最近『ジョン・ウィック』シリーズ3作をまとめて観返していた。しかも3作ともBlu-rayを購入してである。くどくどしく書くと、その3作とは『ジョン・ウィック』『ジョン・ウィック:チャプター2』『ジョン・ウィック:パラベラム』の事である。
Blu-ray3枚とも購入となると相当のファンなんですね!と思われるかもしれないが、実はオレ、1作目の『ジョン・ウィック』を劇場で観て、まあまあかな、程度の感想しかなかった。なんかこー、殺してばっかりはいるのだが、ウィックさんが強すぎて緊張感が伝わってこなかったのだ。そして再び劇場で観た『ジョン・ウィック:チャプター2』、これも前作と同じくただひたすらぶっ殺しまくっているだけの一本調子な作品のように思えてしまい、正直退屈した。というわけでシリーズを見限ったオレは3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』の劇場鑑賞はスルー、レンタルが出てから半ば義務的に視聴した。するとなんとこれが、今までの作品の中で最も面白く観れた。やってることは同じなのだが、逆にここまでとことんぶっ殺しまくりに特化し続ける作風に潔ささえ感じた。しかしなによりこの作品、きちんと観ると美術が非常に美しく、なおかつ凝っているではないか。ぶっ殺しまくりの単純な映画だと思っていたら、実は非常に美的な感性に彩られた作品だったのだ。これはちょっと驚いた。この『パラベラム』でオレの『ジョン・ウィック』への評価が180度変わったのだが、と同時に、そもそも1,2作目に関しても、監督が見せたかった部分とオレが期待していた部分がミスマッチを起こしてしまい、それで「(期待と違っていたので)面白くなかった」と評価してしまったと思えたのだ。オレが期待していたもの、それは例えば『ジェイソン・ボーン』シリーズのようなリアルな戦闘や冷え冷えとした世界観だったのだが、『ジョン・ウィック』はむしろコミックのような荒唐無稽さとスピード感ある爽快なアクションを描こうとしていた。
その辺をやっと理解して1作目からもう一度観直してみると、これがもう、当たり前のように面白い。殺戮に殺戮を重ねるウィックさんのとどまるところを知らない暴走機関車ぶりに心の底から酔わされるではないか。やはり最初に観た時の感想は間違った思い込みのせいだったのだ。
それにしても勝手な想像で期待しておいてその通りじゃなかったからつまらない、と言ってしまうのも随分な話だ。オレの映画の見方には案外そういうインチキな部分があり、こうして映画カンソー文を書いていても、数年たってから観直して感想がまるで変わったりすることがたまにある。例えば映画『RED/レッド』だ。
映画『RED/レッド』でもやもやしつつ続編の『RED リターンズ』を観たらこれが滅法面白かった。そして改めてもう一度1作目を観直してみたら、「ああそういうことだったのか」とやっとその面白さに気付いたというわけだ。
そんなわけでオレの映画レビューがいかに当てにならないかということをここで書きたかったのである。え?知ってた?あううう……。
※おまけ:オレんちにあるジョン・ウィック・フィギュアと仲間たち