ビール問題

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長い梅雨が終わりいよいよ夏到来である。夏といえばビール。いや他にもいろいろあろうが、なんと言っても第一にとりあえずビールなのではないか。まずビールさえ確保してしまえばあとは取るに足らない些末なことなのではないか。と、斯様に思う訳なのである。

最近よく飲むビールの銘柄はサッポロビールだ。この間まではキリンビールが多かったが、どうも重たく感じてきてしまい、さっぱりした飲み口とのど越しのサッポロビール一辺倒になってしまった。発泡酒とやらは残念だが飲み物として認めていない。だから飲まない。ドイツビールやベルギービールも好きで、そういったお店に行ってよく飲むけれども、家呑みなら国産のカジュアルなビールで十分だと思っている。というか、ガバガバ飲んでしまうような人間なので、お高いドイツビールやベルギービールは家呑みにするには勿体ない。

ビールは缶で買ってくるが、この時買ってすぐ飲むのではなく冷蔵庫で一日寝かせ落ち着かせたものを飲むのが望ましい。飲むときはグラスに注いで飲む。オレは冷凍庫にビール専用としているグラス2つとさらにジョッキをキンキンに冷やして置いており、これを使用する。飲む缶ビールが2個3個と増えた時は温くなったグラスを冷たいグラスに替えて飲む。そういえばビールを注ぐとき泡立てるのが重要とされるが、オレは実はあまり泡を立てないほうが好みだ。ビールに要求されるようなきめ細かな泡を立てるのは結構難しく、下手にやるとぼやけた味の温い泡となってしまうからだ。

さてなにしろ暑い夏、汗ダラダラの暑い仕事をようやく終えて家に帰り、ここでキンキンに冷えたビールを一発キメてやるぜ!という流れになるのだけれども、ここでひとつ問題がある。それは「家に帰ってどの段階でビールを飲むのか」だ。

既に喉はキンキンのビールを求めている。だから家に着き汗で濡れたシャツを身体から剥ぎ取っていの一番でビールをゴキュゴキュやりたいのは山々だ。しかしだ。もうひとつ、汗だくで帰って来たならシャワーも浴びたいではないか。確かにビール一発キメてからシャワーでもいいかもしれない。でもそれは堪え性が無さ過ぎるというものではないか。ここはひとつ「まずシャワーを浴びようか」とやるのが大人の男ではないか。それが社会人というものであり紳士というものではないか。

とまあここでシャワーを浴びてからビールを飲むとしよう。いやまて。晩飯はどうなる。自炊を習慣とし、なるべく滋養豊かなものを食そうと心掛けるオレとしては、ビールを先に飲んでしまうと料理が疎かになりはしないかと考えてしまのだ。さらに、ビールの最大のつまみこそがその日の夕食であり、すなわちビールと夕食は切っても切り離せないものであり、先にビールなんぞを飲んでしまったら「ビール+夕食」の醍醐味が味わえないではないか。

つまりオレにとって「家に帰ってどの段階でビールを飲むのか」問題は、1.家に帰ってすぐ 2.シャワーを浴びた後 3.夕食を作って食べながらの三択問題なのである。もちろん最良なのは「3.夕食を作って食べながら」である。しかしだ。家に着いた段階で既に喉はカラカラ、頭の中はビールで一杯になっているオレに取って、その前段階としてシャワーも浴び、さらに夕食を作っての後にビールというのは、もう焦らしに焦らしまくるイケズな美女に手玉に取られているかのような行き場の無い憤懣と通じるものがあるのである。

確かに焦らされるのが快感、というのもあることはある。いかに耐えて耐えて耐え忍んで、ようやくの思いでビールに辿り着いた時に得られる達成感と解放感は格別のものと言える。登れぬ山は無く超えられぬ谷は無く渡れない河は無い。それらはビールを飲むためには何の障壁にもならないのだ、というマーヴィン・ゲイの歌の如きものである。そしてそれは幾多もの労苦を乗り越えて遥か天竺に辿り着いた三蔵法師とそのしもべたちの如きものである。遥かな世界その国の名はガンダーラガンダーラガンダーラ愛の国ガンダーラ

とはいえ、オレは三蔵法師の如き聖人ではない。その辺のしょぼくれた、ちょっと汚い、だいぶ胡乱なおっさんである。大人しく我慢しきれるような堪え性のある人間では全く無い。そもそも堪え性のある人間なら毎晩毎晩「ビール!ビール!」と益体も無く連呼する様な爛れきった日々を送る訳がないではないか。だからこそ適当な所で妥協せねばならないのだ。綺麗事なんて言ってられるか。大人は汚れてるんだ。ホントは下品なおっさんなんだ。エッチな話なんか大好きだぞ。どうだ参ったか。

とまあ、ここまで自分を貶めて、そこでオレはようやく自分の規範と欲望に折り合いをつけるのである。という訳でどうするのか。すなわち、帰ったら飲み、シャワーを浴びて飲み、飯を食いながら飲み、食い終わったら飲み、歯を磨いてから飲み、さらに寝る前に飲むのである。そうさオレはいつだってご機嫌さ。ビールの神は天にいまし、全て世は事も無しなのである。Byロバート・ブラウニング

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  • 発売日: 2020/07/31
  • メディア: 食品&飲料