ジェイソン・ボーンとCIAが永遠にイチャイチャするシリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』!

ジェイソン・ボーン (監督:ポール・グリーングラス 2016年アメリカ映画)


あの「ジェイソン・ボーン」シリーズが復活するという。「ジェイソン・ボーン」シリーズとは記憶を喪った殺し屋がCIAと凄まじい戦いを繰り広げるアクション作品である。これまで『ボーン・アイデンティティ』『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』と3作が作られ、一応終焉した物語だが、相当人気があったと見えて『ボーン・レガシー』というスピン・オフ作品も作られている。
ジェイソン・ボーン」シリーズ面白かったよなあ、とオレは思ったのである。レンタルで観て劇場で観てしまいに3部作全部DVDで揃えた位である。しかしだ。「そういえば3部作ってどんな話だったっけ?」と思い出そうとしたら、殆ど記憶に残っていないことに慄然としたのである。なんかCIAに洗脳され記憶を喪った暗殺者がCIAとドンパチやる。それは分かっているのだが、1話1話のストーリーがまるで思い出せないのである。レンタルで観て劇場で観てしまいに3部作全部DVDで揃えた位なのに。これはどういうことだ・・・・・・オレもボーンのように記憶喪失になってしまったのかッ!?
そんな折、「岡山のギギギ主婦」ことアガサさんのブログで番外編を含めた「ジェイソン・ボーン」シリーズ4作のまとめをやっているのを見つけたのだ。それは「13分ぐらいでわかる「ジェイソン・ボーン」のおはなし。(ボーン・シリーズまとめ) すきなものだけでいいです」という記事なので皆さんも読むといいのである(アガサさん相変わらずのイイ仕事ありがとやんす!)。
というわけで大復活を遂げた映画『ジェイソン・ボーン』を満を持して劇場鑑賞と相成ったのである。で、今作のジェイソン・ボーンはどんなお話なのか。ザックリ煎じ詰めて書くならば、またもやジェイソン・ボーンがCIAの「なんちゃら作戦」に巻き込まれ、CIAと追っかけっこしながら世界のあっちゃこっちゃに出張し、合間を見てCIAの工作員を地獄に落とす、というものなのである。これまでのお話となにが違うのか?というと、実はなにひとつ変わっていないのである。
にもかかわらず、今回の「ジェイソン・ボーン」もメッチャ面白かった。それは、もはや「ジェイソン・ボーン」シリーズが寅さんシリーズ的な伝統芸の域に達しているからであり、観るものはその巧みの技を安心して観て、そして同時に驚けるからである。その伝統芸的要素とは、まずボーン先生がCIAの追撃をかわしてかわしてかわしまくった後、CIAの工作員を殺して殺して殺しまくることであり、もうひとつは、「ジェイソン・ボーン」シリーズの世界観の根幹となっているのが、この世は全て陰謀なんだああああ!!!という、パラノイアックな物語構成であるという部分であろう。
そう。この世は全て陰謀である。一見安寧と営まれているこの社会の裏では、実はいつもどこかで薄汚い陰謀が企てられているのである。ポテチの袋の内容量が減ったのも、カップヌードルの謎肉が変更されたのも、ドミノピザのピザサイズが小さくなったのも、何もかもが陰謀なのである。・・・・・・てか全部ジャンクフードかよオレ。
そしてそんな薄汚い陰謀を企てているのが今回も例のCIAの皆さんである。もうショッカーかCIAかっちゅうぐらい悪い連中なのである。そして「なんちゃら作戦」を遂行しようとするたびボーンに叩き潰される、という学習能力皆無な連中でもある。もう「なんちゃら作戦」なんていかめしい名前付けないで「にこにこフェスティバル」とか「るんるんカーニバル」とかいう名前にしとけばボーンも「そうかそうか愉快で楽しい催し物が開催されるのか」と無視してくれるのではないか。
それにこの「ジェイソン・ボーン」シリーズ、要するにボーンとCIAとが延々痴話喧嘩しているような物語だといえなくもない。愛憎半ばするという言葉があるが、ボーンのCIAへの憎しみは実は愛の裏返しということも邪推できるのである。そんなボーンとCIAとの抗争というのは、実は「派手なイチイチャ」だと言えなくもないのだ。なんだよもうのべつまくなしイチイチャイチャイチャしやがってよお!お前らもう結婚しちゃえよ!
とはいえ、「大体同じ」な物語ではあるが、主人公ボーンの喪われた記憶と過去が、またひとつ新た発見される、という物語でもある。いや〜3部作でだいたい記憶戻って過去も詳らかにされたと思ってたのに、まだまだいろいろあるんっすねえ。全く難儀な人生歩んでますねえボーンさん。この調子で行くと、そのうちきっと作られるであろう続編でも「新事実発覚!」ということになって、『ジェイソン・ボーン PART10』あたりでは「ボーンは実は宇宙人だった!?」とかいうことになり、続く『ジェイソン・ボーン PART11』ではアベンジャーズの一員となって世界を危機から救ったりしていることだと思う。
そんなボーン・シリーズ復活篇『ジェイソン・ボーン』であるが、最後に一言だけ付け加えておくことにしよう。いやあ、SWAT車無双だね!
http://www.youtube.com/watch?v=2e_KjLjVTxY:movie:W620