オレとウイスキー

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オレは酒といえば数十年頑なにビール党である。当然のことだが発泡酒などビールと認めていないし飲むことすらしない(ただしコリアンダーなど添加した一部のベルギービールは除く)。まあ威勢よく書いたが実はビールばかり飲むようになったのは村上春樹小説の影響だった、という語るのがちょい恥ずかしい理由があったのだが。

あと、焼酎は嫌いだ。サワー類も身体に悪そうで飲まない。醸造アルコールの使われた酒はことごとく飲まない。ワインと日本酒は最近たまに飲むようになった。なぜならビールは高いからだ。「発泡酒がー」とかカッコつけた割りに本当は結構セコイ所がオレのオレたる所以である。

ウイスキーなどのスピリッツもあまり得意ではなかった。度数が高いので胃を荒らすのである。スピリッツはストレートで飲むべし、という誰が言ったわけでも無い信仰がなぜかオレの中にあり、それが出来ない以上飲むことは叶わない、と意味の判らない判断をしていたからである。実はメンドクサイヤツなのである。

そんなウイスキーを、最近よく飲むようになった。理由はスコッチ・ウイスキーの美味さに目覚めたからだ。美味いウイスキーは、なんと甘く感じるのだ。それもハイランドやスペイサイドのシングルモルトウイスキーであり、さらに追い討ちを掛けたのはアイラモルトの面白さからだった。以前は若気の至りで、ウイスキーといえばバーボンばかり飲んでいたが、今はバーボンの匂いが一段落ちるもののようにすら感じる。

知ったように名前を並べたが、今のオレのウイスキーの飲み方は、もっぱらハイボールである。ハイボール。昔はおっさんが安酒の不味さを誤魔化すための飲み方だと思っていたが、どうしてどうして、これが実は一番リラックスして飲める飲み方だと発見した。さらに、いいウイスキーは炭酸で薄めてもいい香りと甘い味がする。

ストレート向けなんて薦められるウイスキーもあるが、とりあえず全部ハイボールである。まあヨード臭やスモーキーさを楽しむアイラモルトには向かないと思うが、ここは深く考えず全部ハイボールである。細かいことを言うクセにある一瞬から適当になるところがオレのオレたる所以である(こればっか)。

そんなスコッチ・ウイスキーを、月に1本づつ揃えていったら冒頭の写真にあるぐらいにコレクションしてしまった。あんまり減って無いように見えるが、これはコレクションの酒はあまり飲まずに、実はこの写真に出てないような安いウイスキーを普段は飲んでいるからだ。見栄っ張りだが実は相当みみっちい、というオレらしい逸話である。

ウイスキーを飲むのは(というかハイボールだが)、仕事から帰ってきて部屋で人心地付いたときだ。頭と身体に溜まった職場での雑念を、酒の入ったコップ片手に洗い流すのである。この時オレはソファに深々と身体を投げ出し、お気に入りのレゲエ・ミュージックをアルバム一枚まるまる聴きながら限りなくリラックスしてゆくのである。

(なんとなく気取った書き方をしてしまったが、座っているソファはベルメゾンで通販購入したお安い二人掛けソファだし、このときの格好もユニクロで買ったスエット上下か、夏ならばほぼパンイチである。グラスはイトーヨーカドーだ。700円もしたんだぞ。リアリズムとはこういうことを言うのである)

飲む量は基本的にグラス一杯。たまに二杯。量を決めているから酔い過ぎない。ただしこの後晩飯を作ってビールで流し込むのでやはり結構飲んでいるのである。こうしてたいていソファ(ベルメゾン製)で眠りこけてしまう(しかも二人掛けの狭さなのに)。こうしてアルコールに溺れ酒に飲まれながらオレの一日は終わってゆくのである。