AppleTV+映画を中心に最近ダラ観したDVDやら配信やら

『ゴーステッド Ghosted』

ゴーステッド Ghosted(AppleTV+映画)(監督:デクスター・フレッチャー 2023年アメリカ映画)

農家育ちの実直な青年コールがバイト先で恋した女性セイディは実は敏腕CIAエージェントだった!?というアクションアドベンチャー作品。主演にクリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、共演にエイドリアン・ブロディ、監督は『ロケットマン』のデクスター・フレッチャーという豪華キャストもウリ。物語設定に新味はないものの、AppleTV+らしい非常にバランスよく丁寧な作りが効を奏し、優れた作品に仕上がっている。なにより開始30分ほど、アナ・デ・アルマス演じるセイディがCIAエージェントだという事が一切描かれず、主人公コールとセイディとのロマンチックな恋の駆け引きが延々描かれるのだ。これにより、観ているオレはあたかもアナ・デ・アルマスとデートしているような気分にさせられた(ポッ)。そしてセイディがエージェントと身バレした途端のアクションの楽しさと、その落差とが楽しくてしょうがない。一方青年コールは一般人なのであまり役に立たないのだが、徐々にセイディを助けてゆくことになる展開もイイ。あの『キャプテン・アメリカ』のクリス・エバンスが戦いが苦手というキャラなのが面白いじゃないか。世界を股に掛けたスケールの大きさもいい。なによりアナ・デ・アルマスが最高にいい。

ファミリープラン(AppleTV+映画)(監督:サイモン・セラン・ジョーンズ 2023年アメリカ映画)

いつも家族に甲斐甲斐しいマイホームパパは実は政府お抱えの一流ヒットマンだった!?というマーク・ウォールバーグ主演のアクションコメディ。共演にミシェル・モナハンマギー・Q。家族とラスベガスへバカンスに出掛けた主人公はそこで過去の敵に襲われ、家族ともども彼らを迎え撃つ羽目になるのだ。これも物語設定に新味はないものの、前記『ゴーステッド Ghosted』と同様、AppleTV+らしいバランスのよさと丁寧な作りにより十分楽しめる作品になっている(同様の設定でネトフリ映画だったらもっとガチャガチャしていたはずだ)。コメディもアクションもきっちりと生きていて、安心して観ることのできるお茶の間映画として完成している。マーク・ウォールバーグはこういう役が本当に似合うな。

ドリーム・ホース (監督:ユーロス・リン 2020年イギリス映画)

イギリスの斜陽化した町や村の住人が、一念発起して新しいことにチャレンジし成功を収める、という映画はあれこれとあるが、オレは結構嫌いじゃない。そういった、イギリスの小さな町やそこに住む人の、生活感あふれる描写がとても好きだからだ。映画『ドリーム・ホース』はそんな映画の一つだ。物語はウェールズのひなびた村でドン詰まりの日々を送る主婦が村人たちと共同馬主となり、その競走馬が数々のレースを勝ち抜いてゆく、というもので、実話を元にしている。ここには地方の過疎化問題や高齢化問題といった今日的なテーマと同時に、生き甲斐や遣り甲斐といった生き方にまつわる問題が描かれる。リアルであり身近であり感情移入しやすく、しかしシリアスになり過ぎずユーモアと感動の糖衣でくるんである部分がとても優れている。登場人物たちのひたすら地味だが親近感の湧くキャラクターも実に愛おしい。これは名作と言ってもいいんじゃないだろうか。 

カラーパープル (監督:スティーブン・スピルバーグ 1985年アメリカ映画)

ミュージカル映画カラーパープル』が上映されたらしいが、そういえばスピルバーグ監督版『カラーパープル』のほうも観ていなかったなあと思い鑑賞。黒人差別問題を描く内容かと思ったら、黒人男性による黒人女性への虐待はそれに輪をかけて酷い、というお話だったが、残念ながら退屈だった。当時のスピルバーグ映画で散見したほわんと明るく甘い色彩設計が映画テーマにそぐわなく感じたし、シリアスな物語をあえてシリアスに描かないストーリーテリングも、結果的には物語をちぐはぐに感じさせた。併せて、これはあの時代の黒人女性にとってどうしようもないことであるにせよ、主人公が基本的に受動的でしかない部分が映画を観る興を削いでしまうのだ。ただし主演のウーピー・ゴールドバーグはこれが初主演作だったらしいが、既に強烈な存在感を感じさせていた。

スペシャル・エージェント 特殊工作員(監督:シン・ジェミョン 2022年韓国映画

秘密任務を帯びて北朝鮮に潜入した韓国特殊工作員北朝鮮兵士と激突する!という話らしいのだが、いかんせん相当の低予算だったのか描写が貧相な上に物語がありがちで退屈すぎて、観始めて20分ぐらいは我慢したが時間の無駄と判断して観るのを止めた。