的瞬間: マイルスとコルトレーンの共演は、ジャズの歴史における頂点の一つとされています。このアルバムは、その伝説的な共演の終焉を記録した、極めて重要なドキュメントです。
コルトレーンの熱演: このツアーでのコルトレーンは、自身の音楽を追求し、非常に激しい演奏を繰り広げています。マイルスのクールな演奏と対照的なコルトレーンの熱いプレイは、聴きどころの一つです。
『Kind of Blue』後の演奏: 世界的な大成功を収めた『Kind of Blue』の直後のライブであり、「So What」「All Blues」といった名曲が、ライブでどのように進化していたかを知ることができます。
『The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6』は、マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンという、二人の巨匠による最後の輝きを捉えた作品であり、ジャズの歴史における最高の瞬間を追体験できる、ファン垂涎のアイテムです。
That's What Happened 1982–1985: The Bootleg Series, Vol. 7

『That's What Happened 1982–1985: The Bootleg Series, Vol. 7』は、マイルス・デイヴィスが1980年代前半に行ったレコーディングから、未発表のスタジオ音源とライブ音源をまとめた、公式ブートレグ・シリーズの第7弾です。2022年にリリースされたこの作品は、マイルスが6年間の活動休止から復帰した後の、いわゆる「80年代マイルス」に焦点を当てています。
1. 収録内容:80年代の音楽的探求
スタジオ・アウトテイク(CD 1 & 2):
1枚目と2枚目のCDには、1983年のアルバム『Star People』、1984年の『Decoy』、そして1985年の『You're Under Arrest』の制作過程で録音された、未発表のスタジオ・アウトテイクが収録されています。
これらの音源は、マイルスがポップスやファンク、R&Bといった当時の音楽トレンドをどのように取り入れ、自身のサウンドへと昇華させていったかを知る上で非常に貴重な資料です。
特に『Star People』のセッションでは、ブルージーでクールなファンク・グルーヴを聴くことができ、また、J.J.ジョンソンとの共演も含まれています。
『You're Under Arrest』のセッションからは、シンディ・ローパーの「Time After Time」やマイケル・ジャクソンの「Human Nature」といったカバー曲の別テイクも収録されており、彼がどのようにこれらのヒット曲をジャズの文脈で再解釈していたかがわかります。
ライブ音源(CD 3):
3枚目のCDには、1983年7月7日にモントリオール国際ジャズ・フェスティバルで行われたライブの完全版が収録されています。
このライブは、当時のマイルス・バンドが持つ強力なグルーヴと、ジョン・スコフィールドのファンキーなギター、ビル・エヴァンス(サックス奏者の方)のサックスなどが織りなす、熱気あふれる演奏を捉えています。
2. 演奏メンバー
この作品には、マイルスが活動を再開した後の、時代を象徴する才能あるミュージシャンたちが参加しています。
マイルス・デイヴィス (トランペット、シンセサイザー)
ジョン・スコフィールド (エレクトリック・ギター)
マイク・スターン (エレクトリック・ギター)
マーカス・ミラー (エレクトリック・ベース)
ダリル・ジョーンズ (エレクトリック・ベース)
ビル・エヴァンス (ソプラノ/テナー・サックス、フルート)
アル・フォスター (ドラムス)
ヴィンス・ウィルバーン・ジュニア (ドラムス)
ミノ・シネル (パーカッション)
3. 作品の評価
再評価のきっかけ: 80年代のマイルスの作品は、ジャズの純粋主義者からは批判を受けることもありましたが、このアルバムは、その時期の音楽がいかに創造的で挑戦的であったかを再評価するきっかけとなりました。
新たな発見: 未発表のスタジオ音源からは、マイルスが曲作りやアレンジにおいて、緻密な計算と即興性をどのように融合させていたかが垣間見えます。
ライブの迫力: モントリオールのライブは、当時のバンドの圧倒的な演奏力を示しており、80年代のマイルス・バンドがいかに素晴らしいライブ・バンドであったかを証明しています。
『That's What Happened 1982–1985: The Bootleg Series, Vol. 7』は、マイルスのキャリアの中でも見過ごされがちだった時代に光を当て、彼の絶え間ない音楽的探求の軌跡を明らかにした、ファン必聴の作品と言えるでしょう。
Miles In France 1963 & 1964 - Miles Davis Quintet: The Bootleg Series, Vol. 8

『Miles In France 1963 & 1964: The Bootleg Series, Vol. 8』は、マイルス・デイヴィスが1963年と1964年にフランスで行ったライブ音源を収録した、公式ブートレグ・シリーズの第8弾です。2024年にリリースされたこの作品は、ジャズ史上最も重要なグループの一つである「第二期黄金クインテット」の形成期を捉えた、非常に貴重な記録となっています。
1. 収録内容:第二期黄金クインテットの誕生
この作品は、合計5公演からなる6枚組CDボックス(LP8枚組も発売)で、4時間を超える未発表音源を含んでいます。
1963年7月:南フランスのアンティーブ国際ジャズ・フェスティヴァルでの3日間の公演を収録。この時期のバンドは、ハービー・ハンコック(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラムス)という新しいリズム・セクションに、テナー・サックスのジョージ・コールマンが参加していました。このバンドは、のちに完成する「第二期黄金クインテット」のプロトタイプとも言える編成です。
1964年10月:パリでの2公演を収録。この時期には、テナー・サックスがジョージ・コールマンからウェイン・ショーターに交代しており、ついに「第二期黄金クインテット」のメンバーが完成した直後の演奏を聴くことができます。この音源は、ショーターが加わることでバンドのサウンドがどのように変化したかを克明に記録しており、その音楽的変化を聴き比べることができます。
2. 演奏メンバー
この作品には、バンドの過渡期における2つの重要な編成が含まれています。
1963年:
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ジョージ・コールマン (テナー・サックス)
ハービー・ハンコック (ピアノ)
ロン・カーター (ベース)
トニー・ウィリアムス (ドラムス)
1964年:
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ウェイン・ショーター (テナー・サックス)
ハービー・ハンコック (ピアノ)
ロン・カーター (ベース)
トニー・ウィリアムス (ドラムス)
3. 作品の評価
「第二期黄金クインテット」の貴重な記録: この作品の最大の魅力は、ジョージ・コールマン期からウェイン・ショーター期へと移行する、マイルス・クインテットの歴史的な瞬間を捉えている点です。ショーター加入後のバンドの完成度の高さと、それ以前の時期との違いを比較できるのは、マイルスのファンにとって非常に貴重な体験となります。
フランスとの特別な関係: マイルスは生涯にわたりフランスと深い関係を持っており、このアルバムは、彼がフランスで演奏することを楽しんでいた様子や、フランスの聴衆が彼を熱狂的に受け入れた歴史を物語っています。
高音質な未発表音源: 多くの音源が、長年ブート盤として流通していたものですが、公式リリースにあたり高音質でマスタリングされており、当時の熱気とメンバーの緻密な演奏を、より鮮明に楽しむことができます。
『Miles In France 1963 & 1964』は、マイルス・デイヴィスの音楽的進化の過程をたどる上で、欠かすことのできない重要なドキュメントです。特に「第二期黄金クインテット」の誕生と完成に焦点を当てた内容は、ジャズの歴史を深く知りたいファンにとって必聴の作品と言えるでしょう。
という訳で全部揃えました。
