バットマン最凶の敵「梟の法廷」が襲い掛かる!/バットマン・コミック『梟三部作』

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バットマン『梟三部作』

あのバットマンに、ゴッサムシティに、かつてない未曽有の危機が訪れる……バットマン・コミック『梟の法廷』シリーズは2011年から2012年にかけて本国で刊行された作品であり、日本では『梟の法廷』『梟の街』『梟の夜』の3部作として刊行された。

細かい事を書くとDCコミック・ワールドを一度リセットし、「THE NEW 52!」として再編・再スタートを切ったコミック作品のバットマン版第1弾がこの物語となっているのだ。再スタート第1弾として、これまでよく知られたヴィランを登場させず、「梟の法廷」と呼ばれる秘密結社を登場させることにより、新参のファンにも馴染みやすいバットマン・ストーリーを構築しようとした試みであり、それは評価・売り上げともに大成功を収めた。

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秘密結社「梟の法廷」

なにしろバットマン・ストーリーに新たに登場した秘密結社「梟の法廷」がとてつもなく謎めいており、そして強力であり、かつ不気味なのだ。ジョーカーやリドラーといったある種のサイコパス犯罪者と戦うこれまでの物語と違い、いにしえより秘密結社としてゴッサムを裏で操ってきた一個の組織、一個の軍団と戦わねばならないことの困難さがこの物語にはある。同時にヴィランとして新鮮であり、驚異に満ちている。これは傑作として名を連ねたのも必至だろう。

というわけで3部作をざっくり紹介する。

バットマン:梟の法廷/スコット・シュナイダー (著), グレッグ・カプロ (イラスト), 高木亮 (翻訳)

バットマン:梟の法廷(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)

ゴッサムの片隅で殺人事件が起こった。現場に駆けつけたバットマンは「ブルース・ウェインは明日死亡する」という不穏なメッセージを目にしてしまう。その予言どおり、バットマンは暗殺者に命を狙われてしまう。さらに謎の組織“梟の法廷"の罠にはまり、迷宮に閉じ込められてしまうのだが……。はたして、バットマンはこの謎が解けるのだろうか?

1世紀以上前からゴッサムシティを支配していた秘密結社「梟の法廷」が遂に動き出す!謎に満ちたこの組織にバットマンは打ち勝つことができるのか!?というお話のまずは第1部。まず秘密結社「梟の法廷」が不気味過ぎる。そして彼らが使役する暗殺集団タロンがこれまた強力!なんとこのタロン、特殊技術で死から蘇った不死者なのだ。そしてどんな致命傷を負ってもすぐさま再生し反撃に転じる。こんな連中を相手にバットマンが苦戦しないわけがない!バットマン・コミックもあれこれ読んだがここまでバットマンが追い詰められる作品も初めてなんじゃないか!?そしてこのタロン、コスチューム・デザインがなかなかカッコイイんだよね!

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最凶のヴィラン、タロン
バットマン:梟の街/スコット・スナイダー (著), グレッグ・カプロ (イラスト), 高木亮 (翻訳)

バットマン:梟の街 (ShoPro Books THE NEW52!)

バットマンは満身創痍になりながらも、「梟の法廷」の魔の手から逃れ、新たな強敵との戦いに勝利した。だが、梟の法廷の目的はバットマンを征服することではなく、ゴッサムを再び支配することだった。梟の法廷は不死の暗殺者タロンを解き放った。バットマンと仲間たちは、生き残りをかけて史上最強の敵と死闘を繰り広げることになるのだが……。バットマン史上最大級の闘いがいま始まる!

「梟の法廷」の目的はゴッサムシティの重要人物を一斉に粛清することだった!そして暗殺部隊タロンはウェイン家襲撃を開始する!という怒涛の展開を迎える第2部です。いやーなんとタロン部隊がバットケイブに乗り込んできちゃうんですよ!?もう絶対の危機ですよ!?しかも不死者タロンの一人がブルース・ウェインと強烈な因縁で結ばれた人物であることが明らかになります。その因縁とは何なのか?バットマンはそれを正視することができるのか?という重く暗い運命についても物語られてゆくわけですね!いやもうこれは盛り上がりまくりですよ!

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バットマンとタロンとの因縁とは!?
バットマン:梟の夜/スコット・スナイダー (著), グレッグ・カプロ (イラスト), 高木亮 (翻訳)

バットマン:梟の夜 (ShoPro Books THE NEW52!)

謎の組織「梟の法廷」と対峙するバットマン。その裏側で、相棒のロビンやナイトウィング、そしてレッドフードにバットガールキャットウーマン達は何をしていたのか? 「梟の法廷」を中心に巻き起こる事件にどのように関わっていたのか? 本作品を読んではじめて、“梟"三部作が完結する。

第1巻『梟の法廷』と第2巻『梟の街』で物語は一応の解決を見せるのですが、この第3巻『梟の夜』では「第1巻と第2巻の戦いの狭間でバットマン・ファミリーはどんな戦いをしていたのか?」が描かれます。つまり1,2巻の物語内で発生した「ゴッサム大粛清」において召集をかけられたバットマン・ファミリーの、それぞれが様々な場所でタロンとの死闘を繰り広げているさまが、1話完結の形で描かれてゆくんですね。そのファミリーとはロビン、ナイトウィング、レッドフード、バットガールキャットウーマン、そしてハーレイ・クインの映画でも登場したバーズ・オブ・プレイ。それぞれが別個のアーティストで描かれているので、グラフィックの違いを楽しめるのもまたいいですね。

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バットガールキャットウーマンvsタロン