最近ダラ観したDVDやら配信やら

『ハート・オブ・ストーン』

ハート・オブ・ストーン(Netflix映画)(監督:トム・ハーパー 2023年アメリカ映画)

うおおおガル・ガドット主演のネトフリアクション映画『ハート・オブ・ストーン』を観たがネトフリ映画らしからぬ素晴らしい出来でびっくりしたぞ(ネトフリ映画って結構期待外れの作品が多くってなあ)。あと10億円ぐらい予算を突っ込んで劇場公開作にしても大ヒットするんじゃないかってぐらい完成度が高かったな。

基本はスパイ・アクションなんだが、007やミッション・インポッシブル・シリーズとどこが違うのかと言うと、ガル・ガドットの華やかな魅力で全て牽引できている部分なんだよ。ワンダーなウーマンじゃない生傷だらけの体当たりアクションにも惚れ惚れさせられたし、ガドットのキャリアの中でも1、2を争う良作なんじゃないかな(体当たりアクションとは書いたがもちろんスタントはいるだろうし、それだけ迫真的だったって事ね)。

物語の中心となるのは「世界中の全システムにハッキングできるスーパーチップ」とかいう、こう言っちゃなんだが手垢塗れの陳腐なアイテムなんだが、テーマとなる「心(ハート)と機械(ストーン)の相剋」にきちんとマッチさせたシナリオが技ありなんだよ。それと併せ『RRR』主演のインド女優 アーリヤー・バットが主演しており、彼女とガドットが肩を並べて画面に登場するなんて思いもよらない嬉しさだったぞ。久しぶりにいいネトフリ映画観させてもらった。

死霊のはらわた ライジング (監督:リー・クローニン 2023年アメリカ映画)

死霊のはらわた』、1作目はジェットコースターみたいなハイパーホラームービーで、映画館で観たときはいろんな意味でビックリさせられた作品だった。その後も多数の続編が作られたりリメイクしたりドラマ化されたりと実に人気のあるホラー映画だが、今作ではアパートメントで発見された死者の書により住民たちが次々と死霊化し地獄と化すといった、ちょっと『デモンズ2』ぽいお話になっている。まあなにしろドロドロ血塗れホラーなので、いかに惨たらしく殺したり殺されたりするかにシノギを削る様子をじっとりワクワク堪能できればそれでいいのではないかと。子供たちですら情け容赦なく肉塊と化してゆく様は十分エグくてやる気満々だということをうかがわせるが、舞台設定から始まって多数のホラー映画オマージュが飛び出す演出は楽しいのと同時に独自性を感じさせなくする両刃の刃だなとちょっと思った。

逆転のトライアングル (監督:リューベン・オストルンド 2022年スウェーデン・フランス・イギリス・ドイツ作品)

大富豪の乗った豪華客船が難破し乗員たちと共に孤島に流れ着くが、その孤島で力を持ったのはサバイバル能力に長けたトイレ掃除のおばさんだった、というヒエラルキーの逆転を描いたブラックユーモア作品。階級社会・格差社会をお下劣に皮肉った内容はまずまず面白くできていたと思うが、アナロジーが単純過ぎてそれだけといえばそれだけの話にも思えてしまった。権力構造の逆転を描いたのだとしても構造それ自体は何も変わらないのだから、支配・被支配の構図はやっぱりそのまま残るわけで、根本的な部分は実は何も解決していないってことなんじゃないのか。で、それを皮肉だけで済ませてしまう部分に今一つノレなかったんだよな。主人公がしょうーもないモデルカップルというのも観ていてうんざりさせられたが、この監督の作品は以前『フレンチアルプスで起きたこと』を観たことがあるが、あの映画もなんだかしょーもなかったなあ、ということを思い出してしまった。

プロジェクトXラクション(Netflix映画)(監督:スコット・ウォー 2023年中国・アメリカ映画)

ジャッキー・チェンジョン・シナが共演するネトフリアクション映画!ということで観てみたのだが、全体としては満足ではあったが所々ムラのある演出が気になった映画だったなあ。特に前半部分に難があり、すぐにCGと分かってしまう安い背景合成、妙に情緒性の強いストーリーライン、細身で生白いアイドル顔の配役、大仰で一本調子のサウンドトラック、なんだかなあと思ったらやはり中国資本が入っているようで、今の中国映画のダメなところが濃縮されているような展開だった。しかし後半、ジョン・シナが目立ち始めるようになってきてから物語が生き生きしてきて、ジャッキー・チェンとの掛け合いも非常に愉快、やっぱりジョン・シナ、相当の芸達者だしやはり旬の俳優だなと感じさせてくれた。一方ジャッキー・チェンはこれまで通りのジャッキー・チェンで、アクションはアイディアたっぷりで素晴らしいのだけれども、なんだかジャッキー・チェンを演じているジャッキー・チェンのようにも見えてしまった。

二モーナ (Netflix映画) (監督:ニック・ブルーノ、トロイ・クエイン 2023年アメリカ映画)

架空の未来的都市を舞台に、謀反の濡れ衣を着せられた騎士となんにでも変身できる少女が真犯人を追う、というアニメ作品。SF世界なのに中世みたいな騎士ってなんなの?と最初思ったが、そういやスターウォーズだってSF世界に侍みたいな騎士が登場する映画だったよね、と考えたら納得できた。最初水と油だった主人公二人が次第に協力しあうようになるお約束な過程は十分に楽しく、この二人が力を合わせて真犯人を追ってゆく様子はとてもスリリングだ。クライマックスでは予想もしなかった凄まじいカタストロフまで描かれ、そこそこに楽しめる作品ではあった。しかし、結局主人公少女が何故変身する能力を持っているのかが全く説明されず、なんだか上手く胡麻化されてしまったような感じがして、ちょっとモニョってしまうお話ではあったな。