ベルセルク(43) / 三浦健太郎(原作)、スタジオ我画(漫画)、森恒二(監修)
遂に再会したグリフィスに一太刀も浴びせることができず、キャスカをも連れ去られてしまったガッツがエヴァのシンジ君みたいに腑抜けになってしまう。さらにガッツ一行はクシャーン帝国に拿捕・抑留され、またもや恐ろしい事件に巻き込まれる、という新章「東方流離の章」が始まる第43巻。今後はクシャーン帝国と手を組んでミッドランド王国討伐に乗り出すのだろうと思われるが、なにしろガッツのメンタルがコミック開始以来最低になっており、しばらく波乱が続くのだろう。それはそれとして、三浦健太郎氏亡き後スタジオ我画と森恒二氏が引き継いでから2巻目となるこの巻だが、グラフィックのクオリティはもはや三浦氏と区別がつかないほど洗練されている。ただしコマ割りやアングルはもっと鍛錬するべきだろう。キャラクターの感情表現がぎこちない部分もあるが、他人のキャラを動かすことの難しさを考えるなら、しばらく見守ってもいいかな。どちらにしろ三浦氏亡き後の『ベルセルク』は「ご褒美」だと思って読んでいるので、新体制のスタッフの皆さんにはこれからも頑張ってほしい。しかし次巻44巻は2027年ごろだとか……ぐぬぬ。
諸星大二郎劇場 第6集 アリスとシェエラザード~騙し絵の館~/ 諸星大二郎
「諸星大二郎劇場」第6集は、18世紀英国を舞台にアリスとシェエラザードの女傑コンビがロンドンを脅かす怪異と対決する!というオカルトコメディ第3弾。諸星氏が英国舞台の怪奇コミックを描き始めたことには最初驚かされたが、こうして3巻分付き合ってみると、幽霊屋敷が存在し交霊術が盛んなヴィクトリア朝の薄暗さと諸星氏の筆致が非常にマッチしていて実に楽しめるシリーズとなっている。この時代の英国自体がオカルトネタの宝庫なのでアイディアが尽きないのだろう。この調子で面白い作品を描き続けてほしい。
スーパーボールガールズ(6) /金城宗幸 (著), 平本アキラ (著)
美女の姿を持ちながら超常的な能力を持つ生命体=スーパーボールガールズと主人公とのムフフなハーレム状態を描きつつ、その超常能力が遂に世界を脅かし凄まじい戦闘へと発展してゆくというSFコミック第6巻。前巻まで恐るべきハードでシリアスなバトル展開を迎えていたが、この6巻ではどうやら軌道修正したいのらしく、キャラたちのちょっとした休憩をはさんで平本マンガらしいエロエロギャグへと戻ってきていた。この作品は原作の金城氏の密なシリアスさと平本氏の美麗でエロティックな画風がせめぎ合いながら進行してゆく部分があるので、そのバランス調整を考慮してのことなのだろう。ここ最近の平本マンガでは良作なのでこのまま進んでほしい。
銃声 (OTOMO THE COMPLETE WORKS 1) / 大友克洋
大友克洋全集の第1巻は、17~19歳頃の大友氏が、学生投稿者時代からプロデビュー後までの1971年~1974年にかけて制作した11篇の短編漫画を収録した初期作品集で、ほとんどがこれまで作品集未収録作品なんじゃないだろうか。そういった貴重さも併せ、その後の大友漫画とはまた別の味わいのある瑞々しさが随所に炸裂した作品ばかりで、これは大いに堪能した。特にこの頃の作品に坂口尚の影響を如実に感じられた部分が収穫だった。そしてタッチこそ違うにせよ、当時から半端なく絵がうまい。初期作品集ということで万人には勧めにくいが、コアな大友ファンならぜひ手に取ってみるべきだろう。
G..... (OTOMO THE COMPLETE WORKS 6) / 大友克洋
大友克洋全集の第6巻。大友氏が25-26歳の頃、1979-1980年にかけて制作した2つの中編シリーズ連載を中心に、7篇の短編漫画と見開き連作ショート漫画を収録した作品集となる。目玉となるのはこれまで短篇集未収録で未完の作品「G.....」だろう。これはアフリカ小国の内戦に関与する元ドイツ軍の傭兵たちの戦いを描いた4話連作の作品だが、その後の『気分はもう戦争』を思わせる乾いた戦場の光景が印象深い作品だ。その他の作品は既発短篇集で読んだことのある作品ばかりだったが、貧乏バンドを描く作品などは昔読んだときとはまるで違う面白さを感じて驚かされた。そしてメビウス影響下にあったであろう連作ショート漫画の完成度の高さときたら!




