よいこのボクだから『よいこのための吾妻ひでお』を読んだお

■よいこのための吾妻ひでお Azuma Hideo Best Selection / 吾妻ひでお

よいこのための吾妻ひでお Azuma Hideo Best Selection
漫画家・吾妻ひでお氏の集大成的なベストを目指しているらしい【Azuma Hideo Best Selection】、これまで『21世紀のための吾妻ひでお』を山本直樹氏で、『ポスト非リア充時代のための吾妻ひでお』を菊地成孔氏の監修で刊行してきましたが、今回の3冊目『よいこのための吾妻ひでお』は漫画家とり・みき氏の監修によるものになります。
とり・みき氏は自分の大変好きな漫画家で、どんなセレクションになるか楽しみにしていたんですが、逆にこれまでの2冊で吾妻ひでお氏のコアな部分を紹介されてきてしまったので、どんなセレクションにしようか頭を悩ませたのだそうです。そして編集されたこの『よいこのための吾妻ひでお』は、吾妻ひでお氏デビュー時まで遡った、"吾妻漫画"の時代による変遷を網羅的にセレクトしたものになっており、ある意味"吾妻漫画"の全体像を掴む優れたベストになっていますね。
そして読んでみて思ったのは、「時代による変遷」というよりは、吾妻さんという人はデビュー時からギャグ・スタイルが完成されており、というかもっと正確に言えば漫画へのスタンスのあり方が変わらない人で、そんな吾妻さんのある意味早すぎた漫画のありかたにやっと時代が追いついてゆく、ということでしょうか。その吾妻漫画のスタンスのあり方というのは、音楽でいうインプロビゼーションのようなフリースタイルで、平たく言うとあえて計算しない自由な発想と勢いで漫画を書いている、ということだと思うんです。まあ作者に言わせたら間に合わせの思いつきでコマを埋めた、ということなのかもしれませんが、その"思いつき"のレベルが高いということなんですよね。個人的には「ふたりと5人」とかメッチャ懐かしかったなあ。
それにしても毎回表紙が凄いことになっているこのシリーズ、今回はロリコン直球ど真ん中で、見た目的には大人しくなっているけど、別の意味では最もヤヴァイ表紙かもしれないですね!

よいこのための吾妻ひでお Azuma Hideo Best Selection

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