『ザ・スタジオ』『マンジャーレ!ノンナのレストランへようこそ』『ラ・ドルチェ・ヴィッラ』など最近ダラ観した配信あれこれ

『ザ・スタジオ』

ザ・スタジオ シーズン1(Apple TV+)(監督:エヴァン・ゴールドバーグ/セス・ローゲン 2025年アメリカ製作)

セス・ローゲンが新任の映画スタジオ代表役となり、次々と襲い掛かる難問題に大わらわしてしまうというコメディ・ドラマ『ザ・スタジオ』の第1シーズン全10話。セス・ローゲンは主演のみならず監督・製作総指揮も務めていて相当力が入ってます。

それにしても笑った笑った!ここまで大いに笑わせてくれるドラマは昨今そんなにないんじゃないでしょうか。

内容は映画業界裏話。セス・ローゲン扮するマットは大いなる映画愛を持ちつつも、映画スタジオ代表という立場から「芸術性なんかよりもとりあえず利益の出る話題作」を製作することを余儀なくされ、毎回毎回本音と建て前の狭間でとことん引き裂かれてゆき、その七転八倒する様がとにかく可笑しい。超大物がゴロゴロいる映画業界の中で、頭を下げおべっかを使い、時に懐柔し時に苦渋の選択を迫られ、胃に穴が開きそうな状況の中パニックすれすれの危ない橋を渡りつつ、責任者にあるまじき誤魔化しや責任転嫁を連発するセコさがまた情けなくて笑ってしまう!

さらに様々な映画人が実名登場し、”クサイ演技”を見せつけてくれるのがまた楽しい!マーティン・スコセッシが泣き喚きロン・ハワードが怒り狂いアンソニー・マッケイが眉間に皺寄せアイス・キューブが三下り半を突き付ける!ほかにもポール・ダノやらシャーリーズ・セロンやらスティーヴ・ブシェミやら書ききれないほどの”本人”が大挙して出演するので映画好きは是非観るべきでしょう!

とことん笑わせてくれる素晴らしいコメディですが、同時に映画業界や映画製作現場の抱える問題点もきちんと内容に盛り込まれている点も見どころです。最初に挙げた「芸術性か収益か」という問題もそうですが、最近何かと話題になる「多様性」の問題、ドラッグ問題、買収問題など、実際にも製作現場で喧々諤々の論争を巻き起こしているのであろう問題が取り扱われます。こういった点で単なるドタバタに終わらないリアルさがあるんですよ。これは長年映画に携わっているセス・ローゲンならではの嗅覚で描かれたシナリオなのでしょう。さらに「長回しの撮影現場を長回しで描いた」回まであってこれには唸らされたなあ。

なおこのドラマはTaiyaki a.k.a ヒロキさんのブログ『SUPERBAD-ASS』で紹介されていたのに興味を持って視聴しましたが、その記事がまた素晴らしいので是非お読みください。

マンジャーレ!ノンナのレストランへようこそ(Netflix)(監督:スティーブン・チョボウスキー 2025年アメリカ映画)

愛する母親を失った男がその人生を讃えるためイタリアレストランを開くが、そのシェフを料理自慢のおばあちゃんたちに任せることを思いついた、という事実をもとにして制作された作品。なにしろわいわいがやがやとかまびすしいノンナ=イタリア系おばあちゃんたちのパワフルさが頼もしい物語で、こういうのを見ていると年を取るのも悪くないかなと思わせるものがある。レストラン開店の夢とそれに対する大きな障害というストーリーラインはお馴染みの”シンデレラ曲線”に基づくシナリオで、そつなくまとまりすぎているきらいがあるにせよ、人情噺であり美味しい料理の物語という点で楽しく観ることができた。

ラ・ドルチェ・ヴィッラ(Netflix)(監督:マーク・ウォーターズ 2025年アメリカ映画)

アメリカ人実業家の主人公が、イタリアであばら家を購入しそこに住むと言い出した娘を止めるため現地に乗り込むが、次第にイタリアに心惹かれてゆく、というお話。そんな物語なのでイタリアの美しい田舎町の光景が次々と映し出されるいわゆる「ヴァーチャルイタリア体験」的なドラマとなっており、これは確かに魅了された。お話自体は要するに自己実現を目指す人たちのサクセスストーリーなのだが、こういう他愛のなさもたまには悪くないんじゃないかと思えてしまった。「そんなにうまくいくかよ」とか茶々を入れず、素直に素晴らしいイタリアの風景や人々の気さくさに浸っていたいと思わせる物語だった。