『ザ・ユニオン』『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』など最近ダラ観した配信あれこれ

『ザ・ユニオン』

ザ・ユニオン(Netflix映画)(監督:ジュリアン・ファリノ 2024年アメリカ製作)

主人公マイクはアメリカ地方都市のしがない建設作業員。ある日彼のもとに20年前別れた元カノのロクサーヌが現れ、「私と一緒に秘密諜報組織で働いてほしい!」と頼み込んできたからさあ大変!?というネトフリ映画。マイク役にマーク・ウォールバーグロクサーヌ役にハル・ベリーというなかなか豪華な面子だったので観てみることにした。そこそこに激しいアクション、そこそこにコメディタッチの展開、あとは家族の問題やらパートナーの問題があれやこれや散りばめられて、というネトフリ映画ではお馴染み過ぎる構成だが、これはこれで十分楽しめた。要は「長年田舎でくすぶってる何のとりえもない限界中年男の前に降ってわいたように美女が現れ、なぜだか手に手を取って世界を股に掛けたカッチョいいスパイ活劇を演じちゃう!?」という「限界中年男の願望充足的妄想ストーリー」がミッチリミチミチに詰まっている(だけの)お話なのだが、ワカモノたちだって異世界に転生してチート英雄を満喫する物語で願望充足してるんだから、オレのような限界中年男が美女と一緒にクールでスマートなスパイをやっちゃう妄想を抱いたところで誰も文句言えないじゃないか、え?え?どうなんですかそこんところ?と思えてしまうのである。もちろん単なる御都合主義だけでは物語として陳腐化するが、この『ザ・ユニオン』はそこん所を上手に作っていて、嫌味を感じさせないのだ。これは主演のマーク・ウォールバーグの「一見地味だが何かやらかしそうな危険さ」やハル・ベリーの「アクティブでマニッシュな雰囲気」が効を奏しているのだろう。作品としてはアベレージだけれどもネトフリ映画でアベレージなら割と出来がいいということでもある。

エスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士 (監督:ジョー・コーニッシュ 2019年イギリス映画)

アーサー王伝説をもとに、伝説の聖剣を手にした現代の少年が邪悪な存在を倒すために冒険を繰り広げるというファンタジーアドベンチャー。主演がアンディ・サーキスの息子ルイ・アシュボーン・サーキス、さらにパトリック・スチュワートレベッカ・ファーガソンらが脇を固めている。ロンドン生まれの監督ジョー・コーニッシュは『アタック・ザ・ブロック』の監督・脚本、さらに『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『アントマン』の脚本を務めていたというのでちょっと興味が湧き観てみることにした。するとこれが実に丁寧に作られたファンタジー+成長譚となっており、非凡なものを感じた。 内容的には所謂ヤングアダルト向けの作品なのだが、年寄りのオレでも主人公の心情にすっと入っていける情感豊かな演出にまず引き込まれる。そしてやはりイギリスにはファンタジーが似合う。アーサー王伝説だけでなくストーンヘンジも効果的に使われ、イギリスらしいちょっとした暗さと肌寒さを感じさせるファンタジー展開は観ていて安心できる。イギリスらしい人間関係や子供たちのシャイな性格、白人・黒人・インド系の登場人物がギスギスすることなく一つの画面で協調し合っている様もイギリスらしく、少々頭のタガが外れたように見える少年姿の魔術師マーリンもまた好感度が高い。ヒットはしなかったらしいが評論家筋の評価が高かったというのも頷ける出来で、ヤングアダルト向けということで敬遠するのはもったいない作品だった。