- 作者: 花輪和一
- 出版社/メーカー: 青林工芸舎
- 発売日: 2007/10
- メディア: コミック
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なにしろもうタイトルからしてドロドロである。『肉屋敷』『怨乳』『怨獣』『赤ヒ夜』『猟人』『豚女』『塗込め蔵』。さらに『復讐とかげ女』だの『醜悪ゴキブリ男』だのになってしまうと、これはもうギャグとしかいいようがない。確かに物語も、陰惨というよりは単なる悪趣味であったり、マンガ作品の構造として狂っているものが殆どである。つまり壊れているのだ。だから臓物や糞尿を描きながらも、出来上がった作品はどこか馬鹿馬鹿しくてつい笑ってしまう。あまりにも狂っていると笑ってしまうものなのだろう。例えば『豚女』などはSM調教とスカトロプレイの話だが、「ブタブタブタぶたおまえはブタだブタ」などと連呼しながら折檻する様などは爆笑ものである。これだけイビツな作品ばかりなのにも拘わらず妙に読ませるのは、この独特のズッコケた感触があるからなのだろう。
70年代という最初期の頃に描かれたものなどは、作画や作話の稚拙振りに面食らうが、それでも十分狂った物語を描いていたりする。そういった意味では花輪和一マニアの為の作品集であり、他の作品を読んだ事のない方には小汚い絵の並んだ気色悪い本でしかないので絶対にお薦めしない。ただしファンであれば、内容的には以前出版されていた単行本『赤ヒ夜』とだぶる作品も数作あるが、未発表作品も数多く読めるこの本は是非コレクションに入れるべきだろう。この人の作品は相当歪んでいるが、それを昇華して行こうとする奇妙な前向きさがあり、そこがまた凡百の鬼畜作家と違う所なのかもしれない。
※決してギャグマンガではありません。