誘拐された少女救出に向かうのは伝説の殺し屋!/韓国映画『THE KILLER 暗殺者』

THE KILLER 暗殺者 (監督:チェ・ジェフン 2022年韓国映画

人身売買組織に誘拐された女子高生の救出に乗り出したのは伝説の殺し屋!という韓国映画です。なんでも主演・企画のチャン・ヒョクは「肉体派俳優」という異名を持っているのらしく、この作品でもスタント無しの華麗なアクションを見せつけます。最強の敵役に『リベンジャー 無敵の復讐心』のブルース・カーン。監督は映画『剣客』でチャン・ヒョクとタッグを組んでいたチェ・ジェフン。また、作品は韓国の同名Web小説を原作としているのだとか。

【物語】かつて伝説の暗殺者として恐れられた男ウィガンは、引退後は財テクで成功を収め、派手な生活を送っていた。そんなある日、妻が友人と旅行へ出かけることになり、ウィジンは妻から友人の娘である女子高生ユンジの世話を頼まれる。軽く考えて引き受けたものの、ユンジは人身売買組織に誘拐されてしまう。ユンジを救うため再び戦いの世界に身を投じ、暗殺者としての本能を呼びさましていくウィガンだったが……。

THE KILLER 暗殺者 : 作品情報 - 映画.com

悪逆非道の犯罪組織と元殺し屋との血に塗れた熾烈な戦いが炸裂するこの作品ですが、冒頭部は少々ユーモラスな展開が続きます。殺し屋を引退し大邸宅で妻と優雅な生活を送る主人公ですが、そんな主人公が女子高生を預けられうんざりしながら世話を焼く部分がちょっと可笑しいんですね。この女子高生というのがイマドキの女子高生というやつでなんだか可愛げが無く、主人公は手を焼きつつもあくまで理解のあるような対応をし、この「元殺し屋」と「世話焼きおじさん」とのギャップが面白いんです。

しかし女子高生が誘拐された後の電光石火の対応はさすが元殺し屋、下っ端のガキや女相手でも情け容赦ありません。主人公のこの情け容赦の無さは全編を貫いており、とりあえずどんな時でも皆殺し、命乞いは全く訊かないし、一度助けても情報を引き出したらあっさり殺します。なんと言ってもシビレたのは人質を取られても怯むことなど一切なく、残虐無比にぶっ殺しまくる部分でしょう。オレは「主人公が人質取られて降参する」という展開があんまり好きじゃなかったりするんですよ。

そんな部分でこの作品、主演となるチャン・ヒョクのスピーディーでスタイリッシュなアクションが最大の見所となります。当たるを幸いなぎ倒し、向かってくる敵を次から次へと血の海に沈めてゆきます。それはあたかも殺戮マシーンのようであり、主人公の非情な戦いは胸のすくものがあります。ただしアクションや物語展開は『アジョシ』や『ジョン・ウィック』を彷彿させますが、逆に言うならこれら作品の簡易版クローンのようにも感じさせてしまいます。

そういった部分で斬新さの乏しかったのと、主人公があまりに無敵過ぎ、また意外性が無く安直な物語展開がリアリティを削いでしまい、傑作に成り損なってしまっている部分があります。とはいえそこは韓国映画、アベレージの完成度ではありますがアクション映画としてはそこそこ楽しめ退屈させない作品として仕上がっておりました。