マ・ドンソク主演の韓国アクション『犯罪都市 NO WAY OUT』を観た

犯罪都市 NO WAY OUT (監督:イ・サンヨン 2023年韓国映画)

今や韓国映画のみならずハリウッドにも進出し、熊のように巨大な体躯とそれに似合わないお茶目な表情で人気を博す”マブリー”ことマ・ドンソク主演の最新作です。いやーオレ、マ・ドンソク大好きなんですよ。今作『犯罪都市 NO WAY OUT』はマ・ドンソク主演のアクション映画「犯罪都市」シリーズの第3弾となっていて、これまでの2作もとても面白く観られたので今作も楽しみにしていました。

ここでシリーズをざっとおさらい。主人公はマ・ドンソク演じる怪物警官マ・ソクト。熱い正義感に燃える彼は警察の細かいルールをことごとく無視し、無敵の肉体と強烈なパンチ力で悪い奴らを次々となぎ倒してゆく暴力警官。性格は強引かつちょっぴりお茶目、物語の中ではクスリと笑わせるシーンも度々描かれます。1作目『犯罪都市』では韓国警察と韓国ヤクザ、中国新興ヤクザとの三つ巴の戦いを描き、2作目『犯罪都市 THE ROUNDUP』ではベトナムにおける韓国人連続誘拐殺人犯を追い詰めたマ・ソクト。そしてこの3作目では新種の麻薬を巡り日本のヤクザと汚職警官とがソクトの前に立ちはだかるんですね。

《物語》7年前のベトナムでの凶悪犯一斉検挙に関わった怪物刑事マ・ソクトは、ソウル広域捜査隊に異動し、ある転落死事件を捜査していた。そして捜査を進める中で、事件の背後に新種の合成麻薬と、日本のヤクザが関わっているという情報を掴む。一方、ヤクザの一条親分は、麻薬を盗んだ組織員たちを処理するため、「ヤクザの解決屋」と呼ばれる極悪非道な男リキを、極秘裏にソウルへ送りこむ。さらに汚職刑事のチュ・ソンチョルが消えた麻薬の奪取をもくろんでおり、マ・ソクトはリキ、チュ・ソンチョルという2人の凶悪な敵を相手に、三つどもえの戦いを繰り広げる。

犯罪都市 NO WAY OUT : 作品情報 - 映画.com

1作目でマ・ソクトの怪物のような剛力をお披露目し、2作目では舞台をベトナムに広げてスケールアップを図り、この3作目では再び韓国に腰を据え日本のヤクザと対決することになります。この日本のヤクザを青木崇高國村隼といった日本人俳優が演じており、迫力のある演技を見せつけます。それにしても世界には数々の暴力組織の登場する映画がありますが、その中でも日本のヤクザの狂気度は頭抜けて高く、同じ日本人として誇りを感じますね(違)。しかしそんな狂気な日本ヤクザもマブリーを前にしてはまるで可愛らしく、もっと気の狂った暴れっぷりを見せて欲しかった、というのが正直なところ。いえいえ、マブリーが強力過ぎるんですよ!

シナリオは少々とっちらかっているように感じました。暴力団員、汚職警官、殺し屋が消えた麻薬の争奪戦を繰り広げ、主人公らがそれを追う形で物語が進行しますが、あちらもこちらも相手にしなければならないので忙しく、その分アクションは増えるにせよ、なんだか落ち着かないんですよ。もっとシンプルで直線的なお話のほうが爽快感があったんじゃないかな。それと全体的に夜のシーンが多いせいか、画面がずっと暗いんですよね。そのせいでアクションが少々観難く感じてしまいました。これはもっとメリハリがあってもよかったんじゃないかなあ。

とはいえマブリーの強力さは今作でも健在で、マブリーが重量級のパンチを繰り出すたびに観ているこちらも力が入り、「やれやれやっちまえ!」と盛り上がりつつグイッと歯を噛み締めてしまうんですよね!そして何度もそんなシーンが連発するもんですから観終わった後にちょっぴり顎が痛かった(どんだけだよ)!?お茶目なシーンもたっぷり披露され、マブリー愛がさらに深まりました。シリーズ作としては前作に及ばない部分があったのは残念ですが、今後もシリーズが展開してゆくらしいので、新たな展開を見せる次作の完成を待ちたいと思います。


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