■オリオンラジオの夜 / 諸星大二郎
諸星大二郎劇場 第2集 オリオンラジオの夜 (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2019/01/30
- メディア: コミック
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諸星さんの新刊、オール新作。一言で言うと「(洋楽や映画にまつわる)昭和ファンタジー」てことなんだろうけど、 かつての濃厚な伝奇モノではない「枯れた諸星さん」の作品ってことでこれはこれでいいんじゃないかな。諸星さんもイイ年だろうし、同じことばかりやりたくないって気概もあるんだろう。しかし諸星さんが『ホテル・カルフォルニア』をテーマにした作品描くなんて誰が想像したろう……。
■風水ペット(1) / 花輪和一
花輪さんってのはもともと狂った人だったけど、妄想とオカルトと陰謀論塗れのこの作品はいよいよ本格化していて、実にイイ、素晴らしい。風水をテーマにしながら大東亜共和圏信者や毛沢東信者や中国人富豪やFXトレーダーらの濃すぎるキャラが大挙登場し、オカルトと陰謀論に目を煌々とさせながらあらん限りの妄言を吐きまくるというとんでもない話なんだが、にもかかわらず田舎を舞台にしたのんびりした空気といたいけな動物たちがあちこちでゴロゴロしているというカオス。こんな漫画花輪さん以外描けないよ。
■アンダーニンジャ(1) / 花沢健吾
『アイアムアヒーロー』で一世を風靡しなおかつあのラストで壮大なブーイングをかまされた花沢健吾の新テーマはニンジャ。今の所四畳半暮らしの若年忍者がセコセコやってるだけだけど、なにやら相当キナ臭い伏線も貼ってあるので、『アイアム~』1巻読んだだけじゃまだお話分かんなかったようにまだ評価は未知数。
■たかが黄昏れ(1) / 花沢健吾
これもまた花沢健吾の新作。「男が滅んで女だけになった世界で発見されたたった一人の男」ってお話、なんかどっかで見たことあるけど。花沢が『アイアム~』でゾンビに新解釈持ち込んだように、今後いろいろ展開するんだろうな。1巻目だけなら今一部で流行ってる「百合SF」って感じだけど、ただこれだけじゃまだつまらないよ。
■食の軍師(7) / 泉昌之
あ、いつの間にか出てたんだ『食の軍師』7巻。アマゾンレビュー読んだら「マンネリ」だの「力石の登場理由が分からない」だの散々だが、そもそも泉の食レポ漫画は大いなるマンネリだし、力石の登場は訳が分からないから面白いのに、今までいったい何を読んでたんだろうな。 とか思いつつ読んでみたら実は意外と「偉大なるマンネリズム」を脱しようとしているみたいで、多分それは今まで通りなのが飽きてきたからなだけだと思うが、まず今までより「軍師」が出張って命令してきているし、力石はあんまり登場しない。そして酒ばっかり飲んでる主人公の今回のテーマは「朝食」だ。夜が明ける前から起き出しどこぞの町に朝食食べに行くこと自体既に倒錯しているが、「朝食」がテーマなのにやっぱりいつも通り酒のアテ注文して一杯やっている、というやはり倒錯した展開を迎えている。正直楽しいぞ。オレも早起きして朝食食いに行きつつやっぱ一杯ひっかける、というのやってみたいもんな。
■ラストマン(5) / バラック, ヴィヴェス, サンラヴィル
ラストマン 第5巻 (EURO MANGA COLLECTION)
- 作者: バラック,ヴィヴェス,サンラヴィル
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2019/01/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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うおおおお待ってたよ「異世界格闘ファンタジーバンドデシネ」『ラストマン』新刊!もう出ないのかと思ってやきもきしてたよ! 十分手広く広げた世界観だったのにこの5巻で「5人の騎士」なる危険な新キャラが加わって話は広がる一方じゃないかよ!今後の展開が気になる一方だから早く新刊出してくれよ!
■今日の早川さん(4) / coco
本好き少女たちがまったり読書愛を披露するcocoさんの4コマ漫画『今日の早川さん』がようやく新刊発売。オレは謎の風呂敷付の限定版で買ったよ!今回は書きおろしのショートストーリーが加わって新機軸だったけど、ハイライトはなんと言っても「OL!暗闇の自撮りスキャナー」と岩波さんの「あ・・・あん・・・」だろうな!
■きょうのカプセル / 黒田硫黄
黒田硫黄ってあんまり読まないんだけどこの作品集はなんかSFぽかったので読んでみたんだよな。異様な状況の中でギンギラギンに前向きな登場人物って黒田さん得意だよな。あと黒田さん原作のアニメやらなにやらの私的なよもやま話が漫画で描かれた小品がこちょこちょ入ってるけどまあこれはファンサービスの落ち穂拾いってことかな。
■レベレーション-啓示-(4) / 山岸涼子
ジャンヌ・ダルクの狂信の行方を描く山岸さんお得意のとてもドライでオソロシイ歴史モノ第4巻、連戦連勝のジャンヌにいよいよ暗雲が垂れ込めこれからの陰惨な展開を予感させるけど、ジャンヌ・ダルクってのは当時の戦争のセオリーを全無視したからあんなに破竹の勢いで連勝したってことが伝わってきて今回もとても面白い。
なんと今回は恋の煩悩に翻弄されるモテモテのホノオくんが登場だ!まあこの年齢の頃に色恋に興味がなかったり描かれなかったりするのは逆におかしいから、やっとこの辺を描けるようになるまでにホノオくんが成長したって事か。