『女神は二度微笑む』のシリーズ作『ドゥルガー~女神の闘い~』を観た

ドゥルガー~女神の闘い~(原題:Kahaani 2)(監督:スジョーイ・ゴーシュ 2016年インド映画)

f:id:globalhead:20181230083222j:plain

 インド映画スリラー『女神は二度微笑む』の続編とかシリーズ作とかいうことになっている『ドゥルガー~女神の闘い~』を観てきました。この映画、去年夏の「インディアン・シネマ・ウィーク2018(ICW2018)」の1作品として公開されていたんですが、見逃してしまい暮れの「ICW2018リターンズ」でやっと観る事が出来ました。

それにしても1作目の『女神は二度微笑む』を最初観た時はホントぶったまげましたね。「インド映画にここまで周到にトリックが用意されたサスペンスがあったのか!」と思っちゃったんですよ。意外とそれまでのインド映画ってガチなサスペンスに弱い部分があったものですから。この映画からじゃないかなあ、インド映画で結構キッチリしたサスペンスが作られ出したのは。

さてこの『ドゥルガー~女神の闘い~』、原題『Kahaani 2』となっているように、『女神は二度微笑む(原題:Kahaani)』の続編ぽいタイトルなんですね。監督も主演も一緒で、同じようなサスペンス・スリラー・ジャンルなんですが、実際は続編ではなく同様モチーフの”シリーズ作”というのが順当のようです(でも『女神は二度微笑む』主人公のその後とか観たかったなあ)。

《物語》西ベンガルに住むヴィドヤーと少女ミニー。ある日ミニーが誘拐され、救出に向かったヴィドヤーが交通事故に遭った。事故を担当した警部補のインデルは、彼女が前妻のドゥルガーで、指名手配犯であることを知る。なぜミニーは誘拐され、ドゥルガーは指名手配されたのか。そして二人の過去は・・・。

ドゥルガー~女神の闘い~(原題:KAHAANI 2) – ICW Japan 2018より

物語は交通事故に遭い昏睡状態のヴィドヤー(ヴィディヤー・バーラン)と事件の真相を追う警官インデルジート(アルジュン・ラームパール)の行動を追う現在に、インデルジートが見つけたヴィドヤーの日記から明かされる彼女の数奇な過去がフラッシュバックされながら進行してゆきます。ここで明らかにされるのはヴィドヤーの二重三重に秘密にされた過去だったんですね。

さてこの作品を観るにあたって期待するのは1作目『女神は二度微笑む』のような「周到に用意されたトリック」が同様に用意されるのか?ということですね。ちょいネタバレしますが『女神は二度微笑む』がいわゆる「信用できない語り手」という推理ドラマ手法を使っていたように、この作品でもその手法が使われているのか?というのずっと気にしながら観てしまいましたね。

そんななので、物語で表面的に提示される様々な”事実”が、本当に”事実”なのか?どこかに”嘘”や”捏造”や”一端しか明かされていないが故に事実とは言い難い事実”が混入してるのではないか?とずっと疑いながら観ていたんですよ。この辺りの「推理勝負」は観ていて楽しかったですね。原題の「Kahaani」とは単純には「物語」という意味ですが、これは「映画という物語」ということではなくて、このシリーズにおいては「事実の中に意図的に混入させられた虚実(=騙り、フィクション)」という意味合いだと思うんですよ。『ドゥルガー~女神の闘い~』は『女神は二度微笑む』と物語的連続性はありませんが、この「事実の中に意図的に混入させられた虚実」という部分において連続性を感じさせられましたね。

とは言え、観ているオレが裏読みし過ぎたのか、意外とその「虚実」の在り方は描かれたまんま、というか特にひねりがあったりするものではなく、オレは最後の最後まで「いやこれは本当のラストじゃない!絶対とんでもない大どんでん返しがやってくる!」とワクワクしながら観ていたにもかかわらず、想定内のどんでん返しで一件落着してしまったもんですから少々食い足りなかったかなあ。そこホント、もう一ひねりして、観客を呆然自失させるクライマックスを用意してよ!と思ってしまいましたよ。とはいえそれも『女神は二度微笑む』があまりにもよく出来ていたスリラーだったというせいもあり、この作品単体で言うなら及第点のスリラーだったのではないでしょうか。 

女神は二度微笑む [DVD]

女神は二度微笑む [DVD]