ドラマ『レッスン in ケミストリー』など最近ダラ観したDVDやら配信やら

『レッスン in ケミストリー』

レッスン in ケミストリー(AppleTV+ドラマ)(監督:サラ・アディナ・スミス 2023年アメリカ製作)

女性蔑視の根強い50年代アメリカで、一人の女性科学者が人生の荒波を乗り越えてゆくという小説『化学の授業をはじめます。』は本当に素晴らしかった。その小説を原作としたAppleTV+製作のドラマがこの『レッスン in ケミストリー』(全8話)。『ルーム』『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソンが主演となるが、製作総指揮にも絡んでいる部分に作品への並々ならぬ意欲を感じた。実際、ブリー・ラーソンMCU映画なんかよりも全然魅力的で生き生きとしていたと思う。

原作を読んでいる観点からだと、ドラマ版はとても綺麗で中庸に作られているように感じた。登場人物の設定が一部変更(お隣に住む主婦ハリエットが幸福な家庭の黒人女性になっている)され、黒人民権運動がエピソードとして加えられているが、物語背景となる時代をもっと立体的に可視化していると思えた。あとロマンス描写は本当にロマンチックで、これはこれで悪くない。それと最初から主人公が料理が巧いことを描いており、これは原作より説得力を増していた。物足りなかったのは物語に登場する悪役が原作よりも毒気を抜かれており、その分全体的にあっさりした物語になっていた事かな。

とはいえこういったすっきりした綺麗なドラマ性、ハッタリのない堅実さ、知的な中庸さというのはAppleTV+のドラマ作りの特色のように思えた。それと映像化されたことにより当時のアメリカの情景や衣装を含めた風俗が手に取るように眼前に広がるのはやはり得難いものがある。悪くない出来のドラマだと思います。

死霊館のシスター 呪いの秘密(監督:マイケル・チャベス 2023年アメリカ映画)

連続する聖職者の不審死には悪霊と化した尼僧が関わっていた!?というホラー映画。なんでも「死霊館」シリーズの最新作らしいのだが、今まで1作も観ていないのにも関わらず観てみた。前半はちびちびと恐怖を小出しにして割とオーソドクスなホラー展開なのだが、後半から結構なスペクタクルに満ちたホラー演出となる。シリーズは観ていないが話もだいたい理解できた。ただ、予告編からもっとド派手でドギツイホラー作かと思っていたが、割と平凡に感じたのは否めないかな。

Lift/リフト(Netflix映画)(監督:F・ゲイリー・グレイ 2024年アメリカ映画)

ケヴィン・ハート演じる大泥棒とその仲間たちが、上空1万2000メートルを飛ぶ旅客機に積まれた木箱の中から5億ドル相当の金塊を盗む!?というアクション・コメディ。監督が『ワイルド・スピード ICE BREAK』『メン・イン・ブラック:インターナショナル』のF・ゲイリー・グレイというのに興味を覚え観てみることにした。で、これが普通に面白い。まず今まで見たことの無いようなハイテクの使い方がとても上手く感じた(ほとんどインチキなんだろうけど)。旅客機内で大泥棒を仕掛ける、というシチュエーションもユニーク(旅客機に金塊積むとは考えられないが)。そういったはったりが上手いんだよ。ケヴィン・ハートを始めとした俳優も個性的で楽しかった。「世界を股に掛ける大泥棒集団」という設定に新鮮味が欠けるが、TVで観られる映画としては上出来なんじゃないかな。

バッドランド・ハンターズ(Netflix映画)(監督:ホ・ミョンヘン 2024年韓国映画

地震で韓国は壊滅!その荒野には変人科学者の人体実験によりゾンビっぽい兵士がうろつき、生き残りの住むバラックから検体を拉致していた!「現れて!世紀末救世主!」そんな人々の声に応えて登場したのは我らがマブリーことマ・ドンソク!マブリーは得意の北斗神拳重量級パンチでゾンビっぽい連中を次々になぎ倒しゆく!とまあ、お話的には既視感たっぷりで何も新味は無いのだが、とりあえずマブリーが大暴れしている様子を眺めていれば幸せになれる映画。ちなみに韓国作品なので盛大にスプラッタ&人体破壊しています!

スイート・チャリティー(監督:ボブ・フォッシー 1968年アメリカ映画)

お人好しで男に騙されてばかりのダンスホール嬢チャリティーが新しい愛に目覚めちゃう、というミュージカル映画フェデリコ・フェリーニ監督作品『カビリアの夜』をミュージカル舞台化した作品を『キャバレー』のボブ・フォッシーが映画化したもの。実は今まで全く存在を知らなかった映画なのだが、ネットでたまたま見たミュージカルシーンがあまりにもお洒落で驚いてしまい、視聴してみた。ちなみにオレが度肝を抜かれたのはこのシーン。


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いやーなんてカッコイイんだろ!こういうのを「COOL」って言うんだろうなあ。とはいえ序盤のこのシーン以降は振付に精彩が欠けてきて、お話も緩くてとりとめのない方向に流れてゆき、結末もそれでいいの?って感じだったのが残念。ただし主演のシャーリー・マクレーンのコメディエンヌぶりはなかなかだった。あとなんとあのサミー・デイビスJrが出演している!?