”ただならぬ神仏像”を紹介した著書『怪仏異神ミステリー』

怪仏異神ミステリー / 本田 不二雄 (著)

怪仏異神ミステリー 異形の相に秘められた「人々の願い」とは―― (王様文庫)

なぜそんなお姿なのか。 なぜそんなお姿でなくてはならなかったのか。 そんな像がなぜそこに祀られているのか。 本書は、「神仏探偵」として、全国にある 「ただならぬ神仏像」を探索し続けてきた 著者が、これまでに出会った 不思議に満ちた「怪仏・異神」を あなたの目で確かめていただく一冊である。

日本のさまざまな地方に残された不思議で異様で不気味な神仏像。『怪仏異神ミステリー』はそんな”ただならぬ神仏像”50体余りを紹介し、その来歴を掘り下げてゆくという著作である。著者は編集者・ノンフィクションライターの本田不二雄氏。神社や仏像など日本の神仏世界の魅力を伝える書籍・雑誌の編集制作・執筆に長年携わり、”神仏探偵”の異名を持つライター氏である。

例えば紹介されている神仏像はこういった感じ。どうですか、なんだかおもしろそうじゃありません?

◇衝撃的!「ブッダ聖誕の瞬間」をリアルに表現

◇なぜお地蔵さんが「グルグル巻き」に?

◇屈葬のミイラを想起させる「ガリガリのやせ仏」

◇ギャップ萌え!「童顔&アフロ頭髪」の阿弥陀仏

◇釈迦の説法会を守護する「九つ目の聖獣」

◇尽きぬ霊験譚!「生きた木」に彫られた地蔵菩薩

”異様で不気味”などと軽々しく書いてしまったが、例えば仏像などは「経典や儀軌と呼ばれるテキスト、あるいは粉本(下絵)などに細かいディテールが指定されており、オリジナルの余地がないもの」なのだという。にもかかわらず、ここで紹介される神仏像はそういったセオリーから大きく外れて製作されている。著者は「それはなぜなのか?」という部分に大いに興味を掻き立てられ、その背景に迫ってゆくのだ。こういった、面白不思議本の範疇に留まらないある意味民俗学の範疇にまで足を踏み入れた著作となっている。

その中でオレが「これは!」と思った神仏像をいくつか紹介してみよう。特にその来歴などは紹介しないので、興味の湧いた方は本書を読んでみてほしい。

〇夔神像(謎の異神――「一本足の夔」とは?)

7年に1度のご開帳で夔神がみられる山梨岡神社【山梨県笛吹市】

牛頭天王像(「牛頭、馬面、人身、鳥手足」を持つ面妖な神)

文化財・文化遺産

長谷観音像(天照大神が発願!?山寺に屹立する巨大仏)

札番 第11番丹生山 近長谷寺 – 伊勢西国三十三所観音巡礼公式サイト

〇四足八鳥観音像(「怪鳥ヤタガラス」に乗ったホトケ)

如意輪観音坐像 | 四日市市役所

〇山の神像(奇妙な一つ目の「山の神」に隠された信仰)

MISTERIO|TAKETA キリシタン 謎 PROJECT

役行者像・前鬼・後鬼(瞠目!伝説的行者・役小角の凄まじい形相)

役行者半跏像 - MIHO MUSEUM