今回もトム君がムチャをする!?/映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

ミッション:インポッシブル/フォールアウト (監督:クリストファー・マッカリー 2018年アメリカ映画)

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トム・クルーズ主演によるスパイ・アクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの第6弾、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』である。

しかし個人的に「フォールアウト」と聞くとどうしてもこっちを思い出しちゃうんだがな。

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そんなことはいいとしてなにしろトムクル新作だ。トムクル映画はどれも好きだ。「ミッション:インポッシブル」シリーズも1,2作目を抜かせばどれも面白く観た(ジョン・ウーの2作目はともかく、デ・パルマの1作目は見せ場が多いにしろなんだかチマチマまとまってしまっているように思った)。今作も楽しみにして観に行ったし、実際観てみると期待通りのスカッと楽しめる作品だった。

物語は前作の続き、続編的な作りになっている。当然前作を観ていた方が楽しめるが、前作を観ているにもかかわらず内容を殆ど忘れている老人ボケのオレでも付いていけたから観ていなくても大丈夫かもしれない。

というか、今作の物語はずいぶんシンプルにまとめたな、という気もする。まず冒頭から例の「自動消去テープ」で始まるひどくオーソドックスな出だしなのだ。中心となるお話も「奪われたプルトニウムの奪還」というスパイ・ストーリーではさんざん語られてきたようなありがちなもの。そこに前作の悪役で現在収監中のソロモンなんちゃらいう男や、前作に登場したイギリスの女諜報員イルサが絡んでくる。今作での新登場はCIA諜報員ウォーカーや謎の女ホワイト・ウィドウあたりぐらいか。

シンプルな物語は同時に既視感に満ちた物語でもある。核爆弾テロの危機、とりあえず悪いことがしたくてたまらない悪の組織、サイコパスなその首領、敵か味方か謎の多い脇役の行動、仲間への大いなる信頼、追跡、追跡、逃走、逃走、巨大な災厄へのカウントダウン、そして追跡、追跡、格闘、殲滅。物語的にはスパイ・アクション映画のお約束をひたすらトレースしているだけであり、新しいものなど何も無いといってしまってもいい位だ。

しかし、続編である、という造りは物語をいちから構成し説明しなければならない手間を省き、さらに「前作を上回らなければならない」というインフレーションを回避する一つの手立てである。既視感に満ちた物語性は、観客が余計なことに頭を使わなくてもいい安心感へと繋がる。ただしそれだけだと安易な二番煎じや手抜きになってしまい、容易く凡作に堕してしまう。

にもかかわらず、そんな物語を大いに盛り上げることができたのは、やはり全編に展開するトム・クルーズのムチャなアクションのつるべ撃ち!であるのだ。今作でもトム君はとことんアクションしまくっているが、トム君のアクションがいつもムチャなことを知りつつやっぱり今回もこれだけ盛り上がれてしまうのは、これもひとえに今作がシンプルな物語構成だからこそアクションを徹底的に見せる事に貢献したからだといえはしないか。もはや物語なぞトム君のアクションを華麗にカッコよく見せるための場面設定でしかないのだ。

そういった部分で、実は結構確信犯的に画期的なことをやってしまった思い切りのいいシリーズ新作だと言うことができる。それにしてもトム君演じるイーサン・ハント、行き当たりばったりの行動が多過ぎ!どんな危急の状況であろうと「なんとかなる」「考えとく」と言い放って危険の中に飛び込んで行くのだが、要するにそれって無策ってことで、その無策の中で危険に飛び込んでムチャやっちゃう、というのが今作の面白さでもある。「考えるな!とりあえず飛び込んでいけ!」ということなんだろうが、それで上手く行くのはもちろんトム君だけなので、誰も真似しちゃいけないのは勿論である。