
ザ・コンサルタント2 (Amazon Prime Video) (監督:ギャビン・オコナー 2025年アメリカ映画)

一見地味目の会計士は実は命中率100%のスナイパーだったッ!?という「舐めてたヤツは凄腕のXX」ジャンルの変形版、『ザ・コンサルタント』の続編である。主演はベン・アフレック。このシリーズの特徴となるのは主人公クリスがサヴァン症候群であり、その特質を活かした活躍を見せるといった点だろう。さて今作の物語は謎の殺し屋と人身売買組織の陰謀を追い詰めてゆくといったものだ。クールでミステリアスだった前作から一転、主人公クリスは財務省の女性職員と共同捜査したり裏社会で殺しを請け負う弟とバディを組んだりと人間臭く描かれることになる。ユーモラスなシーンや軽口の叩き合いなどが導入され、シリアスさはかなり希薄になったが逆にこの伸び伸びとした緩さは結構悪くない。それでもクライマックスで弟と共闘して大銃撃戦に雪崩れ込むシーンでは留飲が下るだろう(そしてこの兄弟の顔つきがよく似ているのだ)。それと主人公をサポートするハッカー集団の演出はとてもよかった。前作から引き継がれているのは「サヴァン症候群の殺し屋会計士」といった点ぐらいのような気がするが(前作のストーリー結構忘れているので不正確だったらスイマセン)、設定のユニークさと肩肘張らず観られるセンスはこのままTVドラマ化してもいいのではないかと思わせるものがあった。Amazon Prime Videoで配信中。
深い谷の間に(Apple TV+)(監督:スコット・デリクソン 2025年イギリス映画)

東西両陣営のスナイパーが謎の大渓谷の両端で監視活動に就かされるが、その深い谷の底には邪悪に満ちた存在が蠢いていた。主演はアニャ・テイラー=ジョイ&マイルズ・テラー、さらに”悪い人役”でシガニー・ウィーバー。最初はアクションサスペンス作品だとばかり思っていたが蓋を開けてびっくり、なんとバイオハザード系のSFスリラー作品で、おまけに相当にB級テイスト。設定がザルで首を傾げるような展開もあったりするんだが、主演二人のロマンス展開は悪くないし、グチャドロしたモンスターは楽しかったし、全体的に暗く寂しげな雰囲気がまたいい。なによりアニャ・テイラー=ジョイがとことん美しいのでオレは許すぞこの映画。アマプラでも視聴可。
ハボック(Netflix)(監督:ギャレス・エヴァンス 2025年アメリカ・イギリス映画)

トム・ハーディ扮するやさぐれ刑事が裏社会の泥沼化した抗争に巻き込まれのっぴきならない事態に至る、というサスペンスアクション。『ザ・レイド』で壮絶なインドネシアアクションを展開したギャレス・エヴァンス監督作という事で注目を浴びた作品だ。今作でもこれでもかとばかりに過剰なバイオレンスと銃撃シーンが描かれ、延々響き渡る銃声とてんこ盛りの血糊で胸やけを起こしそうなぐらいだった。最近日本公開されたジョン・ウー監督の傑作アクション『サイレントナイト』を思い出させたが、”詩情”という部分で『サイレントナイト』の領域には達していないのはちと残念。とはいえとことんスーパーバイオレンスを楽しむといった点には十分特化している作品だ。

