コープス・ブライド

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

ティム・バートンのコープスブライド 特別版 [DVD]

陰気で臆病者のその男は結婚式を無事にやり遂げる自信がなく、闇深い夜、じめついた森にある墓場で式の演習を始めたのだ。しかし何かの弾みで結婚指輪を墓の前で落としてしまう。その時だ。地面から鼻を突く腐臭が漂い、土饅頭がばらばらと割れて行き、その中から蠢きだす姿があった。男はその姿を見た。青白い腐肉には蛆虫と地虫が群がり、肉の腐れ落ちた部分からは膿のような色をした骨が顔を覗かせていた。埃と土くれに塗れたその顔は虫どもに食い尽くされ、眼球のあるべき場所は暗い穴倉となり、丸々と太った何かの幼虫がひくひくと残り少ない腐肉をついばんでいた。”それ”は朽ち果てボロボロとなったドレスのようなものを纏っていたが、そのせいで”それ”がかつては女であったことがかろうじて判別できた。壊れた機械人形のように”それ”が立ち上がると、腹のあった部分からは何かの塊がボタボタと滴り落ちていったが、男はそれがなんであったのか考えたくも無かった。そして”それ”は男のほうを向きやると、かつては唇であった肉の裂け目を開き、きしるような声でこう言った。「おぬしはわらわの夫となりけり。未来永劫添い遂げたり。」肉の裂け目がVの字に歪んだ。あるいはそれは笑った表情だったのかもしれない。そしてその裂け目からはおびただしい数の蛆虫がボロボロと落ちていった。
…というわけでラブリーでキュート、ちょっぴりファニーな死体たちが繰り広げる愉快で楽しいファンタジーロマンス、『コープス・ブライド』だよ!(おい。)


ええとねえ、ちょっと小品だったかなあ。町と墓場があるだけで世界に広がりが無いんだよねえ。物語りも単純、ビジュアルも思ったほど工夫が無くて、これ30分ぐらいの短編アニメにしてもいいような内容だと思ったよ。特に現実世界である町の描写が退屈。作りが悪いわけじゃないんだけど、予算と時間が足りなかったんじゃないかな。
それにしても何で都合よく死体の腕が墓場から突き出してるんだろなあ。