最近聴いたエレクトロニック・ミュージック

Loraine James

Gentle Confrontation / Loraine James

ロンドンを拠点として活躍するロレイン・ジェイムスはジャンルにとらわれない実験的なサウンドを作り出すミュージシャンだ。Hyperdubからリリースされた『Gentle Confrontation』は彼女の5作目のアルバムとなり、彼女のこれまでのキャリアの中で最も野心的で多彩な作品で、その音楽的な成長と探求心をうかがわせるものになっている。アルバムは人間関係や相互理解、優しさや気遣いといったものをテーマとしており、サウンドのトーンは水のようなアンビエントと変性したリズム、ASMRビートを交差させ、エモーションに満ちた包み込むようなエレクトロニック・ポップ・ミュージックとして完成している。今回のオススメ。


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Does It Look Like I’m Here? / Emeralds 

『Does It Look Like I’m Here?』はUSアンダーグラウンドシーンで活躍するEmeraldsが2010年にリリースしたアルバムだ。そして2023年にリマスター版とボーナス・ディスクが付いたリイシューとして発売されたのがこの「Expanded Remaster」盤となる。Emeraldsは、John Elliott、Steve Hauschildt、Mark McGuireの3人組で、オハイオ州クリーブランド出身の実験的なエレクトロニック・ミュージックのグループ。彼らは、ニューエイジクラウトロック、コスミッシェなどの影響を受けた独自のサウンドを作り出し、多くのカセットやCD-Rなどの限定作品をリリースしてきた。『Does It Look Like I’m Here?』は、彼らの初めてのメジャー・レーベルからの作品で、Pitchforkなどの音楽メディアから高い評価を受けている。このアルバムは、彼らの過去の作品よりもメロディアスでポップな感覚が強く、きらめくシンセやエモーショナルなギターが印象的だろう。アルバムは2010年代のエレクトロニック・ミュージックに大きな影響を与えたと言われている。


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Jon Hopkins / Immunity

ジョン・ホプキンスのアルバム「Immunity」は2013年にリリースされ、エレクトロニック・ミュージックの無限の可能性を追求し、ダンスミュージックからインディーロックまで、幅広い音楽ファンを魅了した。そしてこの2023年、「Immunity」発売10周年を記念し、全曲リマスター音源と9曲のボーナストラックが追加収録された10周年記念盤がリリースされることとなった。このアルバムはXLR8R、Crack Magazineを筆頭に、数多くの音楽メディアの年間チャートで上位にランクインしている。 また、このアルバムは彼のキャリアの集大成であり、その後の進化にもつながるターニング・ポイントと言えるだろう。卓越したプロデューサーであり、映画音楽作家としても知られるジョン・ホプキンスは、このアルバムを通じてソロ・アーティストとしてのイメージと評価を確立した。


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Pangaea / Changing Channels

Changing Channels

「Changing Channels」はイギリスのエレクトロニックミュージシャンであるPangaea(本名:Kevin McAuley)が2023年にリリースしたアルバムだ。このアルバムは、彼が共同設立したレーベルであるHessle Audioから2枚に分けて発売された。アルバムはミニマルでリズミカルなベースラインとドラムに、様々なサンプルやボイスを組み合わせた斬新でエキサイティングなサウンドとなっている。アルバムは、Pitchforkなどの音楽メディアから高い評価を受けた。UKエレクトロニックシーンの最先端を感じることができる素晴らしいアルバムであり、ぜひチェックしてみてほしい。


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Komachi / 冥丁

Komachi

Komachi

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広島在住の日本人作曲家・冥丁は日本の古い文化をモチーフにしたエレクトロニック・アンビエント音楽を制作するビートメイカーだ。ちなみに冥丁とは仏教で地獄の裁判官とされる閻魔大王の部下のこと。2019年にリリースされたアルバム『komachi』は 怪談や浮世絵をイメージした「日本の闇のムード」をコンセプトに、雅楽などの古い楽曲をサンプリングし、伝統的な音楽や文化をモダンに再解釈した作品だ。これにより80年代ジャパニーズ・アンビエントニューエイジと現代的なエクスペリメンタルを融合させたノスタルジックで美しいサウンドスケープが表出している。アルバムはPitchforkで「The Best Experimental Albums」に選ばれるなど、国内外で高い評価を受け、2023年には新たなエディションで再リリースされている。


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